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告白は日常です!

こんにちは!

ここ暫くは読み専だったのですが、ふと思い付いたので投稿してみました。反応が良ければ続けるつもりです。

同日に次話投稿します。

面白いと思ってくれたら、そちらもどうぞ!


「君が好きだ」


「あぁ、そうか」


生暖かい風が吹き抜け、陰気な雰囲気が漂う学校の校舎裏。


そこでラブコメ臭をプンプンさせている対称的な2人。


1人は肩まで伸ばした綺麗な髪は綺麗に切りそろえられており、前髪もぱっつんな小柄な美少女。

もう1人は大柄で広い肩幅に高い背丈。身長はゆうに180は超えているだろう。少し目に掛る髪の隙間から鋭い眼光が見え隠れしている。


「人が一世一代の告白をしているというのに、携帯を弄りながら『あぁ、そうか』とは人としてどうなんだい?」


少女は不満げに頬をふくらませながら、目つきの悪い少年を見つめる。


「お前の一世一代の告白とやらも、週に10回以上聞いてたら流石に真面目聞く気も失せてくる」


「あぁ♡つれない態度なのに毎回付き合ってくれるのしゅき!」


少女はクネクネと悶えながら、少年の腰あたりに抱きつきながら頬をすりすりとマーキングするように擦り付けた。


「あぁもう!スリスリすんな!つーか、お前付き合わなかったら延々と不貞腐れるじゃねぇか!」


「もう照れないでよ!」


「照れてねぇ!」


「全く。君はいったい私のどこが気に入らないんだい?こんなに美少女顔なのに」


小柄な女子は手鏡を眺めながら不思議そうに首をかしげる。


「あぁ。お前の顔が整ってるのは紛れもない事実だからな。そこは認めてやろう。だがな、、お前、、、、男じゃん」


少年は鋭い眼光をカッと見開き、声を大にして叫んだ。

それを受けて少女?少年?飄々とした態度で答えた。


「うん、そうだね。・・・・・で?」


「『で』じゃあねぇだろ!?普通に考えて男が男に告白なんてしないだろ?」


「うん。しないかもね。だからどうしたの?」


まるで意に返さない反応に青年は頭を抱えた。

このやり取りが週に10回以上繰り返されているのだ。青年が真面目に聞かないのも頷ける。


「だから普通に告白するならそこら辺の女にしてろ」


「ねぇ、、普通って何だろうね?」


「いきなり哲学はやめろ」


「哲学じゃないよ。ただ純粋に普通って何だろう思っただけさ。男は女に恋をするのが普通なの?普通に勉強して、普通に恋をして、普通に仕事について、普通に死んでいくの?それって果たして楽しいの?」


「・・・急に考えさせられるようなこと言うのはやめろ。」


普通。

ありとあらゆる人間に存在する、平均的なこと。代り映えしないありふれたものに対する表現。

それを私たちは何故か人間にも当てはめようとしてくる。

それは果たして何故かのか?

逸脱した人間を生み出さないため?大多数の人間に迷惑をかけないため?



・・・だが。

いつも時代も新時代を切り開いてきたのは革命的なこと考え、周りから「異常だ」「おかしい」と後ろ指さされようが、己の信じるもの貫き、押し通してきた『異端児』だ。かつてのガリレオ・ガリレイが唱えた『地動説』も立証されたのは彼が死んでから100年ほど経ってからなのだ。


「私はね、かつてのガリレオに倣ってこう言いたいの。「それでも君を愛している」この気持ちを普通だとかそんなつまらない言葉で否定するのはやめてほしい。私は君が好きだ。きっとこの気持ちは君が男でも女でもきっと変わらない」


少年(?)は祈るように胸の前で組み、目をつむりながら言い放った。


「・・・こんな目つきの悪い不愛想な男のどこがいいんだよ?」


「そんなの言い出したら切りがないけど、君にしっかり気持ちを理解してもらうためだ。しっぽり、ねっとり話そうじゃないか!」


「その言い方マジでやめろ」


少し手ごたえのある返答に気をよくした少年(?)はまるでアルバムの一頁一頁をめくるように語り始めた。


~三時間後


「・・・・・というわけさ。これでも気持ちの一端に過ぎないが、少しは分かってもらえたかな?」


本当に語った。

この少年(?)はこの三時間一回も休憩を挟まず、ずっと少年へのラブコールを続けた。これは即興で出てくるのものではなく、溢れで来るものだと言わんがばかりに。


「お前がまじなのはよーく分かった」


「っ!!ってことは!」


「だが断る!!」


「・・・は?」


陰気な校舎裏の背景が一面花畑に見けるほどの歓喜の気持ちが溢れてきたが、それも一瞬で蹴散らされてしまった。

この男まじか。


「済まない。少し聞き間違いをしてしまったみたい。もう一度聞いていいかな?」


「『断る』と言ったんだ」


「はぁ!?どー言うこと!今のはOKの流れでしょ!これで断るとか乙女ゲーなら炎上物だよ!?」


手応えはあった。

落とすとまでは行かなくても、ちょいデレ位は引き出せると。

だが、この男はにべもなく切り捨てた。


「ここは乙女ゲームの世界じゃないし、仮にそーでも俺は攻略キャラになんてなんねーよ」


「も、もしかしてE、EDなの?」


ここまで美少女(仮)に迫られて反応(意味深)しないなんて、それしか考えられない。視線を下に向けながら問いかけた。


「何故そうなるっ!!」


「だってそれ以外に私と付き合わない理由が見当たらないし、、、」


「お前ホント自信過剰だな!?」


「違うの?」


「ちげーよ。だからさっきから言ってんだろ。LGBTを否定する訳じゃあねーが、俺は男と付き合うのは想像出来ない。お前とも親友以上の関係にきっとなれないよ」


色々とネジがぶっ飛んでいるこの少女(仮)と小さい頃から一緒にいる青年だが、感性は概ね一般的だった。 だがらこそ、ぶつからず長く付き合ってる居られるのかもしれない。

そんな彼の回答は無慈悲な程のNOだった。


「わりーな」


「・・・・・・女の子なら付き合うの?」


「そういう相手がいる訳じゃねーけど、まぁそうだな」


振られしまった少女(仮)の瞳は暗い。


それもそのはず。

自分は生まれた瞬間から、立ちたい勝負の舞台にすら立てないのだ。



・・・だが。


「わかった」


「分かってくれたか」


「私、女の子になります!!」


その程度で止まるならとっくに諦めているのだ。

これはそんな2人の恋の物語。


「全っ全然わかってねぇぇーーー!!!」


そんな叫びが校舎に響いたとか、響いてないとか。

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