白銀の少年の嘆く共作の願いを
【響け 光の音よ
照らせ 光の彩よ
輝け 光の輪よ
轟け 光の道よ
輝光のアーバンラジュ
閃光のジュジュアデア
栄光のセッチューガガイラ
漆光のグラバスイイット
集え 光の魔人よ
行け 光の魔人よ!】
そこまで言ったエディスが手を下げる。
「ってのが原文なんだけど、長いだろ?」
「まあ、長いわね」
「呪文が長いと、その分面倒だ。時間もかかる。だから」
さっとしゃがみ、白い床の上に白いチョークで紋章をいくつも描いていく。
「これをこうして、よしっ」
離れてろよ、と言って立ち上がり、
【行け 光の魔人よ】
術を施行した。
慌てて部屋の隅にリスティーとリキッドは走って逃げた。そして、床にしゃがみ込み、リキッドが手に持っていた防護服を自分たちの上に被せる。
その二人の耳に凄まじい轟音が入ってきた。
「……はあっ」
まずはリスティーが立ち上がり、乱れた髪を後ろに振り払う。
「ほんっと、アンタって魔力だけは異常に強いわね。一度に四人も魔人を使役する人なんて初めて見たわよ」
「身体能力的には他の人とあまり変わりがないんだけどね。……うん、面白い」
ぽんぽんと服の汚れを払いながら立ち上がったエディスは面白いかあ? と呟いた。
「ヴァンパイア化するきっかけは?」
「満月を見ることと、大量の血をあびることだ」
「満月って、まるで狼男みたいだな」
「狼男は雨の日だとさ」
髪を結っていた紐を取り、バサバサと掻き乱す。
「この国はそんなところまで変なのね」
「ああ、変なんだ」
もう魔法はいいか? とエディスに尋ねられた二人は首を上下させる。
「ね、アンタはこれからどうするの?」
「任務をこなしながら、生徒として生活するよ。呼び戻されるか、任期が終わるまで」
「魔法の研究でもするの?」
「いや、しない。いつでもできるし」
と言うエディスに、リスティーはじゃあ? と眉根を寄せた。
「感情を持つアンドロイドを作りたいんだ」
「感情を?」
「ああ。……手伝ってくれないか? リスティー」
微笑するエディスに、リスティーは目を細める。
「それ、あたしの腕を見込んでってこと?」
「勿論」
「そ、じゃあいいわ。一緒に作りましょう」
また明日この教室で話そう、と言ってリスティーは紺色の鞄を持ち上げた。
「帰るのかい?」
「うん。今日は父さんに早めに帰ってこいって言われたから」
「……そっか。それは大変だね」
口の端を引き攣らせるリキッドに、リスティーはあははと笑って、ドアを開ける。そして、魔法鍛錬室から出て行った。
「アイツの親父さん、怖い人なのか?」
「いや、全然。面白いし、いい人だよ。誰よりも強くて、頼りになるんだ」
へえ、と言ったエディスは凄いんだな、と笑おうとした。が、その反対の表情をとることになってしまった。
「反軍のリーダーをしている人なんだ」
凄いだろう、と誇らしげに笑うリキッドに、エディスは何も返せなかった。
「そうだ、エディス。ごめんね、女の子だなんて言って」
「え。あ、ああ……いや、別に……いいんだ」




