Lo53.ナメクジを撃破しました!今度こそやったかフラグは建たないです!!(確信)
坂道の勢いを利用して思いっきり突っ込んでいくユーくん。そしてその背にコアラのような格好で必死にしがみついてる私。
絵面は全然格好良くないんですけど、私は頑張ってます!
戦車並みの大きさのクソデカナメクジは先ほどまでヌメヌメと進撃をしていましたが、坂の上からの強襲に気づいたのか、頭の触覚をにゅるりとこちらに向けました。
「ひぃっ! こっちに気付きましたよ!?」
「このまま突っ込むよ、チーちゃん!!」
「は、はい!」
ユーくんは構わず突っ込みます!
ナメクジさんは何やらモゾモゾしてますが、今更気付いたところでもう遅いです! 既に距離は10m圏内!
この勝負、もらったーーー!!
一足飛びに距離を詰めたユーくんがナメクジの懐(ナメクジのふところってなんですか?)に入り、【魔剣ユナ・ブレード】を脇構えから横に抜き放ちました!
炎と神気で輝く刀身がナメクジの腹(ナメクジのおなかってどこですか?)に入る瞬間、ナメクジの体表からとてつもない量のナメクジ汁が噴出して私達を襲いました!
「ごめん避けれない! チーちゃん全部防いで!!」
「や、やってやります!」
元よりリスクは覚悟の上の接近です! 今、ユーくんと私の生存は、私の手に委ねられてます!
なら、やるしかないでしょう!
「むん! チーちゃんバリアー!!」
私は神気で壁を作ります。要するにチーちゃんバリアーです!
そんなバリアーですが、ナメクジ汁はバリアーをジュウジュウと黒く侵食していきました。
「あ、これ貫通するかもです」
「大丈夫! その前に倒すから!!」
ユーくんはそう言って力強く剣を振り抜きます!
「えいやーーーーー!!」
ユーくんの剣にまとった神気が、ナメクジの魔瘴を切り裂きます!
鋭い剣圧が、ナメクジの体を切り裂きます!
そして、その炎がナメクジの体内を焼き付くします!!!
一撃です。
ただ、その一撃にはユーくんと私のぱわーの全てが乗ってました! 過去最高の一撃です!!
ナメクジは横から両断されていました。ずるりと切断面がずれ、そこから出た炎がナメクジの内部まで燃やし尽くしていきます。
両断されたナメクジは、じゅうじゅう燃えながらゆっくりと倒れていきました。
ずしん
大きなナメクジが倒れる重量に巻き込まれないように、ユーくんはその場から離れました。
「や、やりましたか!?」
「だからそれはフラグだってチーちゃん」
「そうですね! 警戒しつつ【残心】しましょう!」
「ざんしん?」
「ほら、よく戦いが終わった後に『残心を忘れるな!』的なことを師匠キャラが言うじゃないですか。アレです!」
「うん、わかった。アレね!」
どうやらユーくんは分かってくれたようです。ほんと物分かりの良い子で助かります。
残心とは、敵を倒した後も油断せずに構えることです。ホントは私もよく分かってないんですけど、なんか漫画とかで読んだときはそんな感じでした。
残心したら「やったか!?」フラグは折れます。そういうものなのです。
「……うん、もう起き上がってこないみたいだね」
「そうですね……安心しました」
どうやら今度こそ本当に倒したようです。安心した私はチーちゃんバリアーを解きました。
するとバリアーに阻まれていたナメクジの粘液がびちゃりと上から降ってきました。
「にゅ、にゅわ~!」
「もー、チーちゃん。不用心すぎるでしょー」
「ご、ごめんなさい~」
ナメクジの粘液は既に浄化されていたのか、特に毒は無くヒリヒリしてませんでした。
それでも物質自体は残るんですよね……消えないんですよ、ねばねば。ここらへんチーちゃんバリアーの弱点かもしれませんね。
おかげで私とユーくんはナメクジの体液でずぶ濡れになりました。
「しまらないなぁ~」
「ほんっと申し訳ないです」
「……あはは! まぁ、いっか! そういうのもチーちゃんだからね!」
「あ、あはは~」
ユーくんは楽しそうに笑ってます。うぅ、私って結構活躍したような気がするんですけど、汚名挽回どころか汚濁しまくりですよ。(汚名は挽回するな)
でもまぁ、倒せたので結果オーライとしますか。
「おぉ、やったのぅ」
唐突に幼女の声が投げ掛けられました。振り向くと、そこにご機嫌そうなのじゃロリ鬼娘のサクちゃんが立っていました。
「儂の手助けがいるかと思ったんじゃが、必要なかったのぅ」
「うん。チーちゃんのおかげ!」
「ユーくんもかっこよかったです!」
「うむ、ようやったぞお主ら。あのときの修行の成果が出たのぅ」
「いやどのときですか!?」
サクちゃんはヌチョヌチョに濡れた私達に構わず、私とユーくんの頭を撫でてきました。まるで子ども扱いですけど、悪い気はしません。
今日出会ったばかりなのに何故かずっと前からいるような師匠面をしている鬼娘。ノリは良いんですよねこの子。正体はよく分かんないんですけど、良い子だといいなぁと思います。
あれ? ところで私の身体がなんか光ってませんか?
「レベルアップの光だ!」
ユーくんが言います。あー、たしかこんな感じにポワポワ光るんでしたね。私自身も神気でよくピカピカ光ってるのですが、私の意志を無視して勝手に光りだすのは相変わらずちょっとビックリしますね。
謎の発光幼女チーちゃんです。ヒカリゴケ娘と呼んでください
≪レベルアップおめでとうございます。レベル4になりました≫
頭の中に直接響いてくるような声。いつもと同じ東北イ●コお姉様にクリソツな声のレベルアップ音声です。
「こちらこそ、ありがとうございますイタコお姉様!」
「チーちゃん何言ってるの?」
私が感極まってお礼を言うと、なぜか私の視界が真っ白になりました。
「うわわ、なんかいつもよりまぶしっ……」
「え、チーちゃん、どうしたの? チーちゃんっ!」
ユーくんが動揺したような声を出しますが、その声が段々と遠ざかっていきました。
不意にふわっとした浮遊感を感じました。
さっきまでユーくんの背に背負われてたはずなんですけど、ユーくんが突然消えたようで、すってんと私は転びました。
「わ、わ、わ、なんですか? 何が起こったんですか?」
光がやみ、私があたりを見渡すと……そこは田舎の田んぼの景色でした。
「どっ、どこですか、ここ? なんか転移トラップでも踏みましたか私!?」
突然の出来事ですが、なにせここはダンジョンの中。真っ先に転移トラップとか何かの仕業を疑ってしまいます。
周りを見渡してみましたけど、どうやらユーくんやサクちゃんは見当たりません。私一人のようです。
「どこですかねここ……?」
青い空。周りには山。青々とした田んぼ。トラクターが通ったような田んぼのあぜ道。
季節は夏って感じですかね。どこかからセミの鳴き声が聞こえます。気温はそれほど暑くないですけど、良い感じの日本の田舎感が何故か郷愁を誘いますね。ダンジョンで転移したからにはモンスターハウスを警戒したのですけど全然モンスターいませんね。むしろ超平和な風景です。
ざりっと土を踏む足音がしました。私が音をした方を振り向くと、そこには……
かっぽう着を着た狐耳の綺麗なお姉さんが立っていました。
お姉さんはにっこり笑いながら口を開きました。
「ほんとようやったなぁ小さな勇者ちゃん。あのナメクジを倒してくれてホントにありがとーなー」
話し方こそ違えど、その声はレベルアップのときに聞いた音声とそっくりで、その姿はダンジョンの2層と3層の間で見たスライドパズル(石板カシャカシャ)の完成絵にそっくりの見た目でした。
間違いないです……この人は!!!
「貴方は……東北イ●コにクリソツな人!?」
「そこまで似とらんやん」
「喋り方は違いますね!」
「いやいやいや髪色も服も違うやん」
あ、普通に本人から似てないってクレームがきました。そうですね。実物を見たら髪の色は黄金色。標準的なキツネカラーです。喋り方も違います。
じゃあ別キャラですね。(即納得)
石板は無着色なので分かりませんでしたが、カラーで見ると結構違いましたね。
「あんなー、たとえちょぴっと似とってもあんま別作品のキャラに似てる似てるって言わん方がええよ。悪いオタク仕草やんそういうの」
「アッハイ、すみません」
唐突に現れた謎の狐のお姉さんにいきなり説教されたチーちゃんでした。いくら著作権に寛容な公式様とはいえ、あまり褒められたことではありませんでしたね。猛省します!




