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死んだことにされた伯爵令嬢は公爵令嬢として幸せになる  作者: ちる
リリーナ・サイフォールド伯爵令嬢は死んだ
16/26

メリッサの過去①

「あぁーなんてこと!失敗したわ。リリーナ様を怒らせちゃった」


メリッサは1日の仕事が終わり、使用人部屋に帰っていた。


(傷つける気も怒らせる気もなかったのに!執事長の手紙を読んで、マリアもきっと私と同じ転生者だと思うのよね。ルーカス殿下と結婚する前に絶対に何かしてくると思ったから話したのに。私は助けたいのにぃー!)


メリッサが前世を思い出したのこの国、イースタリア王国に来た時だった。本当は冒険者をやりつつ、公国で農業をしながらぼそぼそと暮らしていこうかと考えていたが、義兄のノアが『今、イースタリア王国にいるからこちらに来て侍女にならないか?』と誘ってくれたのだ。ノアは母方の遠縁にあたるラフィード伯爵の三男と身分を偽り留学という形で来ていたが、実際は母国から命を狙われ逃げてきたのだ。


当初は側室腹で第三王子という国王になる確率がほぼなかったのだが、第二王子が平民と駆け落ちし、王位継承権を剥奪されてから流れが変わってしまった。第一王子は愚かではなかったが優秀でもなく凡庸だった。一部の貴族は上手く行けば傀儡にできると考えたが、大半は優秀な第三王子を王にと動いた。ちなみに第二王子は優秀ではあったが、恋愛脳だった。


王妃は第一王子を王にすべく、ノアの後ろ盾となる元公爵令嬢である側妃を嵌め、王妃に毒を持ったと冤罪を着せ、身分を剥奪し王宮から追い出した。生家である公爵家は王家に睨まれ、没落の一途をたどる。ノアは一応王子であった為、王宮に残らざるを得なかった。王妃はもとより、父である国王にまで邪険に扱われ、毒をもられたり、刺客を差し向けられたりし、居場所がなかった。


ノアの母は平民となり、ある騎士の後妻となった。その騎士の連れ子がメリッサだ。メリッサの母はメリッサを産んだ後、産後の肥立ちが悪く亡くなった。なので物心ついた時には父しかいなかった。初めて出来た義母に喜び、とても懐いていた。メリッサは父から剣術や魔法、格闘技などあらゆる武術を学んだ。将来は女騎士、もしくは冒険者として生きていこうと思っていたのだ。


父と義母の3人の生活は長くは続かず、ある日呆気なく終わりを告げた。メリッサが買い物から帰ってくると二人が刺されて死んでいたのだ。父の手には義母のお腹に突き刺さった短剣が握られ、義母の手には父の心臓に突き刺さったナイフが握られていた。


それからのメリッサの行動は迅速だった。誰かに嵌められたと悟り、二人をシーツにくるみ、信頼する友人に火葬してもらった。この国では亡骸は基本的には土葬をするが、病死などの場合は火葬するのが習わしだ。今回は土葬をして、万一掘り返された場合、父と義母の名誉が傷つくと考えたからだ。


メリッサはもうこの国にはいられないと考え、家の中を整理し、父と義母の形見以外は処分した。義母の形見の中に息子からの手紙が何通か出てきた為、友人や伝手を使って連絡を取ってみた。義母が元側妃と知り驚いたが、よく考えてみればあんなに美しく所作が洗練されていた。メリッサは義母の事をあまり知らなかったことに気づき、もっともっと一緒にいたかったとむせび泣いた。メリッサが母国を出たのは、父と義母がなくなって三日後のことだった。


義兄との連絡は魔道具が使われた。最初に手紙を送った時は、よく一緒に父に稽古をつけてもらっていた父の同僚騎士の息子に話をし、彼の父が義兄と連絡を取れる程偉い人だったようで、渡してくれた。その返信を息子が持ってきてくれた時に魔道具も渡された。


この魔道具はB5サイズの小さな箱で引き出しのように開けるタイプのものだった。手紙によると、引き出しに送りたい手紙を入れて魔力を流すと対になっている箱に転送されるそうだ。この魔道具はのちに各国の王族の間で流行り、改良されたものをルーカスとリリーナが使用している。


メリッサは手紙で何度かやり取りをすることで何とかノアの信頼を得ることに成功した。しかし、ノアが置かれている状況までは教えてはもらえなかった。メリッサは父と義母が亡くなったことだけを伝え、詳しいことは手紙に書かなかった。手紙で知らせる内容ではないと思った為である。


メリッサは公国で冒険者になり、父から習った武術や魔法を活かしてどんどん強くなっていった。ある程度お金も溜まった為、土地を買って農業をしようかと考えているときにノアからイースタリア王国への誘いがあった。


ノアは大切な義母の息子である。メリッサはたくさんの愛を与えてくれた義母に恩返しをするためにノアを幸せにしたいと考えていた。もちろんそこに恋愛感情はない。メリッサの好みのタイプは亡き父のようなガッチリとした豊かな筋肉を持ち合わせた男性だったのだ。ノアには会ったことがなかったが、冒険者仲間曰く『王子はヒョロヒョロしてて弱っちょろい』らしいので全くタイプではなかった。


イースタリア王国へ到着すると不思議な感覚がした。一度も来たことがないはずなのに見たことがある気がするのだ。日増しにその感覚は強くなり、ノアと待ち合わせの王立学園の前まで来た時、頭の中に大量の情報がガツンと一気に流れ込んできた。

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