Lo34.冒険者登録です。ああ、なんとなくこうなる気がしてました。テンプレ乙
冒険者ギルドのカウンターでユーくんが前に出て言いました。
「魔石持ってきました! お金ください!!」
そしてドンって魔石の入った袋をカウンターに置きました。
あれ!? 初手換金ですか!? なんかその前に色々と手続きがあるような気がしますが……ガイナスさんのを真似たんですかね?
あ、ガイナスさんが頭抱えてます。シャイナスさんは楽しそうですね! 全くもう、10歳の子どもに任せていきなり上手くいく方がおかしいのです!
「はー? 何言っとんこの子?」
「魔物たくさん倒したよ!」
「……いや、ホンマ何言っとんこの子??」
受付のキツネネコ獣人さんが疑問を返すと、ユーくんが袋からジャラジャラと魔石を取り出しました。
大量に出てくるそれを見て、キツネネコ獣人さんはキツネにつままれたような顔をしました。
「え? なんて? なにこの量? 魔物倒したって何言っとんこの子」
「お金は半分即金で、あとは口座に送ってね!」
「いや、口座持っとんのアンタ? てか冗談はやめといた方がいいで。ここ冒険者ギルドやで。あらくれもんがいっぱいおる治安悪いところに、子供が来ちゃアカンで」
あー、そんな治安悪いところだったんですね……結構清潔にされてるんですけど、ギルドの経営努力でしょうか?
なんか周りの冒険者(暇人?)の人たちからも注目されててやりづらいですね……
たまらず、ガイナスさんが横から口出ししました。
「……この子が魔物を倒したというのは本当だ。鑑定すればわかる」
「はー? あんたも何言っとん? そんなわけがあるわけ――」
キツネネコ獣人さんが魔石の方を見ると、モノクルがチカチカ光りました。
「は? マジやんけ??」
キツネネコ獣人さんの顔が驚愕に染まりました。周りの冒険者さんたちも「は?」みたいな反応しています。
「え、あれで何か分かったんですか?」
「ああ。あのモノクルは魔道具だ。あれで魔石を見ると倒した魔物が分かるんだが、もっと詳しく見ようとすると『誰が魔物を倒したか』というのも分かるらしい。討伐報告の不正防止に一役買っている優れものだ」
「ほえー、便利なものがあるんですねぇ」
なかなか便利なシステムです。ファンタジーの謎技術ですね。
「いやいやいやいや! 一旦整理しよか! そもそも冒険者登録してないやろキミ!」
「なに……それ?」
「え? なんなんこの子? きみらの隠し子??」
「それは断固違う」
「ボクの親はユナだよ?」
「もうわけわからーん!」
キツネネコ獣人さんが混乱してるっぽいですね。はい、ユーくんにいつまでも任せてたら話進まなさそうなので、そろそろ私も口を開きましょうか。
「あの、とりあえず冒険者登録と魔石の引き取りをお願いしたいので、色々と手続きを教えてください」
「ああ、せやね……ってちっさ! キミ3歳児!?」
いえ、それを言うとキツネネコ獣人さん(ケモ度高め)も人間と比べると大分小さいのですが。110cmくらいですかね、この人?
ともかく、登録です。こういうのは登録さえしてしまえばなんとかなるものです。それに、これから魔王を倒す大冒険をするなら冒険者になるしかないでしょう! たぶん!!
「私たち二人、登録できませんか?」
「出来るわけないやろ! ええか姫チャン? 冒険者ってのは甘くないんやで!? 子供にこんな危険な仕事やらせるわけにはアカン!!」
キツネネコさんがすごい剣幕で言ってきます。
「あの、もしかしてこれ年齢制限あります?」
「冒険者としての能力が無いと判断された場合は登録できないこともあるが、年齢制限は聞いたことが無いな。ギルド規定でも『種族、年齢問わず能力のある者を広く募集する』と書いてある」
「じゃあ少なくともユーくんは余裕で合格ですね。見ての通り、魔物を倒す能力は示しましたので」
「ぐ、うぐぐ……」
まぁ最悪でもユーくんさえ登録してしまえばいいのです。この魔石の山が目に入らぬかー! とばかりに見せつけますが、キツネネコさんはまだ悩んでる様子です。
ユーくんが私に言いました。
「ねぇ、もしかしてレベルが足りないんじゃない? ボクまだレベル5だし」
「あ、確かにそうですね。私もレベル3しかありませんし、その可能性もありましたね……」
盲点でした。いくらユーくんが魔物を倒せると言っても、まだたったレベル5なのです。ポケ〇ンで言ったら最初に博士から配られる御三家の初期レベルと同じです。
うむむ、私の元いた日本が学歴重視の社会だったのと同様に、冒険者の世界はレベル重視の社会なのかもしれません。
「は!? レベル5にレベル3だと!?」
「んな馬鹿な!」
「ありえないわ……」
ほら、他の冒険者の人たちも驚いてらっしゃる。私たち、冒険者の門戸を叩くには低レベルすぎるのかもしれません。ここに来る前に冒険者学校(そんなのあるの?)とかで修行パートがあるべきでしたか……
というか盗み聞きしすぎですね、他の冒険者さんたち。普通の声量で話してるのに、どんだけ聞き耳立ててるんですか?? やっぱり暇なんでしょうか?
「冗談も大概にしろよ! あんな小さなガキがそんなに『レベルが高い』わけないだろ!!」
「あれだけの魔物倒したのも信じられねぇわ!!!」
……え?
今、『レベルが高い』とか言いました?
誰が……誰に?
「あれ? なんか反応おかしくない?」
「あの~、ガイナスさん。冒険者さんたちってレベル20や30くらいが普通なんじゃないですか?」
「お前ら……それを一体誰に聞いたんだ?」
「お母ちゃんだよ?」
「そうかそうか。……お前の母は酔っぱらってたのか?」
いや、素面で嘘言う人ですけど。あ! これってまさか……いつものユナさんの嘘ですか!?
「レベルが20の人間なんているわけがないだろう。最高ランクの冒険者でもレベル7だぞ?」
「え? ホント??」
「意外と上限低かったんですね……」
「そして通常、冒険の初心者はレベル1か2で登録する。あそこにいるやつらの大半がユージア少年よりレベルが低いぞ」
「そうなんですか!?」
ビックリです。既にユーくんは結構レベル高かったみたいです。私も普通のRPGの感覚でいってたので、レベル20や30とかあっても普通だなーと思ってましたが、全然違ったみたいです。それもこれもユナさんが紛らわしい嘘吐くからですけどね!
でも、確かにちょっと納得しました。どーりで村で100匹くらい魔物を倒してもレベルが上がらないわけですよ! そりゃレベル上限低ければ当然ですね!? もっと疑問に思うべきでした!!
「おいおい聞き捨てならねぇぜ! 誰のレベルが低いって!?」
「が、ガロンドさんだ! レベル4のガロンドさんだ!!」
「キッシッシ~、お前みたいな幼女が俺っちと同じレベルなわけないだろ~?」
「レベル3のカルマッセまで!?」
な、なんかあからさまな人が出てきました! 人間の男の2人組で、一人はムキムキヒゲモジャで、もう一人はモヒカン細身です!!
なぜか周りから名前とレベルを開示されながら登場しましたよ!?
え、なんかもう展開読めたんですが……
ムキムキヒゲモジャの人がニタリとニヤけながら言いました。
「よう自称レベル5の小僧。いっちょ俺が揉んでやるよ!」
揉まないでください! ユーくんは女の子ですよ!! こんなのセクハラですよ!!
次に今度はモヒカン細身の方が私の方を向いてニヤニヤしながら言います。
「こんなちっこい幼女の嬢ちゃんがレベル3とか信じられねぇな~? 同じレベル3のよしみで俺っちとヤろうぜ~~?」
アウトーーー! アウトな発言ですよこの人!!
ヤろうってのは戦いのことですよね!? 戦いって書いて「戦ろう」って言ってるんですよね!?
公共の場での性的発言は慎んでください!!!




