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『僕がいた過去 君が生きる未来。』本編  作者: 結月てでぃ
白銀の少年の嘆く愛の願い

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56/210

白銀の少年の嘆く任務の願いを

「リスティーの親父さんを殺すのが目的か?」

 リキッドと養成所内で別れ、暗い道を歩いてホテルまで帰ってきた。二人といた教室から出るまでの間にコートを着て、フードをかぶったから怪しむ人はいても、養成所に通う生徒だということは、多分バレなかっただろう。帰り道にすれ違った人にも、ホテルの従業員にも。

「そうだ、それが今回の任務内容だ」

 コートを脱ぎ、ネクタイを緩める。

「おやっさん、悪い人じゃねえんだけどなあ」

「そうなのかもな」

 反軍のできた理由を考えてみても、悪い人だとはあまり思えない。

「だけど、軍にとっては邪魔な人なんだ、きっと」

 そう言ったエディスを見て、グレイアスは息を長く吐き出した。

「お前、殺してえの?」

「ああ」

 髪を結っている紐を解き、制服の上着を脱ぐ。

「殺す理由ができて嬉しいか」

 という質問にエディスは振り返り、

「ああ、嬉しいな」

 と答えた。

「……軍は馬鹿なことをしているが、反軍は無駄な犠牲を出している。褒められたことやってねえのはどっちもなんだよ」

 カーテンを少し開け、すでに陽が沈み、暗くなっている空を見つめる。

「私利私欲のために、何の罪もない一般人を殺すような奴を、そんな指示をする奴なんか信じらんねえよ」

 その空にはもう、黄昏は見えない。

「好きな奴でも殺されたのか」

「そうだ」

 黄昏のような、温かい人。あの時の俺は、あの人以外に光を知らなかった。彼だけが、俺の生きている理由だった。彼が俺に生きている実感をくれた。

「だったら、お前も私利私欲で殺すんじゃねえか」

「そうだ。魔物を殺すのも、そのためにやってる」

「は? 魔物は殺して当然だろ」

 それにエディスは振り向き、

「魔物にだって意思はあんだよ」

 と言った。

「ああ、そうだな。あれはお前らと一緒だもんな」

「一緒?」

 魔人が零した言葉に、エディスは根を寄せた。

「そ、一緒だよ」

「どういうことだ、それ」

 ふん、と魔人は鼻を鳴らし、エディスを馬鹿にしたような表情で見下ろす。

「知りたいことはちゃんと、自分で調べなきゃいけないんだぜ、人間」

 そして、耳元に顔を近づけ、

「南には、お前の探してる物が見つかるかもしれねえぞ」

 囁いた。

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