Lo28.シャイナスさんがなんかすごいってことだけはわかりました!あとは全然わかりません!
夜はシャイナスさんとガイナスさんが快くテントを貸してくれました。今日会ったばかりの人をいきなり信用するのも警戒心なさすぎるかな?と思いましたけど、二人がどうしても悪人には見えなかったので。どうやらユーくんも私と同じように、二人を信用したようです。
肉を焼くときもラグナディアの浄化した肉を持っていったら喜ばれました。村の広場に倒れてたアレです。
「へー、浄化するとこの肉食べれるんでねぇ」
「これは……美味いな」
「お二人は魔物の肉とか食べても平気なんですか?」
「毒のあるものはともかく、虫でも雑草でも、食えるものは何でも食うのが冒険者だ」
「寄生虫がこわいけど、火通せば大体いけるでよー」
おお、すごくたくましい人たちですね。これが本物の冒険者かぁ。この人たちには見習わないといけないことがたくさんあるようです。
「お二人はこれからどうするんですか?」
「とりあえず今日は休んで、明日から村の中の残った魔物を討伐だな」
「これもお仕事でよー」
どうやら、混沌魔物を倒した後も活動するようです。ユーくんがそれを聞いて、何か決心したように言いました。
「あの、ボク達も一緒に行っていい?」
「ふむ……子どもには危険だが……」
「全然いいでよー」
「いいの!?」
ユーくんの提案はあっさり受け入れられました。
「えと、ガイナスさんは反対そうにしてますけど、本当にいいんですか?」
「ああ。勘違いしているかもしれないが、俺達のパーティーリーダーは妹の方だ。手続きの関係上、書面上では俺がリーダーになっているが、実際の冒険では妹の判断を優先する」
「でへへ、うちが真のパーティーリーダーでよー」
衝撃の事実です。なんと、のほほんとしたシャイナスさんの方がリーダーでした!
「えと、どうしてですか? 普通は年長者がリーダーをやるもんじゃないんですか?」
「合理的選択だ。こう見えてこいつは俺より視野が広いし色々なことに気付く。俺は騎士として集団行動の経験はあるが、冒険者としての天性のセンスは妹の方が高い」
「そうなんだ……」
「でへへへ~、褒めすぎでよー」
「その妹がお前達を連れて大丈夫だと判断したんだ。俺はリーダーの決断に従うだけだ」
なるほど。てっきりお兄さんの方が妹の言うことを何でも聞くシスコンでは?とちょっと疑ってました。
……いや、この妹への評価の高さはシスコンかもしれないですね?
「そういうわけで、ついてくるなら冒険中はリーダーに従ってくれ」
「うん、わかった! よろしくね、リーダー!」
「よろしくぅー。あ、うちのことは呼び捨てでいいでよー」
「うん、シャイナス!」
そういうわけで、明日はナス兄妹に同行することになりました。
「ごめんねチーちゃん、なんか勝手に決めちゃって」
「ううん、いいんですよ。それにユーくんの思惑は分かりました。確かにこの人たちには色々と学ぶべきことがありそうですね」
「やっぱりそう思う?」
「ユーくんの見立てだと、あの二人はどのくらい強いんですか?」
「んー、フルアーマーな人の方はちょっとやりあった感覚だとかなり強そうだよ。シャイナスは……んー、よく分からない。でも、ちょっとよく分からないところがお母ちゃんに似てるかも」
なるほど……たしかにユナさんと同じで、のほほんとしてるようでどこか底知れない感じはありますね。他の冒険者を知らないのでこれは私の勘ですけど、あの二人は冒険者としてはかなり上澄みな気がします。
……とか知った風に言ってる私ですが、実は強さなんて全然わかりません! なんとなく分かった風な雰囲気です! だって盲目の人はめっちゃ強いっていうのは漫画だと鉄板じゃないですか!!!
「ちょっと変わった人たちだけど、たぶんすごい人たちだよ!」
「完全に同意見です!」
せっかくの良い機会です。私達は冒険者の先輩であるナス兄妹から色々と勉強させてもらいます!
翌朝、私たちは4人でPTを組んで村の中に再突入しました。
「今回の目的は村の中の魔物の掃討だ」
「もうボスは倒したけど気をつけていくでよー」
「はい!」
「うん、がんばる!」
「えーと、ユーちゃんと……」
シャイナスさんは言いかけて、ふと思案して私に小声で耳打ちしてきました。
「きみのことどう呼ぼーか。おねーさん?」
「あばばば、ど、どうみても私は子どもなのでチーちゃんでお願いいたします!」
「ん、わかったでよチーちゃん」
そういえばシャイナスさんは私の魂の姿が見えるとか言ってました! それで私を大人扱いするかどうか悩んでたみたいです。
はい。魂の年齢はたぶん私の方がシャイナスさんより上なのでちょっと複雑な気分ですね……
ともかく、なんとかチーちゃんで押し通したいところです。せっかく幼女に転生したのに、お姉さん扱いされるのは正直なんかイヤです!
……なんかちょっと私って我が儘ですね。甘え癖が出てます。大人とロリの境界を反復横跳びするな
「そんじゃユーと兄ちゃで前。ユーは攻撃、兄ちゃは防御。うちは後ろでチーちゃはうちの補助」
「え、あ、はい!」
「……一応聞くが、今の指示で分かったか?」
「えっと……」
はい、ちょっと分かりません。教えてください先生!
「今のを説明すると、『ユージアが前衛で攻撃役、俺が防御役。そしてシャイナスは後ろで適当に動いてるから、チーちゃんも補助したり適当に動け』っていうざっくりとした指示だ」
「まぁ、適当に役を入れ替えてもいいしそこらーは臨機応変でいいでよー」
「とりあえずユージア少年は魔物を片っ端から攻撃すればいい。あとは他がカバーする。ただし味方から5m以上離れるなよ」
「わ、わかった!」
おお、なんかユーくんがメインアタッカーに専任されてます。この人たち、もしかしてユーくんの攻撃能力の高さに気付いてらっしゃる?
「じゃあ村に入るでよー。『入り口右、青2、アタック』」
「えっ? えっ?」
「今のは『村の入り口に入ってすぐ右に魔物が2体いるから攻撃してくれ』という意味だ」
「え?」
えーと、ちょっと色々と聞き慣れない言葉なんですけど……
「今のように、指示は簡略化して伝えるから覚えてくれ」
「えと、……青2って?」
「色は魔物の脅威度を表す。シャイナスが『青』と言ったら大したことの無い雑魚。『黄』はちょっと強い敵。『赤』は強敵。『黒』は混沌魔物だ。青2は雑魚2体だ」
「え、あ、はい」
「まぁそのうち慣れる」
せ、先生! な、なんか頭混乱してきました!
「というわけで、攻撃役頼む。俺も後に続く」
「あ、うん、わかった!」
ユーくんは言われるままに突撃しました。そして入り口の右側に潜んでいた猿の魔物を2体あっという間に倒しました。
ユーくんは魔物を倒したにも関わらず、呆然としています。
「ホントに魔物がいた……どうやって分かったの?」
「んー、普通に見ればわかるでよ?」
「いえ、柵の後ろにいたから全然見えませんが……」
「妹はこういうやつなんだ。人には見えないものが見えている。特に魔物の位置を特定するのは得意中の得意だ」
「ふえぇ……しゅごい……」
「俺が妹をリーダーにする意味が分かったか? 俺とは見えている情報量が違いすぎるからだ。目の前に壁があろうが、魔瘴で視界が悪くなろうが、夜だろうが平気で見通す。俺が何も見えない中でも、こいつだけが見えている」
すごすぎて何がなんだか……それはもうチートでは?
「このパーティーの要は、目であり司令塔であるシャイナスだ。目を潰されると機能は半減する。それは理解してくれ」
「うん!」
「いや、これはユージア少年ではなくチーちゃんに言っているんだが……シャイナスの補助は思いのほか重要な位置づけだってことだ」
あ、私に言われてたんですか!? すみません先生!
「まぁうちもうちで適当に動くから適当に動いてていいでよー」
「え、ぐ、具体的に何すればいいんですか!?」
「んー、出来ることをてきとーに?」
「まぁ、考えながらやってくれ」
すみません先生!
私何をすればいいのか全然わかりません!




