表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化進行中】もう私『へとへと聖女』ではありません! 〜婚約者から偽聖女扱いされて追放された私は、隣国で皇太子に溺愛されました〜  作者: 遠 都衣
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/60

第13話 へっ? わたしってけっこう、すごい聖女なんですか?

「ま、魔獣……!?」

「正確には、魔獣の一部……つまり浄化された()()の部分。核となる魂の部分はまだ聖王国にあるし」


 それは、結局のところ魔獣本体っていうことなのでは……?


「まあ、警戒する気持ちはわかるけど。弁解というかちゃんと説明すると、ここにいるおれは、エステルに浄化されて人化できるようになった部分だから。警戒しなくても、害を与えることはないよ」


 そう言って、両手を上げながらレイヴンが告げてくる。


「浄化……? わたしが……?」

「聖女の能力っていうのは、人から感謝されるほど高くなる。エステルは、聖王国にきてから自主的に人助けに励んでたじゃないか」


 確かに……。

 生まれ持った身分が低い聖女だから、せめて人の役には立とうと、聖王国にいた時はあくせくと働いていた。

 それこそ、寝る間を惜しむほどに。

 結果それが、しんどくなって過重労働になって最後には自分の首を絞めるほどにヘトヘトになっていたのだけど。


「エステルが聖女になったことで肉体が綺麗に浄化されて、肉体に宿った意識の残滓(ざんし)が自立するくらいに復活したんだ。そのうちなんとか実体を持てるようになったから、それであの黒い犬みたいな姿でエステルの前に出てくることができたんだけど」

「はぁ……」

「それが……! もうちょっとで魂の方も浄化が終わるかって時に、あのバカ王子が! エステルを追放なんてするからさあ」


 そう言って、レイヴンがぷんぷんと怒り出す。


「ちょ、ちょっと待って。話についていけなくて……。もうちょっとで浄化が終わる?」

「そうだよ。肉体が再び自立できるくらいに浄化されて、あとは魂の浄化が終われば、転生できるはずだったんだ」


 レイヴンの説明によると、つまりはこういうことだ。

 もともと聖獣(という名称となっているが、実際には神の御使にあたるので、神獣と呼んだ方が正しいらしいが)だったレイヴンだが、闇落ちして魔獣になったことで、倒された後、輪廻にのることができなくなってしまった。

 そこを、神様の計らいで、何百年かかるかわからないが聖女の浄化を受け続け、最終的に瘴気が除去されるまでになったら、聖獣に戻してあげるから輪廻にのっていいよ、という話になったのだそうだ。


「肉体と魂を分化したおかげで、こうして肉体(オレ)の方は人の姿をとれるくらい回復できたけど……、バカ王子のせいでエステルと魂が離れちゃったから、完全浄化ができなくなっちゃったじゃんか!」

「そ、そうなんだ……」


 よもや、そんな事態になっているとは……。

 というか、自分が聖女として結構役に立っていたのだという事実を、追放されてから知らされるとは。


「え、じゃあわたし、なるべく早く聖王国に戻ったほうがよかったりするの?」

 

 わたしが離れてしまったことで魂の浄化が滞ってしまっているのであれば、早く聖王国に戻って魂の浄化を進めたほうが良いのだろうか?

 そうなると、わたしの独断では行動できないし、アスラン様にも相談しないといけないなあと思って聞いてみる。


「まあ……、中途半端な状態で浄化が止まっちゃってる魂については、ちょっとかわいそうかなーとは思うけど……」


 自分の肉体を、まるで他人事のようにかわいそうと言うレイヴン。

 え、なんか軽い調子で言ってるけど、いいのそれ?


「とはいえ正直、エステルを(しいた)げてたバカ王子も、バカ王子を御しきれなかった聖王も、ちょっとは痛い目見ろと思わなくはない」

「て、手厳しいなあ……」


 なんだか、アスラン様と同じようなこと言ってるし。

 まあ、アスラン様も結局のところは元聖獣の子孫になるわけだし、血筋が同じだと思考も似たようなこと考えるんだろうか?


「その、浄化が放置されてる魂の方は、放置されてることで痛かったり辛かったりすることはないの?」

「うーん、まあ……結局痛みとかっていうのは大半、痛覚のある肉体が感じるものだし。肉体(オレ)がここに出てきてて、エステルの近くでいまも浄化されてはいるから。感覚的なものはそんなに辛くはないと思うけど」

「けど?」

「……どこか、寂しくはあるんじゃないかな。おれたちにとって、エステルの浄化の力っていうのは、癒しであり温もりなんだ」

 

 そういう意味では、早くなんとかしたいって思いはあるけどね、とレイヴンが言う。


「……。結局のところ、わたしはどうしたら……」

「まあ、聖王国側がどう出てくるのかを一旦様子見で、あとはここの皇太子に相談するのがいいんじゃない?」


 あんまり長いこと放置しないほうがいいとは思うけど、いますぐ動かなければいけないほど切羽詰まった状況でもないと思う、とレイヴンが言う。

 

「聖王は呪いを受けて苦しいだろうから、かわいそうっちゃかわいそうだけど、日頃の行いが悪くなければ、天の采配(さいはい)が働いて解決の方向に動くだろうし」

「そういうものなの?」

「うん。結局のところ、この世界の力のありようって”(ごう)”だからね」


 そういうと、レイヴンは「はー、久々にたくさんしゃべった……」と言って、ぽふっ、とわたしの膝の上に身を投げ出し、ごろごろとくつろぎ始めた。


(ごう)……」

「エステル、ちょっといい?」


 レイヴンの言った言葉の内容について、わたしが思いを巡らせ始めたところに、コンコン、と部屋のドアをノックする音がした。

 ――アスラン様だ。


「あ」

「? エステル? いないの?」

「は、はい!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して

★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ