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死んだことにされた伯爵令嬢は公爵令嬢として幸せになる  作者: ちる
リリーナ・サイフォールド伯爵令嬢は死んだ
9/26

ルーカスの告白ー過去編ー

ストックが尽きました。次は2日後を予定してます。

「ふふ。そんなに緊張しなくて大丈夫だよ。母上も言ったかもしれないが、ここは非公式の場だから。この庭園は僕たち家族の為に作ってもらった物なんだ。一応侍女や護衛もいるけど必要最小限だしね。


っと、話を戻すね。リリーナと結婚したい理由だったね、それはこの前のお茶会で楽しく食事できたからさ。他の令嬢たちはお菓子に見向きもしない子が多くてね。まぁ一部の子はお菓子にしか興味がなかったみたいだけど。ふふ。


お茶会に出したお菓子やお茶は母上が悩んで悩んで料理人達と開発したり、選んだものなんだ。リリーナが美味しそうにお菓子を頬張る姿を見て、母上の苦労が報われた気がしてね。


まぁそれは話すきっかけにしかならなかったんだけど、話してみたら思いの外楽しくてね。この子なら僕の心の支えになるなぁと思ったんだ」


ルーカスは顔を赤くして少しうつむきながら早口に話した。


「そ、そ、それはありがとうございます?」


「ふふ。何で疑問系なの?あははは」


リリーナは照れ隠しにフォンダンショコラを口いっぱいに頬張った。


「まぁ婚約を受けてくれるにしろ断るにしろ、お互いのことを知っていたほうが良いと思って母上の提案に乗ったんだ」


ルーカスはお茶を一口飲み、そっとリリーナを見つめた。


「そうですね。お話を聞いた時はビックリしましたけど、良き婚約者にしろ友人にしろお互いを知らないといけませんね」


その後はお互いの趣味や好きな食べ物、好きな本など取止めのない話をたくさんした。リリーナが思っていたよりもルーカスは話しやすかった。もちろん前回の茶会でもそうだったのだが、前回のは人目が多かったのもあり、ルーカスはどこか作り物めいた笑顔であったし、話す内容もかしこまった感じがあり、リリーナとの間に壁がある気がしていたのだ。


(きっと今のルーカス様が素のルーカス様なのね)


どちらもルーカスには変わりないが、素のルーカスが好ましく思えた。


そろそろ帰りの時間となる頃、ルーカスは少し落ち着きをなくし、ソワソワしだした。


「あーこれは重要なことなんだが、そのーもし婚約者となった場合、すぐに教会で婚姻の儀を執り行いたい」


「!?」


驚きすぎて食べようとしていたマカロンが転がり落ちた。


(婚約してすぐに結婚するの!?)


「あー婚姻の儀と言ってもすぐに結婚するわけではないんだ。教会の婚姻の儀とは執り行った相手意外と婚姻しないという儀式なんだ。


我が国の教会が信仰している神は愛の女神リシャール様だ。リシャール様は唯一人を愛することを善としているためこの国では一夫一妻制だ。しかし、王族は側妃を持つことを許されている。理由は世継ぎは多いほうが政治利用できるという建国時の王の考えからだ。だが、王族でも婚約中に教会で婚姻の儀を行っていた場合、側妃は娶れない。リシャール様の怒りに触れるからね。まぁ実際は婚姻の儀は一種の契約魔法で他の者と婚約や婚姻が出来ないように魔法でなっているんだ。だから一度婚姻の儀をすると相手が死なない限り他の者と婚約ないし婚姻はできない」


「そうなんですね。でも・・・婚約してすぐでなくとも良いのでは?」


「あーこれはあまり知られていないんだが、父上と母上はこの婚姻の儀を行おうとしていたんだが、行う前に宰相の策略に嵌って側妃を娶らなければ行けなくなったんだ。結果、母上は側妃に何度も殺されかけている。もちろん僕もね。側妃ともなればこの国の女性の中で二番目に身分が高い者となるから、充分な証拠がないと裁けない為、なかなかうまくいかないんだ。側妃とその父親の宰相は第二王子を王太子にしたがっているから、僕は毒をもられたりするし、母上にまた王子を生まれては困るから毒やら避妊薬やらをもられているよ。歳が下でも側妃より正妃の子供のほうが継承権は上だからね。


僕が婚姻の儀をしなければ父上の二の舞いになる可能性があるんだ。その分君を危険な目に合わせてしまうのだけど・・・」


最後の方はやっと聞き取れる程小さな声になっていた。


(危険な目にあってもルーカス様と結婚したいかどうかってことなのね。うーん、重いわ。私一人では決められないわね)


そのままお互いに会話がないまま王妃が現れ、今日の茶会は終了となった。


馬車まで王妃が見送り、この件に関する返答は3日後の茶会ですることとなった。


家に帰り着くと、母が出迎えてくれた。


「お母様、今日はとても疲れたの。夕飯は食べないで休むことにする」


「そうね。顔色が悪いは。体調は大丈夫?お医者様をお呼びする?」


母もメリッサや執事長もとても心配してくれたが、頭がいっぱいのリリーナはふるふると首を降って医師の診察を断った。


ドレスを脱ぎ、湯浴みを済ませ、ベットにゴロンと寝転がった。メリッサは淑女らしからぬ行動に注意をしようとしたが、あまりにぐったりしているリリーナを見て、そっと部屋を後にした。


(私はどうしたいのかしら?ルーカス様に好意を向けられているのは素直に嬉しいわ。でも自分の命を危険に晒す程、ルーカス様を好きなわけではないわ。・・・ではこのお話をお断りする?他の令嬢がルーカス様と結婚するのを見るの?あの赤くなって照れた顔を他の人に見せるの?あのキラキラ輝くエメラルドグリーンの瞳で他の誰かを見つめ、キスをする?私以外の人と?)


「そんなの嫌よ!!」

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