逆ナンされちゃった!喜んで付いて行ってみたよ
くそ! くそ! くそ! 悔しい……。
私のバカ! バカ! バカ!
えっとコイツは何をしてんだ? とうとう狂ったか? そうお思いでしょうが、大丈夫。まだ狂ってません。
前回、かっこ良く轢き逃げの車を、缶コーヒーで阻止した、私の友人の中の1人【クリーム】の面白エピソードを、さっき思い出したんですよ。
もう投稿しちゃったよ……。しかもヒーローっぽいやつを……。
消して、思い出した話と、コッソリとすり替えたろかな?(笑)
【クリーム、ナンパ成功、ホテルで仰天!股間にアレが!】
ってタイトルが似合いそうだな。
今回のお話は、私が1人で、映画を観に行った時のお話です。
その日、一緒に遊ぶ仲間が1人も捕まらず(ロリも捕まらないのは珍しい)。ヒマを持て余していた私は、何を思ったのか、映画を観に行こう。と思ったのです。
そして、どうせなら電車に乗って行こう。と。
私が住む愛知県は、トヨタの本社のあるお膝元。
すげ~偏りを見せる車社会です。車が無いと、ほぼ遊びにも行けないぐらいに。東京や大阪の人が来たら、間違いなく電車の便が悪いと感じる事でしょう。
しかも、JRよりも私鉄が幅を効かせてる(笑)
国際空港に行くのにJRの線路が通ってない。と言うぐらいに。
おっと……映画を観に行った話しないと。
まぁそんな訳で、電車にたまにしか乗らない私は、電車に乗って映画館に向かったのです。
それで、まぁ何とか映画館が入ってるビルのある、最寄り駅までは無事に着いたのですが……。電車に乗って、この駅に来たのが、数年振り。周りの景色も当然違う。
はい、私、迷子になりました(笑)
リアル大人迷子(笑)
いや、まぁね地下街のそこら辺にある階段を登って、外に出たら車では何度も来てるから、自分の居る場所ぐらいは、直ぐに把握出来るんですが、なんか負けた気がする! と訳の分からん思考により、絶対に上に登らないで、ビルに着いてやる! と無駄に燃えてまして、歩いてたんですよ。
はい! そうですね! 正解です、更に迷いました(笑)
「ここ、どこだろ?」
なんて、心の中で、呟いた時に居た場所が、目的のビルの地下だった。と言うオチもあるんですが(笑)
まぁ、何せ、地下街のお店も変わってるわ、景色もおぼろ気にしか覚えてないわで、ウロウロしてたんですよ。
そしたら、いつの間にか、見た記憶のある場所に着いてまして。
「あっここ知ってる……と言う事はアッチか?」
等と周りをキョロキョロと確認してた時に、急に後ろから声を掛けられたんです。
『お兄さん、何してるんですか?』
うん? と振り返ったら、中肉中背の、少し可愛らしい感じの顔した、女の子が笑顔で立ってました。
普通の男なら、女の子から声を掛けられたら、嬉しいでしょうね。しかし! 私です。そう、私なんです。
私は私が、ひねくれ者だと自覚しています。
根性が根本から腐り枯れ果てている事を自覚してる。
【逆ナン?】なんて思う訳がない(笑)
あ~また、何かの勧誘かねぇ……。
私のひねくれ者センサーが教えてくれます。
そして、私は勧誘されるのが大好きです(笑)勧誘してきた奴等を、おちょくるのが、何よりも好物です。ひねくれ者だから。
「うん? いや、ちょっと」
『ひょっとして、迷子になっちゃってます?』
あ~この姉ちゃんは、田舎から名古屋と言う都会に遊びに来てる、田舎っぺを、カモにしてるのか。
瞬時にそう判断を私は下した。
そうと決まれば、私は田舎者を演じるのは、必然。
ここで、普通に話をしたら、意識しないでも出てくる、名古屋弁が顔を出し、名古屋弁を話す所に住んでるのか。と、姉ちゃんに、要らん疑いを持たせてしまいます。
私は、他の地方の方言までは、流石にマスターしてないので、標準語を意識して、姉ちゃんと話を始めた。
「あ~そうなんだよね~名古屋の地下街って、すごくゴチャゴチャしてるんだね」
名古屋の地下街に慣れてないアピールをします。
まぁ……実際に迷子になってるんですが、地元民のくせに(笑)
『目的地を教えてくれたら、私が案内してあげちゃいますよ』
可愛らしい笑顔で笑う子やなぁ……こんな子が人を騙すなんて、世も末やなぁ。等と思いつつ。さぁどこを目的地にしよう。
まぁ適当でいいか。と言う事で。
「えっと……名古屋に旅行に行ってきた友達に聞いたんだけど、やばとん? とか言うトンカツのお店に行きたいんだよねぇ」
友達に名古屋の美味しいお店を聞いて行ってみたかった。
味噌カツの店を、トンカツと言う。
ほら、姉ちゃんの好みそうなエサは、撒いてやったぞ!
食い付け(笑)
『あっやばとんに行きたいんだぁ、案内しますよ~それと、トンカツじゃなくて、味噌カツね』
よし!エサは咥わえた。後は、外れないようにしっかりと針を掛けるだけだ。
「あっでもいいんですか? 何か待ち合わせとか、用事があるんじゃ……?」
直ぐに喜んじゃダメです。私は一般人、善良な一般人なんですから。勧誘されてシメシメと思うような、ひねくれ者じゃない。
自分に強く言い聞かせて。
『大丈夫、大丈夫、ほら早くいこ、こっちだよ』
そう言って、私の腕を取り自分の腕を絡ませて来る。
間違いない……私をカモる気だ。
その後、案内してくれたお礼をしたい。と言うと、ご飯奢ってよ。と言ってきた。
まぁ……妥当だな。あっお礼が妥当って意味では無いですからね。
ここで、お礼なんていらないから。とか言い出したら、せっかく見付けたカモと、お別れしなくちゃいけないんだから。
それで、まぁ、味噌カツ食いながら、姉ちゃんの話に耳を傾けると、彼女は居るのか? 彼女へのプレゼントにはどんな物をよく送るのか? そんな事に話が集中しがち。
あ~宝石関係かなぁ……。
何だかんだと、食うものも食い終わり。姉ちゃんは次は、どんな手を? などと思っていると、姉ちゃんが。
『あっ、私ちょっと行ってみたいお店があるんですよぉ、でも1人だと、ちょっと入り辛くて……恋人同士で行くようなお店だから』
お~、恋人同士でと、恋人同士を強調してきたか。
私は、笑顔で、そして冷めきった目で、姉ちゃんを見ながら、違う意味で楽しむ。うむ、私って本当にゲスい(笑)
「そうなんだ、それじゃ案内してくれたお礼に、私で良かったら一緒に行ってあげようか? 今日はこっちに泊まるから時間もあるし」
うむ。私の寝る為のベッドは、こっち(地元)に間違いなくある! 嘘は言ってないな(笑)
『ありがとう、それじゃ今から、ちょっとの間だけ、お兄さんは私の彼氏だね』
違います、私は彼氏ではありません。そして、アナタは彼女ではなく、私の暇潰しの為に踊る、カモです。
一緒になって歩く事10分少々。その間ずっと腕を絡ませ、おっぱいを押し付けてくる。
こら! 神聖なるおっぱいを、男を騙す武器に使うな! もむぞ!
と言うか……腕を今すぐ離せや! 逃げないから、歩きにくくて仕方がない。
なんか、何でこんな雑居ビルを借りるの? この手の人達はみんな揃って。と言う感想しか出ないビルの中にある、お店と言うよりは、事務所って感じの1室に、導かれた。
中に入ると案の定、ガラスケースが置かれて、ケースの中には、宝石が。
そして、私と同じように、連れて来られたのか、数人の男女の客も居た。
暫く、姉ちゃんが、ガラスケースの中の宝石を、楽しそうに眺めているのに付き合う。
30分くらいは既に経っているのに、何のアクションも見せて来ないなぁ。
そこで私は、すぐさま気が付く。最低規定人数に達してないんだなと。
こうなりゃ映画はまた今度。徹底的に付き合ってやろうと決めた私。
姉ちゃんの横に立ち。
「この、赤い(明らかに人工ルビー透明過ぎる)宝石の付いたピアス、似合いそうだね? あっこんな安いんだ」
等と、良いカモを演じ始めた。
その後、規定人数に達したのか。店員が私と姉ちゃんに話し掛けて来た。
『今から会場を移して、特別即売会をやるのですが、宜しかったら参加しませんか? 参加だけでも結構ですし、入場料等も戴きませんから』
姉ちゃんは、私の顔を、私行きたいよ~って顔で見つめてくる。大丈夫だ! そんな顔で見なくても、私も是非とも行きたいんだから(笑)むしろ、行けなかったらどうしよう? ぐらい思ってたぐらいだ!
私に、価値に見合った金額とは、到底言えない、クズ宝石を高額で買わせる為の第一段階に誘い込む事に成功した、姉ちゃん。実に良い笑顔だ。いくら分け前貰えるんだろうか?
会場には、長机が等間隔に4列並べられ、パイフ椅子が1つの机に3脚ずつ。
私と姉ちゃんは、姉ちゃんが誘導するままに、前から2番目の真ん中辺りの椅子に座った。
それから全ての椅子が埋った後に、スーツ着た、おっさんが前に躍り出て、何やら宝石の説明を始める。
そして、周りは、やたらと感嘆な声を上げる男女と、あまり反応の良くない、男が5人(私含めて)
「なるほどね~この5人がカモな訳ね、そして周りは全員サクラと……」
周りの状況から、そう判断を下した私。
『安い!』
『今買わなきゃこんな値段で2度と買えないな!』
『その商品買うぞ!』
『きゃ~買ってくれてありがとう、大好き』
お前らさ……。劇団四季とまでは、私も高望みしないが、せめて……児童劇団並には、芝居の練習しろよ。学芸会の劇じゃないんだから(笑)
無駄に熱狂的なサクラ達。すっかり大人しくなってるカモ達。白けきった顔で、周りを眺めてる私。
三者三様のまま、即売会は終わった。
終わった後に、姉ちゃんが、私も何か買うと言い出し、私にも、こんなに安いなんて普通無いから何か買えと言う。
買って使わなくても、いざと言うときに売る事も出来るし、宝石って金と同じで財産になるんだよ。
こらこら(笑)いつの間にやら、私に宝石を買わせたい販売する側のセリフをほざいてますよ? 違和感を感じないのですかね?
アナタ、客として、ここに居るんですよ? 忘れてます? 忘れてますね(笑)
キラキラ笑顔の、姉ちゃんに向けて、私も笑顔で。
「買う訳ないじゃん、こんなクズ宝石をこんなバカ高い値段で」
姉ちゃんは、一瞬、固まった。
「さっきのピアスのルビー、人工ルビーだよね? 透明度高すぎ、即売会で出てたダイヤも人工なんじゃない?」
「こんな宝石を、そんな値段で買ったら損するよ? やめときなよ」
あくまでも、姉ちゃんはお客さん。アナタ騙されてますよ。と、善意の人として、言う私(笑)
「それと、この即売会、私と後4人を抜かして周りは全部サクラだから」
『え? え? 何で分かるの?』
こらこら何で【何で分かるの?】って聞いちゃダメだろ。自分も仲間だと白状してるのと同じだぞ。まぁ……この姉ちゃんには、そんな知恵無さそうだが(笑)
「先ず、周りが無駄に熱狂的過ぎる、私と後の4人と比べてね、不自然過ぎるんだよねぇ、誰がプロデュースしてるのか知らんが、もう少し自然にやらなきゃね」
下を向いて黙り込む姉ちゃんに向けて……。
「ねぇ? ねぇ? どんな気分? 騙すつもりが、実はずっと自分が騙される側って知った気分って? 悲しい? 悔しい? どんな気分? 教えてよ(笑)」
そう言い残して、席を立ち、周りに立ってた人に。
「ちょっとトイレ、漏れそう」
そう言い残して、不自然に熱狂的過ぎる会場を後にした。
もちろん、部屋を出た途端に、ビルの外に出るまで、猛ダッシュ。
怖いお兄さんに捕まりたくは無い。
あ~映画より面白かった。
と、本来の目的は、既にどうでもよくなり、電車に揺られて帰って行った。
映画は結局観に行かずに、DVD出てからレンタルして観ましたとさ。