Lo103.今更ですけど、首都の冒険者ギルドも覗いてみますか
式典は終わりました。幸いにも他の冒険者さん達に絡まれるトラブルはありませんでしたね。幼女にしては無難に過ごせたんじゃないでしょうか?
私としては因縁つけられるとか喧嘩吹っ掛けられるとかいうより、もっとモテモテになる可能性もあったと思いますけどね。幼女はかわいいので。討伐隊に幼女がいたら気になりますよね?
あとは私達と同じハイセイカ組のドワーフさんやハンドチョッパーズの人が挨拶に来たくらいですか。あの人達は良い人っぽいので、良好な関係が築けそうです。
うーむ、それにしても船に乗ってた冒険者さん達みんな強そうでしたねぇ。まぁあそこにいるのAランクかBランクしかいないので、実際強いんでしょうけど。
そういえば、Aランクの上にSランクとかってあるんでしょうか?
せっかくなのでガイナスさんに聞いてみました。
「あるぞ。Sランク」
あっさり答えが返ってきました。やっぱりあったんですね、Sランク! Aが最上級だとは思えないゲーム脳のチーちゃんです。評価S狙いは沼です。
「今回の悪神討伐ではいないんですか? Sランク」
「いないな。そもそもハルテン国内にSランク冒険者はいない。現役のSランク冒険者は全て大陸の方にいる」
「そうだったんですか。でもなんで?」
「大陸の方が強い魔物が出現するからな。例えSランク級の実力を持っていても、ハルテン国内では実績が足りずにSランクになれない」
「なるほどー」
要するに大陸で強い魔物倒しまくってたらSランクになれるってことですね。
「まぁ、今回の悪神討伐の功績次第でSランクに昇格する者も現れるかもしれないがな」
「要するに、悪神がSランク級の強さってこと?」
「そうだな……あるいはそれ以上かもしれん」
むぅ、戦う前から不安にさせるようなこと言わないでくださいよー。ポジティブに行きましょうポジティブに!
「どうせならなってみたいね、Sランク」
「まだDですからねぇ、私達」
「お前達の年齢でDランクというのも異常だがな」
「普通ならDランクもいっぱしの冒険者でよー」
おお、感覚が麻痺してましたね。そういえばDランクでもそこそこ強いって基準でした。
「不安に思うことはない。お前達はランクこそDだが、混沌魔物を倒した実績がある時点で他の冒険者にも見劣りはしない。後は経験が足りないだけだが、それも冒険を続けることで埋まってくるだろう」
「うん、ありがとう!」
おお、ガイナスさんは優しいですね。鬼教官のウェダインさんとは大違いです。
「ところで、討伐まであと6日ありますけどお二人はどうお過ごしですか?」
「いつも通りでよー」
「冒険者ギルドに寄ったり、軽く依頼をこなしたり、他には色々と準備に時間を費やすつもりだ。お前達は?」
「今はサクちゃんの家でお世話になってますねぇ」
「そうか……神帝様の……完全に囲いこまれてるな」
「随分気に入られてるでよー」
そうですねぇ。もうあの家の子になっちゃいそうです。権力者に囲われるのは悪い気分はしませんね!
「ガイナスは神気使えるようになったんでしょ? どんな感じ?」
「どんな感じと言われてもな……どうも妹やチーちゃんのように扱えるわけではないようだ」
「そうなの?」
「治癒や祝福、結界術などのサポートは全くできん。出来るのは闘気と同じような扱いだな。自分への強化くらいだ」
「でへへ。そういうのはセンスがいるでよー。兄ちゃには難しかったでよ?」
「へー、センスがいるんですねぇ」
そういえば、アンコロモチさんが言ってましたね。神気は何でも出来るけど向き不向きがあるって。
「戦士の人だったら、どうしても闘う方向に神気を使ってしまうんですかねぇ?」
「チーちゃんは色々出来るけど、その代わり攻撃能力ゼロだよね」
「うーん、それもよく分かんないんですよねぇ。何で色々出来るのか自分でもよく分かってないです」
なんかこう、こういうのって段階を踏んで色々出来るようになるべきじゃないですか?
よく分かんないんですけど、何故か出来る。そして出来ないことは何故か出来ない。
うーん、色々かっとばしてるせいか自分でもあんまり能力制御できてる感じしないです。
「とりあえず、俺はこの方向で神気を使うつもりだ。今は混沌魔物を倒す力が欲しい」
「ボクもそんな感じ。チーちゃんの出来ることじゃなくて、チーちゃんの出来ないことをやらなくちゃね」
「ふむ。役割分担は大事だな」
いくら神気があっても戦う能力の乏しい私は、ユーくんには色々とお世話になってますねぇ。体力尽きたらおんぶとかもしてもらってますし。
神様から魔王を倒せとか使命を授けられましたけど、ユーくんがいなければ普通に詰んでないですか?
「あ、でもチーちゃん一週間でめちゃくちゃ強くなってるからね。たぶんびっくりすると思うよ」
「そうなのか?」
「そうなんですか?」
「何でチーちゃんも疑問系?」
まぁ、地獄の強制修行で足が多少速くなった気はしますが、戦闘面では期待してほしくないですね。逃げ足に活かす予定です!
そんな感じでガイナスさんとシャイナスさんとは別れました。また、決戦でまた会いましょう!
「そういえばせっかくの首都なのに観光してないですね。今からします?」
「うーん、今ゴタゴタしてるし戦いが終わった後でいいかなぁ」
「そうですね。じゃあこの戦いが終わったらデートでもしましょう!」
「うん、知ってる。それ死亡フラグってやつだよ?」
どこで習ったんですかそんなこと!?
「でもこう思いませんか? あからさまに死亡フラグ建てて生き残った方がかっこいいと……!」
「確かに……かっこいいかも。うん、なんかボクも死亡フラグ建てよう!」
うんうん、これでむしろ死亡フラグの乱立で生き残る可能性が増えましたね。これでよし(なにが?)
「あ、そうだ。まだ首都の冒険者ギルドに行ってなかったですね。ちょっと様子見ますか?」
「別にいいけど、絡まれたりしないかな?」
「様子見るだけですよ。ギルドに行ったからといって冒険者としての活動は特にしません。ただの好奇心旺盛な子どもとして出入りしましょう。もしこんな子どもに喧嘩売ってくる人がいたら人としておかしいですし」
こういうのはレベルとかランクとか開示するから嫉妬されて絡まれるのであって、ただの子どもならむしろ平気なはずです。
むしろそこまで世紀末な世界観なら、今後の身の振り方も考えなきゃなりませんね……
そう思いながら首都オウカの冒険者ギルドの扉を開いたのでした。
「こ、このガキ!? 何の恨みがあってこんなことしやがる!! ぐああああっ!?」
唐突に響く野太い男の叫び声と悲鳴。え、何ですか急に!?
「この俺達をBランク冒険者【ユニコーンテイルズ】と知ってて……あぎゃああああ!? 痛い痛い痛い!!! や、やめてくれぇえええ!!」
また別の男の悲鳴が響きます。な、何が起こってるんですか!?
ギルド内は騒然としており、騒ぎに野次馬がたくさん集まっています。
「えーと、何かトラブルですかね? 見に行きますか?」
「うーん。なんか嫌な予感するけど」
とりあえず気になった私達は人混みの中をするすると抜けて騒ぎの最前列に出ました。うん、幼女の小さい身体ってこういうとき便利ですね。
ユーくんは騒ぎの原因を見て言いました。
「あーあ、やっぱり……」
「え、何がやっぱりなんですか?」
私がその視線の先を見ると、ボコボコにされて流血してる冒険者の男4人と、そのうちの一人の腕を無言でひねりあげてるレイプ目の幼女がいました。
あれ……どう見てもココッテちゃんですね?
単独行動してたと思ったら何してるんですか!?




