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『僕がいた過去 君が生きる未来。』本編  作者: 結月てでぃ
白銀の少年の嘆く愛の願い

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52/210

誰にも言えない恋心

 丸くて白い、表面のつるつるとしたティーカップが自分の前に置かれた。読んでいた本から顔を上げると、穏やかな笑みと目が合った。 「お疲れ様」

「トリエランディア大将!」

 お疲れ様です! と立ち上がろうとしたら、片手でいいからいいからと留められる。

「これから、大変になるね」

「……はい」

 トリエランディア大将が前の席に座り、テーブルの上で指を組んだ。

「君は、ローラの予言を全て信じて行動しているんだってね」

「はい」

「駄目だよ、全部信じては」

 どうして。どうして、この人がこんなことを。ローラ元帥のパートナーがなぜこんなことを言ってくるんだろう。そうエディスは考え、すぐにあることに思い至った。

「ローラ元帥は俺を試しているんですか」

 自分なりの答えを出すと、トリエランディア大将は目元を和ませる。

「あの人は人を試すのが好きな人でね」

 困った人だったんだ、と微かに笑うトリエランディア大将に、エディスは目を伏せた。

「一つだけ、お伺いしてもよろしいでしょうか」

「いいよ。何かな?」

 ぎ、と手の甲に爪を立てて、軽く引っ掻く。

「シルベリア・レストリエッジとシュウ・ブラッドは敵なのでしょうか」

 ポチャンと角砂糖が一つ紅茶に落とされた。くるくると銀のスプーンで混ぜられて、消えていく。

「シルベリア君は必ずしも君の敵になるとは限らなかった。けれど、彼もシュウ・ブラッドも、もう君の味方になれることはない」

 スプーンを置き、トリエランディア大将がエディスを見つめる。

「彼はきっと、君の好きな人を殺す。そして、嫉妬に駆られた人は仲間にしてはいけない。君の心を壊しに来るから」

 エディスは息を呑んだ。

「君は金の眼をした魔物に恋をしてしまっているんだ」

 後戻りはできないよ、と誰かが囁いた気がした。

「もしかしたらそうならないという可能性にかけてみてもいい。けれど、それで余所見をしていると他の仲間を失ってしまうかもしれない」

「けれど可能性があるのなら、俺は頑張りたいです」

 そう、エディスは静かに告げた。

「では、頑張ってごらん」

 一人分の紅茶はぬるくなって飲まれるのを待ち続ける。いつまでも、いつまでも。飲まれるか、捨てられるかするまで、いつまでもいつまでも、ずっと。ずっと、待っている。

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