Lo100.船を見に行くだけって聞いてたんですけど!?
結論から言うと、私がココッテちゃんの為にデザインした巨大武器は見事採用されました!!!(唐突)
えーと、昨日のココッテちゃんの強請……おねだりのことです。締め切りはたった1日でしたが、なんだかんだ描いてると結構楽しかったです! いくつか候補を描いて選んでもらう形にしてもらったのですが、ココッテちゃんは迷わず私がイチオシだった武器を選び取りました!
いやー、あれを選ぶとは浪漫を分かってますね! 私は武器職人じゃないので実用性があるのか分からないんですけど、まぁココッテちゃんなら上手く使いこなすでしょう。
完全に見た目重視の武器ですけどね!
デザインしたお礼にココッテちゃんは頭をナデナデしてくれました。うひゃー! これだけで報われるってもんですよ! その後ドレインタッチで神気吸われましたけど。
まだココッテちゃんが【神装】を使えるようになるかは不明ですが、決戦のときには披露してくれるそうです。あれを振り回すココッテちゃんカッコいいだろうなぁ。楽しみです。
そんなわけで朝です。
私達は首都オウカの港にいました。なんかサクちゃんが朝から、「今日は船見に行かんか、船!」とめっちゃ推してきたので。
ユーくんも見たいって言ってたので一緒に来ました。ココッテちゃんはどうでもいいらしく、首都のどこかで単独行動してます。うーん、ゆるぎないマイペース。
結局ユーくん、サクちゃん、私の3人で来ましたね。
「わー、すごいね。人いっぱいだね!」
「ほえー、なんかのお祭りですかね?」
何故か港は人がいっぱいでした。漁師さんがたくさん、というわけじゃなくて普通の庶民とか家族連れが多いです。屋台とかも並んでます。何かのイベントかな?
「言ったじゃろ。みんな船見に来とるんじゃって」
「ほうほう、竣工式ってやつですか?」
「進水式じゃな! 竣工式は建物じゃろ」
「うひゃー、恥ずかしい。間違えて覚えてました」
「船でも竣工式って言うよ?」
「むぅ、ユー坊は良く知っとるのぅ。知識でマウント取るつもりが逆に取られてもうたわ」
ほえー、まぁ違いはよく分かんないんですけど、とりあえずなんかの記念っぽい集まりです。イベントです。
せっかくなので私は屋台でたこ焼きを調達しました。ユーくんとサクちゃんも食べたがったので、みんなでシェアして食べました。異世界で食べるタコ焼きは初めてですが、あつあつでほふほふです!
日本で見られるようなザ・たこ焼きですね。特に真新しいことは無かったですが美味しいです! 異世界って何でしたっけ?
「ところで何で船なんか見に来たんですか?」
「そりゃ、儂らが乗るからのぅ」
「乗るって船に? おお、つまり大陸へ行くルートの開拓ですね!」
悪神を倒した後はいよいよ大陸行き、ということですか。少し気が早いと思いますがわくわくしますね! 次はどんな冒険が待ってるんでしょう!
「チーちゃん、なに言ってるの?」
「え、新大陸に行くんでしょう? そのときに船乗りますよね?」
「なんか勘違いしとるのうこやつ」
はて、勘違いとは?
それはともかく、せっかく港にいるので船を見に来ました。人だかりはすごいですけど、私達幼女は小さいので人ごみの中をするする抜けて進みます。うん、小さいって便利ですね。
そして人ごみを突き抜けて、最前列まで来ました。進入禁止のトラロープが張ってありますが、サクちゃんは迷わずくぐります。
えーと、いいんですかね? 関係者以外禁止っぽいんですけど。まぁ……いいですか! サクちゃんは偉い人っぽいので!(思考放棄)
そしてようやくその全容が見えました。
「これが儂らの乗る船じゃ!」
そこには100m級の立派な船がありました!
「ほえー」
「船だー!」
私達は感嘆の声を上げます。なんか綺麗な船ですね。木造の海賊船みたいなのを想像してたんですけど、まばゆい純白色に塗装してあります。なお、材質はさっぱり分かりません!
「サイズは100m級の中型船。大きさよりスピードを重視しとる。見よ! このスマートな流線形! めっちゃ速そうじゃろ!?」
「たしかにこの形、なんだか近未来を感じます!」
一般的な船は箱型みたいな形をしてるのが多いんですけど、これはプレジャーボートに形が似てますね! とっても速そうです。
「船の先端もこう、とがっててのぅ。衝角突撃とかめっちゃ出来る!」
「ら、らむあたっく……?」
「砲台は少なめじゃが、動力に混沌魔物から得た巨大魔石を使っとるから威力は高いんじゃ! ドラゴンブレスくらい威力あるぞ! たぶん!」
「いやいや何と戦うのを想定してるんですか!?」
私がツッコミを入れると、サクちゃんは呆れた顔で言いました。
「何って……悪神じゃろ」
「へ?」
「チーちゃん。ボク達この船に乗って戦うんだよ。聞いてないの?」
「……えええーーー!?」
初耳ですよ! じゃあ、悪神との戦いって海戦なんですか!?
「どうやら知らんかったようじゃな」
「ボクはウェダインさんに教えてもらってたから知ってたけど」
「ええええ……私だけ知らないんですか?」
「てっきりチーちゃんも聞いてたと思ったんだけど……」
「え、ぜんぜん知らないです」
「チーちゃん……」
えーと、あのときは過酷修行でへろへろにくたばってましたからね? そんな状態で聞いても右から左に抜けますよ。
だからそんな残念な生き物を見る目で見ないで下さい!
「悪神オオイカヅチは海におってのぅ。交易や漁業の邪魔になっとったんじゃ」
「そうだったんですか」
「うむ、やつが出現し始めたのはほんの1年ほど前じゃ。その間色々と被害があってのぅ。海におるから手を出せんかったんじゃが、こうやって船が完成したから反撃に打ってでるってのが今回の戦いなんじゃ!」
そういう話だったんですか……しかし、海にいるとは。海洋生物なんですかね、悪神って?
「というわけで式典が始まるからゆくぞ」
「え、せれもにー?」
せれもにーってなんでしたっけ? よくわかりません。
言われるがまま進んでいくと、船に乗る渡し板の前に連れていかれました。周りに集まっていた大衆がざわめき、わぁっと声が上がります。
「なんだあの子供たち?」
「引率児童か??」
「かわいい~! ほら、緑の尻尾生えてる~!」
「先頭にいる子はツノ生えてるな……まさかあれが……?」
……今気づいたんですけど、なんかめちゃくちゃ注目されてないですか私達? めっちゃ視線感じるんですけど。
前を行くサクちゃんが催促します。
「ほれ、ぽけーとしとらんで船に乗るぞ」
「え、乗るんですか?」
「そりゃ乗るじゃろ、式典じゃし」
な、なんだかよく分かりません。一体何が始まるんでしょうか? とりあえず言われるがままについていきます。うぇぇぇぇ、大衆の歓声が後ろでめちゃくちゃ聞こえてきて、振り返れません! な、何が起こってるんですか!?
タラップを渡って船に乗ると、そこには既に先客が数十名か乗ってました。なんか武装してて強そうな人達もいれば、ラフな格好の強そうな人もいます。戦士っぽい風貌の人もいれば、魔法使いっぽい人もいます。服装に統一性は無いです。なんですかこの集団。みんな強そうなんですけど!?
とゆーかみんな大人です。子供は私達しかいないんですか!?
私たちが船に乗った瞬間、彼らの視線が一斉にこちらに向いてきました!
「なんだ……誰かの子どもか?」
「迷子か? 悪戯小僧か??」
「いや待て、あのツノの生えた御方は……」
「え、まじか。するってぇと後ろのチビも関係者……?」
「いや、それは知らんが……」
にわかにざわめき、どこか品定めするような目がこちらを見つめます……いや、なんか緊張するんですけど!?
サクちゃんはそれを完全にスルーして、こちらに言いました。
「うむ、儂は向こうで準備があるから一旦別れるかのぅ」
「え、準備って何ですか?」
「まぁ適当にここらで待っとれ。5分後くらいに始まるからのぅ」
そういってサクちゃんはどっかに行きました。
え、なにがですか!? というかここで置いていかれるんですか!?
知らない大人だらけで完全にアウェイっぽいこの場所で!?
あわあわして、ユーくんの服の裾をつかむと「大丈夫だよ」とユーくんは言いました。おおぅ、動じてない……それどころかこちらを気遣う余裕すらあるとは。なんというイケメン幼女ですか?
すると、集団の中から見知った顔が出てきました。
「おー、ここで会ったが100年目でよー」
「別れてから1週間ぶりくらいだな。元気だったか?」
「シャイナスさん! ガイナスさん!」
こちらに声をかけてきたのは、全身鎧のガイナスさんと盲目の聖女シャイナスさんの冒険者兄妹です!
お二人は私たちを集団の中にエスコートしました。おお、エスコートされるキッズ。なんともスマートな動きですね。おかげで悪目立ちしていた私達もすんなり集団の中に混じれました。
「お二人もこの船に乗ってたんですね!」
「俺たちだけではないがな」
ガイナスさんが指を差すと、ハイセイカのダンジョンで出会ったドワーフさん達と馬車で一緒になったハンドチョッパーズの皆さんもいました。
「ほえー、みなさん来てたんですねぇ」
「そりゃみんな来るよ。式典だもん」
なるほどー、せれもにーだからですねー。
……え、なんで私達ここにいるんですか? これからダンスパーティーですか?
「ほら、始まるよ」
「え、え、始まるんですか? 踊った方が良いですか?」
「とりあえず、黙ってた方が良いと思うよ?」
あ、はい。黙ります。




