Lo102.処女航海って響きがちょっとえっちですよね?
サクちゃんの演説が終わりました。
その後も偉い人の挨拶がありましたが、よく知らない人なので分かりません!
まぁいいじゃないですかよく分かんなくても。かわいくて最強のロリババアの演説に勝るものは無いんです。
その後、音楽隊の奏でる壮大な音楽と共に船が岸を離れました。処女航海ですね!(えっちな響き)
港に集まってた観衆から大歓声を受けて出発します。へー、今日はもう適当にクルーズして終了ですかね? 良く分からないまま乗せられたので、予定がさっぱり分かりません。
もう自由に動いていいらしく、他の人達も自由に話し始めました。
「あ、この船に乗ってる人達ってもしかして今度一緒に悪神と戦う冒険者の人達なんですか?」
「逆に何だと思ってたの?」
「いやー、あはははー」
今更すぎますね。お祭りだから観覧船の乗客的な何かかな?と思ってました。
「まぁ参加は強制ではないから全員ではないが、討伐に参加する者の半数ほどが乗っているな。いずれもAからBランクの高位冒険者だ」
「はえー、なんか強そうだと思いました」
なんか強そうな雰囲気あると思ってましたが、そういうことでしたか。ウェダインさんやガイナスさんと同じくらい強い人もこの中にいるんでしょうか?
「挨拶まわりとかした方がいいんでしょうか?」
「真面目だねぇ。後でいいでよー。今はこの船の乗り心地でも楽しむといいでよー」
シャイナスさんがそう言ったので、船を楽しむとしますか!
船は波を割り、ぐんぐん進んでいきます。おお、風が気持ち良い! お空は快晴でとってもいい気分です!
ユーくんが興奮したようにはしゃいでいます。
「すごいね! すごいね! ボク船乗ったの初めて!!」
「私も普段乗る機会が無いから楽しいです!」
いやー、思いのほか楽しいです! ユーくんと一緒だから楽しいのかもしれませんね! 28歳アラサー女、年甲斐もなくはしゃいでいます!
「しかしこれ、動力はどうなってるんですかね? 帆も張ってないし風力じゃなさそうですけど」
「これは最新の魔導船だ。魔石に込められた魔力を燃料として推進力を得ている」
「よく分かんないですけど、ロマンですねぇ」
まどーせん。なんか異世界独自の技術っぽいです。よく分かりませんけど、動くならそれで良いです!
もう蒸気機関とかいらないんですねこの世界。
「結構な速度が出ててますけど、あんまり揺れないですね?」
「風も大したことないね。なんだろう、船全体が魔法の壁みたいなので護られてるっぽい」
はえー、そんな感じなんですね。そういえば私も船酔いとか全然してないです。
「ふむ、大した技術だな。大陸ではハルテンの魔導技術は遅れてる等と言われていたが、島国だけあって造船に関する技術は世界一かもしれん」
そういえばお二人はこの国の出身では無かったんでしたっけ? たしか大陸のメシマズ国家って言ってましたね。
いつか二人の国にも行ってみたいですねぇ。
「ねぇ、そんなことより。この船で一番強いのって誰なの? たくさん冒険者乗ってるけど」
ユーくんが流れをぶったぎってガイナスさんに聞いてきました。なるほど、確かにそれは気になります。
ガイナスさんは少し悩むそぶりをしましたが、はぐらかさずに大真面目に答えました。
「まず一番強いのは初代神帝様で決まりだろうが……その次に強いのは恐らく俺たち冒険者ではなく、【神帝十二将】の面々だろうな……」
「しんてーじゅうにしょう……って何ですか? かっこいい名前ですけど役職ですか?」
「神帝を守護するハルテン国最強の精鋭達のことだ」
そう言ってガイナスさんは船の艦橋に目を向けます。そこには神帝ヒオウギアヤメさんを守護するように4人のお揃いの制服を着たマントの人たちがいました。うーむ、かっこいい。あのパリッとした制服がいかにも軍人さんって感じです。
「今回の作戦では十二将のうち4人が参加するらしい。特にあの【竜烈剣】のザスカー殿は有名だな。あそこにいる顔に傷が入った御方だ」
あ、昨日屋敷で見た警備のおじさんですか。確かにめちゃくちゃ強そうです!
というかただの警備のおじさんじゃなかったんですね? すごい人っぽいです!
「あれ? ひーちゃん……じゃなかった。神帝ヒオウギアヤメさんは強くないんですか?」
「未知数だな。祝福や結界術に長けていると聞いているが……聖女でもサポート系の能力に長けてる者は、逆に戦闘力においては一歩劣るものだ」
「要するにチーちゃんみたいなタイプってこと?」
「おそらくな。そもそもあの御方は今回の作戦には参加しないから戦力に数えることはできない。現役の神帝様の身に万が一のことがあれば国が揺らぐからな」
「なるほどー。だから初代神帝っていう虎の子を出してきたわけですか」
政治的なことはよく分かりませんが、まぁひーちゃんは確かにあんまり強くなさそうです。バフ専門って感じですかね? ……あの周りに浮いてる剣(戸塚さん)はなんなんだって感じですけど。
「他には強い人いるの?」
「他にはAランク冒険者の【砲撃王】バレスマルス、【風狼刃】ウインブレイド、【砂塵の疾風】レインドロップキッドなどが有名どころか」
「へー、色々いるんですね」
「チーちゃんめちゃくちゃ興味無さそう」
えっ、そんな顔してましたかね私?
まぁ確かに……幼女がいないならあんまり興味わかないんですけど。あーあ、私たちの他に強い幼女いないかなー。
そんなことを思ってると、サクちゃんが艦橋から降りてきて軽い感じで話しかけてきました。
「なぁなぁ、どうじゃった儂の演説? ああいう場に立ったの久しぶりじゃったけど」
「かっこよかったです!」
「なんか偉い人って感じだった!」
「そうじゃろ~♪」
私とユーくんの答えに、サクちゃんはドヤ顔のご満悦です。めっちゃご機嫌です。
問題は、このやりとりが周囲にめちゃくちゃ注目されているってことでしょうか?
他の冒険者さん達の声が聞こえます。
「あれが初代神帝ミカド様……? 本物見るの初めてだわ……」
「あれ? もっと大人って聞いたけど……」
「いつの時代だよそれ。俺は祭りのときに見たことあるけど、今はあんなんだよ」
「いや、どうしてあんなんになるんだよ。絵巻物じゃ長身の美女だったぞ?」
「あんなんって何だよ。あれがいいんじゃろがい!」
サクちゃんの姿を見て、みなさんざわめいてますね。はい、最後の冒険者さんだけには完全同意です。どうしてサクちゃんが幼女になっているかの経緯は良く分かりませんが、幼女は最強なので問題ないです。
「むぅ、久しぶりに目立ったから注目されとるのぅ」
「でも久しぶりに出たのにサクちゃんが初代神帝本人かどうか疑う人はいないんですね」
「そういえばそうじゃなぁ。昔とは姿が変わっとるのに。なんでじゃろ?」
「きっとサクちゃんのあふれるカリスマが神帝感を出してるんですよ!」
「おお、やっぱりそう思うか! ちぃ子は賢いのぅ!」
私がヨイショするとあからさまに喜ぶサクちゃん。やっぱ基本ノリ軽いですねぇこの子。
私達が適当なことを言ってると、ユーくんがまともなツッコミを入れました。
「いや、たぶん現役の神帝様に『こちらが初代神帝です』って紹介されて出されたからじゃないかな……?」
「うぬぬ、全部ひぃ子への信頼か。300年の在任期間は流石じゃのぅ」
サクちゃんがちょっと悔しそうな顔をします。まぁ300年も表舞台やってれば信頼されますよねぇ、あのエルフさん。というか『ひぃ子』って呼んでるんですねサクちゃん。
冒険者さん達の注目はサクちゃんだけではなく、私達の方にも向きます。
「ミカド様とあんなに親しげに話しているとか、あの子供たち何者……?」
「血縁者とか? 神帝一族の……」
「そういえば、ヒオウギ陛下って子どもいるんだっけ?」
「そのへんの話は秘匿にされてるらしい」
あ、あれ? なんか私達、ひーちゃんの子どもだと疑われている??
アンコロモチさんのことって非公開情報なんですかね?
「むぅ、注目されてやりづらいのぅ。とりあえず儂は引っ込んどくから、しばらく船上のクルーズを楽しむが良いぞ。後で食べ物も運ばれてくるからのぅ」
「わーいパーティーだね!」
そう言ってサクちゃんはとっとと船内に引っ込んでいきました。
「えーと、何だったんですかね? なんでサクちゃん、こんなところで注目を浴びるようなことをわざわざ……」
「なんかジロジロ見られてやりづらかったね」
私がそう思っていると、ガイナスさんが疑問に答えました。
「おそらく牽制……だな。お前たちは見た目で侮られやすいし、ランクも低いからな。冒険者もいいやつばかりではない。下手をすると、変な因縁をかけられかねない」
「初代神帝様に目を掛けられてる存在ってだけでちょっかい出しづらくなるんでよー」
「悪神討伐の前に内輪揉めや面倒事は避けたいからな……」
なんと。そんなことを考えてたんですかサクちゃん。
え、つまりめっちゃ私たちのことを気にかけてくれたってことですか? さ、サクちゃん……(感激
「でもそのせいで神帝の隠し子疑惑が出てるんだけど?」
「言わせておけばいい。周りが勝手に勘違いしてるだけで、お前たちから言ったわけではないんだろう?」
そんなことを言ってるとアンコロモチさんの立場はどうなってしまうんですかね?
まぁ……そこらへん考えるのはやめときましょう! そういう政治は私に向いてないです!
その後、1時間ほどクルーズは続き、船上で食べ物を食べたり飲んだりして帰港しました。
ダンスはしませんでした。みんな踊らないのかー。
会話にだけ出てくるAランク冒険者の名前は適当につけました。たぶん全く重要人物じゃないので……
え、競走馬の名前に似てる? ……気のせいです!




