守りたかった大切なもの4
ファイル4 『コーヒー』
チカさんが私に話しかけて来なくなってしまった私は以前よりもタケシさん(チカの父)と話すようになりました。
タケシさんはコーヒーを豆から作る本格派でコーヒーがとても大好きらしいです。
「美味しい」という感情と「食欲」という要素の無い私にはわかりませんでしたがタケシさんにとってコーヒーを入れて、そしてそれを飲む事が生き甲斐らしいです。
生き甲斐とは必要なのか私にはわかりませんでしたが…
ところが最近のタケシさんは私にコーヒーの入れ方を教えて入れさせるようになりました。
入れること自体は良いのですが、何故なのかわかりませんでした。
私には「美味しい」という感情は無いけれど、タケシさんの好みは既に分かっているのでタケシさんはいつも
「ありがとう。美味しいよ。」
と言ってくれます。
そう言われると暖かくなるような気がします。これが「喜び」なのでしょうか…?
最近のタケシさんは元気が無いようでしたが、コーヒーを飲んで少しは元気になってくれたでしょうか…?
感情がなく人間でない私にはどうなのか分からず、それがとても…歯がゆい気持ちでした。
これが歯がゆいと言われる気持ちならですが…




