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『僕がいた過去 君が生きる未来。』本編  作者: 結月てでぃ
白銀の少年の嘆く愛の願い

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白銀の少年の嘆く逆の約束を

「バスティスグランの長兄と会えたんだろ? 何でそんな顔してるんだオメーは」

 ツンと指で押され、額を押さえたエディスはだってよーと漏らした。

「様とかつけやがるし、大人しいようでそうじゃねえし、シュウのヤローは何か隠してるし」

「シュウゥ?」

 それは……と言ったきり黙りこんでしまった自分のパートナーになったはずの男。

「お前、まさかシュウ・ブラッドと会ったんじゃあねえだろうな」

「会ったけど、まずかったか?」

 ビスナルクが顔を歪ませたので、エディスは拳で膝を叩いた。

「ブラッドの奴になんざぜってー会いたくねーって思ってたんだけどよ、元帥が集めろって言った五人の中に入ってたからいっか、って譲歩したんだぞ、俺は!」

「バスティスグランとの交流を勝手に始めたのはまだいい、アイツは俺らの仲間だ。でもな、シュウ・ブラッドに一人で近づいたのは事故だとしてもまずい。あいつに近寄るとロクでもない奴しか付いて来ない」

「シルベリアって奴が一緒にいたけど」

「ソイツはまだ軽度の中毒者だからまだいい。理想と現実との区別がついているからな。問題はシュウ本人とアイツにへばりついてる女だ」

 意識的か無意識的か、シルベリアは随分とシュウを守ろうとしていた。あの状態で軽度なら、それ以上だとどうなるのだろう。

「女って?」

「近々会うことになるだろうよ。オメーの上司だからな」

「上司ぃ? 俺の上司は男なんだけど」

 今日初めて顔を合わせた上司は紛れもなく男だった。坊主頭に顎鬚のオッサンで、体力がありあまってそうだという印象を受けた。その体力を使おうとしないからあまってるんだろうな、とも。

「そのパートナーだ。そいつの娘なんだが、爆破の能力を持っていてな」

「爆破って……」

 エディスが顔を険しくすると、ビスナルクは気付いたかと苦笑した。

「ローラ様を殺害したのはこの女だ」

「一体何の目的で」

「敵の心情まで俺が知るかよ」

 投げやり気味に放ると、エディスは少しだけムッとした顔になる。それに悪かった悪かったとあやすように繰り返してから言い直す。

「シュウ・ブラッドを一番最初に助けてやったのがあの方だ。それが気に入ってなかったか、シュウ・ブラッドがマイナス印象を与えるような言い方をしたのか、だな」

「助けた?」

「自分が入りたくて軍に入ったんじゃない、とか言われなかったのか? ローラ様の御慈悲のおかげで生きていられるが、最初は抹殺対象とされていた。狼男の呪いを受けた人間なんてもん、軍が庇うと思うか? 俺なら即刻その場で首切り落としてるぜ。完全に魔物になられたりしたらたまったもんじゃねえからな」

 ガシガシと荒く髪をかき乱すのにエディスは心の中でうーんと一秒だけ押し黙り、苦笑した。

「暴走とかはしないと思うな。そうなっても本人自身の魔力が無いに等しい感じだし、大したことならないだろ」

「見たのか」

「首のやつだろ? 見たよ。魔物化しかけた姿も」

 また顔を顰めさせるとうなことをしてしまってて悪いが、見てしまったものは見てしまったのだ。過去に、記憶となってしまった今ではもう変えられやしない。

「とにかく、シュウ・ブラッドにも、その周りにも気を許すな。あれは敵に近い存在なんだ」

「ブラッドの奴に気ぃ許すわけねーだろ。バスティスグランとの接触は俺に任せてもらってもいいよな?」

「おお、好きにしろ。今度妹がこっちに観光に来るらしいから、上手く落とせ」

 顔使え、顔とニタニタ笑われるが、こっちとして面白くない。そんなに簡単にいくものじゃない。

「後はデュー・アネストだけか」

 知ってるか? と思考の底に沈みこむ前に訊ねたが、ビスナルクはいやと首を振る。

「多分、そいつについては俺がお前に与えるもんじゃないだろう。俺がお前に与えられるのは別のものだ」

 ビスナルクがチョイチョイと人指し指を前後させた。エディスは狭い教官室から出た。

「今から俺のとっておきの所に連れていってやる」

「とっておき?」

 眉根を寄せるエディスにビスナルクは口の端を上げた。

「お前の現在の不安を悩みを吹っ飛ばしてくれる奴だ」

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