Lo108.しゅっぱつしんこー! 悪神討伐だー!!
遂に悪神討伐の日となりました。みなさん準備は万端ですか?
私は……たぶん万端です!(あやふや
まぁ、コミケ参戦時に比べたら全然少ない準備で済みましたけども。
結局アレですね。この世界での私は神気とかいう不思議なエネルギーを使って色んなことが出来るので、割と準備は少なくて済むのです。酔い止めのお薬とか要らないですね、たぶん。
「ちーちゃんさん、ちーちゃんさん」
鈴の鳴るような声が響きます。美少女の声です。声のした方を見ると、エルフ耳の少女がいました。この国で一番偉い人っぽい人、九代目神帝ヒオウギアヤメ陛下です。
「ひーちゃんじゃないですか。どうしたんですか?」
相変わらず偉い人にも関わらず、全く偉ぶることのない偉い人です。この神帝のお屋敷でお世話になっている1週間で、「ひーちゃん」「ちーちゃんさん」と呼び合う友達みたいな関係になってしまいました。
本来ならば私が大人のままだったら、どんなに彼女が親しく話しかけてきても、色々と立場を考慮して畏れ多くてかしづいてることでしょう。だが今の私は幼女で無敵なので、こういうふれんどりーなコミュニケーションも許されます! 幼女補正強すぎますね? これこそチートなのでは?
「じゃーん。こんなん作ってきましたよー」
ひーちゃんが自慢げに細長い袋を出してきました。なんか手作りっぽい猫ちゃん柄が刺繍されてます。かわいいです。
「おお……可愛いですね?」
「これをですねぇ、ちーちゃんさんの持ってる棒にかぶせます」
「……おお!」
ひーちゃんは私のメインウェポンである棒に細長い袋をかぶせます。
「こ、これは、【杖袋】じゃないですか!?」
私の持っているお遍路巡礼用金剛杖には本来『あるもの』が足りませんでした。それは……杖の先端を覆う【杖袋】です!
とっくの昔に失くしてましたからずっと剥き身のまま使ってました。これがあると無いとじゃ見栄えが違います!
「これ……まさかひーちゃんが作ってくれたんですか? わざわざ私の為に?」
「えへへ、友情の証ですよ~」
「なんと……ありがとうございます!!」
なんとこの杖袋、ひーちゃんのお手製みたいです。
現役の神帝様が私一人の為にこんなことまでしてくれるなんて……出会って数日ですけど、そんなに友情を感じてくれてたんですか? 嬉しいです!
よぉし、これで私の棒は完全体になりました!!
進化した私の『お父さん棒』。もう『ひーちゃん棒』に改名してしまいましょうか?
強い! 絶対に強い!!!(確信)
「まぁ、戦いに参加しない私に出来ることはこれくらいしかないので……」
「それでも、ひーちゃんは連日ずっと【祝福】とか頑張ってたじゃないですか。すっごく偉いですよ!」
「お仕事ですので……でも、ありがとうございます。ちーちゃんさん」
ひーちゃんは今回一緒に戦うメンバーには入ってませんが、ひーちゃんはひーちゃんで裏方として色々頑張っていました。冒険者さんの装備への祝福とか、式典に出たりとか。
彼女は神帝という立場で色々と頑張ってるようです。えらい。
「頑張ってくださいね、ちーちゃんさん。どうかご無事で」
「はい、がんばります!」
ひーちゃん、ちょっと正統派ヒロインすぎませんか?
今までのヒロインが若干クセがあったので、こういうストレートな感じなのが逆に響きます。
「ちーちゃん氏! ちーちゃん氏ーーー!!」
おおっと、クセの強いヒロインのエントリーです。ござる少女のアンコロモチさんです。
「拙者からも!……こんなものしか用意出来なかったでござるが……」
そう言ってモチさんは小さなアクセサリーを渡してきました。つるつるとした石の質感。くねっと曲がった特徴のある形の石です。これは……
「『勾玉』ですか!」
「そう、ご存じ『勾玉』でござる。これは神輝石を削って作った特別製でござる」
「えくいん……なんかすごそうなかんじですね!」
「勾玉は古来より神気を高めるパワーがあるといわれている装身具でござる。少しでもチーちゃん氏の助けになればと思って……」
「なんと……ありがとうございます!」
モチさんもここに来てヒロインムーブです。あれ? もしかして私ってモテモテなんですか?
そう思ってると、ユーくんとココッテちゃんも来ました。
「むー、チーちゃんばっかり色々貰ってずるいなー」
「むー」
私が色々と貰ってるのを見て少し不満げなユーくんとココッテちゃん。それを見越していたのか、モチさんはもう2つ勾玉を出してきました。
「もちろん、二人の分も用意してるでござるよ。緑色の勾玉がチーちゃん氏。赤がユージア氏。青がココッテちゃんでござる」
「わーい。つやつやしてるー」
「ん」
「別カラーでお揃いとは粋なことをしますね!」
「みんな……一週間一緒にいた同士でござるからな」
そういうとモチさんが少し恥ずかしそうに言いました。この子、私達に対しては普通に良い子なんですよね……母親に対してはアレですけど。あれですか? やっぱひーちゃんが美少女エルフで魅力的だから意地悪したいタイプなんですか?
「というか、モチはろくに友達がおらんから贔屓したいだけじゃろ」
「ぐ、サクちゃん。余計なことを言うなでござる」
サクちゃんもいつの間にか出てきて言いました。モチさん……友達少ないんですか。私も友達少ないので気持ちは分かります……完全に変人枠ですもんね。今度帰ってきたら優しくしてあげましょう。
「それじゃあ皆の者、準備は済んだかのぅ?」
「「「「はっ!」」」」
サクちゃんの後ろにはお揃いの制服とマントを羽織った強そうな4人の警備の人がいました。いや、警備の人じゃないですね。この人たちは【神帝十二将】と呼ばれる、ハルテン国最強の精鋭達なのです。
はい、思いっきり警備のおじさんたちだと思ってすいませんでした。だって普通にお屋敷で勤務してるんだもの……お揃いの制服かっこいいです。まるで日本の【皇宮警察】みたいな人達です。マジでかっこいいです。
彼らにもこの一週間、私達の修行でお世話になりました。強くて偉い人にも関わらず、私達みたいな子供に気さくに接してくれました。なんでしょうか、これも幼女のパワーなんですかね?
名前は確か……ザスカーさん、グノーシンさん、ランベルクさん、サロミナさんですね。うん、カタカナの名前がずらりと……たぶん忘れそうです。忘れたらごめんなさい。
「うむ、出発じゃ! 門をあけよ!!」
サクちゃんが良い感じの台詞を言って仕切ります。そうして私達は多くのお供を連れ立って神帝のお屋敷を出発しました。
あ、これ戦いに参加する私達だけじゃなくてお屋敷の警備の人ほとんど出るんですね。お見送りかな?
門を開け放つと、音楽隊の音楽が派手に鳴り響きます。え、ナンデ!?
そのまま大人数での行進が続きます。まるで大名行列じゃないですかこれー!
なんでその中で私達もVIP待遇で鎮座してるんですかねぇ!?
今回の戦いに参加しないひーちゃんもなんか豪華な馬車みたいなのに乗せられてます。まぁ現役神帝様ですからね。こういうパレードみたいなのには参加必須なんでしょうね。尚、その中にモチさんはいません。おそらく彼女はお留守番です。逃げたなあやつめ。
そのまま首都オウカの大通りを通るので、民衆もたくさんお見送りに出てきました。
「神帝様御一行のお通りだー!!」
「神帝様ばんざーい!」
「悪神をたおせー!」
「幼女かわいいーーー!!!」
「かわいいぞーーー!!」
なんか沢山の人達の声援が聞こえてきました。こういうときに毎回幼女関連の呼び声がかかるのはお約束なんですかね? ロリコン多くないですかこの国?
「うわー、なんでこんなことになったんでしょう?」
「まぁボクも良く分かんないけど……人、いっぱいだねぇ」
「ん」
まぁなるようになるしかないですね! このまま全速前進だー!!!
今回登場した【神帝十二将】のザスカーさん、グノーシンさん、ランベルクさん、サロミナさん。
ハルテン国最強の精鋭達というだけあって、実は作中でもめちゃくちゃ強い人たちです。でも幼女じゃないのであんまり目立ちません。この作品は、幼女中心に動いてますので。
というかチーちゃん視点で物語が描かれている為、視界に映っているキャラクターに極端に偏りがあります。仕方ないね




