↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/23

番外編 侍女は幸せ(マリー視点終)




「う゛う゛う゛……マ゛リ゛ぃ……」


「泣きすぎですよ、お嬢様」


「だ、だい゛ずぎよ゛、じあ゛わ゛ぜに゛な゛っでね゛ぇっ……ひぐっひぐっ! ううぅっ!」


「はいはい。マリーは幸せになりますので。次はお嬢様の番ですからね」


「……ひぐっ……ひぐっ……」


 私は苦笑しながら、泣きじゃくるお嬢様を見つめました。

 こんなに短い間に、二回も嬉しさで号泣するお嬢様を見られるとは思いませんでした。

 私も、まだまだ王子には負けていないことがわかって、嬉しい限りです。





 本日は快晴。

 そして、私の結婚式でもあります。


 そうです!


 ヴィヴィとの賭けに見事勝利した私は、彼と家族になる権利と高級ボトルを勝ち取ったのです。


 まぁ、あんなことがあって決闘は無効になってしまいましたし、賭けの勝敗も微妙と言えば微妙でしたけれども。

 リオルド殿下は帰ってしまわれましたし、お嬢様の心を射止めたのはジェラルド殿下の方のようでしたので……。


 私の勝ちです! その件に関しては異論反論一切認めません。


「ほらお嬢様、旦那様たちの所へお戻りください!」


 本当に王子サマサマでございますね。もちろん本人には言いませんけれども。


「マリー」


 向こうから私を呼ぶ声がします。もうそろそろ彼の元へ行かなければ。


「マ゛リ゛ぃぃぃ……」


「全く。お側を離れるわけじゃないんですから。明日、その腫れた目やお顔の手入れをするのは、誰だかわかってるんですか、お嬢様?」


「…………マ゛リ゛ぃ……」


「わかってるなら早く! 戻って! ほら!」


 お嬢様はこくこくと頷きながら、旦那様たちの席へと戻っていきました。


 ありがたいことに、旦那様や奥様も笑顔で、涙ぐんでくれています。

 彼らはこの結婚を報告した時も、「マリーは私たちの娘のようなものだから私たちも嬉しい」と言って、我が事のように喜んでくださいました。

 私も、心の中ではお二人を、両親のようにお慕いしておりますとも。


 お嬢様の隣では、金髪頭がハンカチを差し出しております。


 あやつも随分と成長して……あ、ちょっとそれ、握りしめすぎてシワッシワではありませんか!

 そのガサガサなハンカチで、お嬢様の繊細なお肌に傷でもつけたら許しませんからね、クソ王子!



「マリー、おいで」


 そう言って優しく私の手を引くのは、大切な私の旦那様。


 女として愛されなくても、男として愛することはできなくても、かけがえのない私の家族。


「綺麗だよ、マリー」


「ヴィヴィこそ素敵ですよ」


 ヴィヴィは、はにかんだように笑って、その逞しい腕に私の手を絡めます。


 視界の端には、彼の家族が見えます。


 ヴィヴィはまだ、家族に対して蟠りがあるようで、彼らを式に呼ぶことを反対しましたが、私が来てもらうべきだと言って譲りませんでした。


 そして彼らの様子を見るに、私たちを心の底から祝福をしているように思えます。


「喜んでいるどころか、厄介払いできてほっとしているのよ」


 あら。彼にもどこかの誰かさんの憎まれ口が移ってしまったようですね。


 でも、そう呟いた彼の口元は少し綻んでいます。

 多分それは、一番近くに私だけにわかる表情。

 



 でもね、ヴィヴィ。

 きっと、誰も。

 不幸になってほしい訳ではなく。

 大切な家族に幸せになって欲しいからこそ。




 人は、自分の幸せを人に当てはめてしまおうとするのでしょう。




 でも、私は。


 私たちは。


 人とは違う幸せの形を探していくのです。


 これから先もずっと二人で。







「……あなたがた二人は、いつ如何なる時も、互いを裏切ることなく、尊重し、助け合い、愛し合うことを誓いますか?」


「「誓います」」




 だから、私たちは、




 家族として愛し続けることを。









 ──誓います。









(番外編 完)







これにて本編、番外編ともに完結です。


文章や構成などの甘いこの作品を、最後までお読み下さりありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。