Lo58.なんか宝箱にコスプレアイテム入ってました。幼女につけましょう、コスプレアイテム
ウカちゃんがうっかり召喚しちゃった混沌魔物の脅威は去りました。
サクちゃんが真っ二つにした超巨大ミミズが消滅していきます。やがて、大きな魔石だけが残りました。
「混沌魔物の死体も他の魔物と同じように、ダンジョン内だと消滅するんですね」
「うむ、素材が取れないのが残念なんじゃが、ミミズやナメクジの素材なんて欲しくないからちょうど良かったのぅ」
「そうだねぇ。魔石えぐりだすのも大変だし」
「そもそもミミズの素材って何に使うんですか?」
「……服?」
「嫌ですよそんな服!?」
ミミズの表皮は耐水性がありそうで、レインコートには使えるかもしれませんが……なんかすごい嫌です。素材化しなくて良かったです。
残ったミミズの魔石はバスケットボールくらいの大きさでした。魔石としては見たことないほどめちゃくちゃでかいんですけど、あのミミズの大きさを考えると小さいくらいですね。
「でも素材取れないってのはドラゴンとかだったらもったいないですね。鱗とか使えそうですし」
「まぁのう。じゃけどその代わりに、ダンジョンが報酬を用意してくれるんじゃ」
「報酬?」
私が首をひねってると、魔石の前にでんっと虹色に輝く宝箱が出てきました。
それを見たユーくんがびっくりしています。
「うわぁ、【虹箱】だ! 初めて見た!!!」
「に、にじばこ?」
「さっきのナメクジは【金箱】だったんだよ!」
「き、きんばこ??」
「強いのを倒すほど、ドロップアイテムが良くなるからのぅ」
どうやら、そういうシステムらしいです。剥ぎ取りいらずで報酬が手に入るとは。ダンジョンってなかなか便利ですね。
「さっきのナメクジは桃だったけど、今度は何が入ってるんだろう?」
「ナメクジの報酬、桃だったんですか。岡山県産の……」
「あれは超大当たりじゃったのぅ。今度は何が出るかのぅ」
「岡山県産……」
どういう仕組みで報酬が出るのかよく分かりませんが、岡山県産の桃は元にいた世界だと普通に買えるやつなので、出来れば私はファンタジーっぽいのが良いです。
……あの桃、ウカちゃんが岡山の桃直売センターとかで買ったりしてるんですかね? 異世界ファンタジーなのに急に生活感出てきましたね。
「ボクはさっき開けたから、チーちゃん開けていいよ!」
「えっ、良いんですか? ミミズ倒したのサクちゃんで私何もしてないですけど……」
「そんなことはないぞ。お主がおらんとミミズも召喚されとらんじゃろう」
「いや、それ災厄の種を呼び込んだだけでは?」
とはいえ、開ける役目を私に譲ってくれるというので開けてみましょう。
わくわく……
「……ところでこれ、罠とかないですよね?」
「魔物からのドロップ品は罠が無いんだよ」
「探索で見つかった宝箱と違って、魔物討伐の正当な報酬じゃからな。そんなものに罠を仕掛けるダンジョンマスターはおらんわい」
「あ、探索で見つかったやつだと罠あるんですね」
ここまで宝箱一つ見つけてないので、そこらへん知らなかったですね。寄り道せずほぼ直線にしか進んでないですからね、私達。
とりあえず、安心していいみたいなので開けてみます。
虹色に光る宝箱は、まさにRPGで見る宝箱っぽい外観の宝箱です。大きいですけど、私が手をかけるとすんなり箱が空きました。どうやら鍵はかかってないようです。
開けると、パアアアアっと宝箱の中が虹色に光る演出が入りました。
はい。謎の発光現象です。この演出必要ですかね?
「おお、これは……」
「すーぱーすーぱーれあの予感がする!」
「えすえすあーる確定演出じゃな!!」
どうやら光り方によってレア度が分かるシステムらしいです。SSR確定演出キマシタワー!
宝箱の中に入っていたのは……
「……あの、なんですかこれ。光る……まるいの……?」
「輪っかじゃのぅ」
「輪っかだね」
「これがワッカさんですか」
中に入っていたのは、光る丸い輪っかでした。
えーと何ですかこれ? 蛍光灯ですか? パルックですか?
私はその輪っかを手に取ります。
「なんかぴかぴか光ってるだけですけど……」
「なんだろこれ?」
「パワーは感じるんじゃけどのぅ」
「装備品? でも腕輪とかでも無いよね。大きすぎるし」
よく分かんないんですけど、これってハズレなんですかね?
あ、でもこの輪っか。頭の上にこうやって載せると……
「見てくださいユーくん!」
「なになにー?」
「ほら、天使ごっこです!!」
「おおーかわいい」
「何しとんじゃお主ら」
いやだって、このくらいしか使い道が思い浮かばなくて……
こうやって遊ぶくらいしかない品物ですので、どうみてもハズレですね……
しょせんミミズのドロップ品ですし……期待しすぎたのが浅はかでしたね。
そう思ってると、なんかユーくんが驚いたように指を差してきました。
「チーちゃん、背中背中!」
「ほぇ?」
「なんか羽根っ! 羽根生えてる!」
「にゃにぃ??」
私が後ろを振り向くと、なんか天使のような真っ白な羽根が生えてました。
え、これ何ですか?
私が思わず頭の輪っかから手を放しましたが、輪っかは落ちることなく宙にふよふよ浮いています。
まるで天使の輪っかのように……
「チーちゃん、まるで天使みたいになってる!」
「もしもし、チーちゃんです。私はもしかしたらマジ天使だったのかもしれません」
「装備の効果じゃろ」
「あっはい、そうですね」
私が頭の輪っかを手でどけると、背中の羽根は無くなりました。
「これってまさか……」
「うん、そうですね……これは間違いなく……」
「天使の輪っかだ!!」
「コスプレアイテムですね!!!」
「「……ん?」」
どうやら、このピカピカに光ってる白い輪っかはコスプレアイテムだったようです。
ユーくんが面白がって装着すると、やっぱりユーくんの背中にも天使のような羽根が生えました。
「ユーくんまじ天使!」
「ありがとー! わーい!」
「楽しそうじゃのぅお主ら」
初のSSRアイテムはただのコスプレアイテムでしたが、まぁ楽しいので良いでしょう!
そう思ってると……ユーくんが空に浮きました。
「あれ? なんか浮いた?」
「おお、浮きましたね?」
「ん? これ、もしかして飛べるの?」
そう言ってユーくんは天使の羽根を羽ばたかせました。あ、動かせるんですかあの羽根。
ユーくんはそのまま垂直に飛び上がりました。
「と、飛んだー!?」
「飛んでるー! すごーい!!」
「めっちゃ飛んでます!! すごーい!!!」
ユーくんは天使のようにびゅんびゅん飛び始めました。
すごーい! 単なるコスプレアイテムだと思ってましたが、こんな遊び方があったなんて!!
「すっごーい! たのしーーー!!」
「ユーくんかっこいいー! かわいー!」
「ありがとーーー!!!」
「よかったのぅ、楽しそうでなによりじゃ」
そうして次は私も光る輪っかを貸してもらい、空を飛んでみました。
ユーくんほどのスピードは出なかったですけど、ホバリングしてるだけでもすごい楽しいです!
そして二人でひとしきり飛んで遊んだあと、気付きました。
「この装備……もしかして地味にヤバいやつなのでは?」
「あ、やっぱり?」
「これ結構な速さで飛べますよね」
「チーちゃんが飛んだときはスピードそんなに出てなかったけど、セーブしてたの?」
「いや、普通に全力でアレですけど……」
「じゃあ本人のスピードに依存してるのかなぁ?」
「ユーくんのスピードがやたらと速かったので、その可能性は大ですね。それより……」
「うん」
「これ、空から一方的に攻撃できるやつじゃないですか?」
「だよねぇ」
私達はどうやら、【飛行】というチートを得てしまったようです。これ空飛べない相手に対してはめちゃくちゃ有利になりますよ。
「なるほどのぅ。それはお主らが持っていた方が良さそうじゃのぅ」
「サクちゃんは良いんですか? これは元々ミミズを倒したサクちゃんのものだと思うんですけど……」
「儂は普通に飛べるしのぅ、ほれ」
そう言うとサクちゃんがふわりと浮かびました。そういえばミミズ戦のときも普通に飛んでましたねこの人。
「あの……それどうやって飛んでるんです?」
「これも神気の為す技じゃ」
「なるほど……よく分かんないですけど、便利ですね!」
「じゃろう?」
どうやらこれも神気で出来ることの1つのようです。舞空術ですね。すごい。
なんか色々出来てすごいですね。サクちゃんチートすぎる。
「じゃあ遠慮なく貰いますね、サクちゃん!」
「ありがとー!」
「でもそれはそれとして、天使のサクちゃんも見てみたいので一回装着してみてください!」
「おぬしマジで何言っとんの?」
こうして私達は宝箱からSSRアイテムを手に入れて、飛行できるようになったのでした。思ったよりヤバいブツでしたね。流石はSSR……
あ、天使のサクちゃんは頼んだら装着してくれました。可愛かったです。




