表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化進行中】もう私『へとへと聖女』ではありません! 〜婚約者から偽聖女扱いされて追放された私は、隣国で皇太子に溺愛されました〜  作者: 遠 都衣
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/60

第16話 【SIDEフレドリック】フレドリック、帝国にたどり着く

 エステルの行方を追って進んできた結果、辿り着いたのは帝国の首都――帝都だった。

 

 さて、どうやってエステルの足跡を知り得たのかというと。

 用意周到というかなんというべきか、エステルを追放した後、シルヴィアはこっそり、エステルを始末するために追手を放っていたのだそうだ。

 ――私にも知らせることなく、秘密裏に。

 しかしどういうことなのか、追手のいずれもが何者かの力によって阻まれてしまい、結局エステルを始末できないまま、帝都で行方を見失ってしまったらしい。


 そのことを、帝都に向かう直前――左手を失ったシルヴィアを置いていくと決めた時に――シルヴィアから聞かされた。


「わたくしからフレドリック様への、最後の餞別ですわ」と――。

 

 その時になってはじめて、シルヴィアという女は相当に強かな女だったのだということを知らしめられた。


 ――まあ、おかげでこうやってエステルの足跡を追って来られたわけなのだが。


 そうして、シルヴィアから引き継いだ伯爵家お抱えの追手の話によると、どうやらエステルは、聖王国を出た後、行商人と一緒に帝国に向かったらしい。

 行商人というのが、いかにも平民のエステルが選んだ相手らしいと思ったが、しかし、逆に考えると都合が良かった。

 相手が行商人なら、金で解決できる可能性も高い。

 万が一それでごねられたなら、武力行使すればいいだけの話だ。

 エステルを引き取った相手が帝国の貴族だったら厄介だったが、行商人だったらまだ、私の運もまだ尽きてはいないな、と思った。


 ところが。

 帝都に来れば、なにかしらの手がかりが掴めるだろう――と思っていたのに、探せども探せども、まったく手がかりになりそうな話が見つからなかった。


「どういうことだ……!? なぜ行き先がわからない」

「……我々が帝都まで追ってきた時に、皇宮に入っていくところまでは確認しております」


 伯爵家の隠密部隊なのかなんなのか詳しくはわからないが、部隊のリーダーらしき熟年の男が仏頂面で答える。

 さすがの追手も、皇宮の中にまで入っていくことはできず、物陰から確認することしかできなかったらしい。

 その後、用事を済ませてふたたび皇宮から出てくるのを待ち伏せていたが、待てど暮らせど出てくる様子はなかったのだそうだ。


「……別の出入口から出た、ということはないのか?」

「我々の把握していない入口があるのでしたら分かりませんが……、いまのところ何ともですな」


 ……どういうことだろうか。

 まさかエステルが、追手に気づいて何か対処したのだろうか。

 もしくは、例の行商人が気づいて、撒かれてしまったのだろうか。

 エステルを始末しようとした追手が何者かに阻まれたこともあるし、撒かれた可能性はなくはない。


「この辺りの商家に、それらしい背格好の男がいないかは調べたのか」

「もちろん、既に手は尽くしております。しかし、何分にも数が多いので」


 と、熟年男がピシャリと言い捨てる。

 確かに、帝都ぐらいの大きさの都市になれば、大小合わせると商家もたいそうな数になる。

 目ぼしいところは当たってみたが、いまのところそれらしい人物は見つかっていない、とのことだった。


 役立たずどもが、と胸中で毒づき、今後どうすべきか考えを巡らせる。

 しらみつぶしに一軒一軒商家を回っていくほかないのか……、それとも……。


 ジリジリと、考えれば考えるほど。

 どいつもこいつも、腹立たしくて仕方がなかった。

 

 目の前のこの男もそうだ。

 口先では敬語を使って接してくるが、目の奥ではこちらを侮蔑している様子がありありと見える。


 それとは別の、聖王国から着いてきている見張り役の兵士たちもだ。

 この前まで、聖王国の王子である自分に対して媚び諂っていたのに、手のひらを返したように侮った様子で接してくる。

 こいつらは、以前のように聖王国の王子の部下として侍っているのではなく、こちらが逃げ出さないか監視する見張りなのだ。そうして、こっちが失敗したら、したり顔で聖王に私の失態を報告するのだ――。


 イライラと苛立ちを募らせる中、思考を巡らせる。

 何とかしてエステルを見つけ出して聖王に命乞いするか。もしくは――、監視をくぐり抜けて逃走するか。


 対策を考えながら、ふと浮かんだ夢想に、一瞬意識を奪われる。

 ――聖王もエステルも何もかも殺して、聖王国を乗っ取る――。

 そんなことができたら、どんなにか胸が空く思いがするだろうか――。


 我ながら滑稽だとは思うが、もはやそんな夢物語を胸中で描くことでしか、自分を保てないのだった。


 黙考もそこそこに、ひとまず、帝国の首都である帝都に拠点を置き、まずはわずかな情報からでもしらみつぶしに探すことにした。

 ここを訪れたのは間違い無いのだ。根気良く探せば、必ず情報は見つかるはずだ。


 聖王都の、豪奢な居室で暮らしていたはずの自分が、こんな場末の小汚い宿を拠点に活動しなければならないことも耐え難かったが、それもすべて、エステルを捕らえた時の歓喜を想像して耐え忍んだ。


 まずはエステルを見つけ、捕まえること。

 話はすべて、それからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して

★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ