見つけ出した大切なもの5
終わってしまったこの世界で5
私達は逃げ続けた。あの男から逃げて逃げて逃げ続けた。そして逃げ始めて一週間が経った頃青年が
「このままじゃいつか限界がくる。孤児院に行かないか?」
ときいてきた。きいてきた青年の顔はあまり明るくなかったし、私も同じことを考えていたが言い出せなかった。今孤児院の子供達や兵士がどうしているのか知らないし、生きているのかさえ知らない。たとえ生きていたとしても、もう会いたく無かった。自分が見捨てた命の重さを背負うのが嫌だったし、リーダーたちを死なせてしまった事に責任を感じていた私は今まで目を反らしてきた。それに一度見捨てた私達がまた彼らのもとに行くのはどうなのだろうか。私には彼らに迷惑をかけるだけの事をしただろうか。青年も同じ事で悩んでいるのだと思った。けれど今の私達には余裕が無かった。
私達は孤児院へと向かった。青年の力は物を見ることが出来るだけなので幸いというか不幸というか彼らの安否は分からなかった。
男から逃亡して2週間を超えたときだった。孤児院にもかなり近づいてきて希望が見え始めたときだった。
「動くな。」
一瞬のことだった。気配すら感じさせない見事な動きで私と青年の首元にナイフがあった。私はもう駄目だ、と思ったがその声には聴き覚えがあった。青年が
「もしかして…兵士か?」
ときくと驚いたような声で
「お前…まさか青年か?」
ときいてきた。私は兵士に怒られると思ったしそれだけの事をしたと思っていた。しかし兵士は
「久しぶりだなぁお前ら。元気にしてたか?デカくなったなぁ。今から孤児院に来るか?」
と笑顔できいてきた。私は彼のこういう適当なところが昔はあまり好きでは無かったが今はとても好ましかった。
孤児院の中に入ると昔とはあまり変わっていなかった。子供は大人になり、また新しい子供が増え、それに伴って家も増えていたがリーダー達と過ごした孤児院だった。私は涙が止まらなかった。
「おいおいどうした?急に泣き出して。そういえばリーダー達はどうした?」
ときかれた。私は素直に言うべきか迷った。素直に言ったらここから追い出されてしまうと思った。青年を見たが青年はありのままに説明するようだった。
「そうか。あいつらは死んだか…また酒飲もうって言ったのに…あいつら…クソッ…」
私は人前で泣いたことが最後のときしか無かった兵士が泣いているのを見てどう声をかけていいのかわからなかった。
「手と脚が長い男か…そいつがリーダー達を殺ったんだな?そしてお前たちはそいつに追われていると。いいぜ、手を貸そう。リーダー達の仇はうってやらなきゃならないからな。」
兵士が腕で涙を拭いながら言った。
その時から私達の復讐の為の生活が始まった。
ごめんなさい。まだ続きそうです。