白銀の少年の嘆く甘えの約束を
「……なあ、何か言えよ」
光の加減によって色を変える豪奢な髪を数束手に取り、自分の方へ引き寄せる。なあってば、と子どもっぽい動作を繰り返しながらふてくされた様子で声を出すが、相手は何も言ってくれやしない。
「シルベリア」
もう一度髪を引張ろうとしたが、シルベリアが首の後ろに手を差し込んで髪を持ち上げたので、さらりと滑らかなそれはシュウの指の間から抜け出してしまう。さらに、まとめて左肩から前に流してしまったので手にとることも出来なくなってしまった。
「シルベリア、って」
「お前には」
自分の研究ばかり構って、自分を構ってくれない親友の名を逆向きに座っている椅子の背もたれのカバーに含ませていると、やっと声がかかったのでシュウは顔を上げた。
「お前には呆れて物も言えん」
しかし、やっと口を開いたかと思えばこうだ。シュウには全くおもしろくない。
「私に可愛げがなければ私にも言うのか。女みたいな顔してるのに、と」
「い、言うわけないだろ。お前に!」
「私と長年共にいたお前ならばそのような軽はずみな発言をするとは思っていなかったのだが……先程のお前の言葉には少し幻滅したぞ、シュウ」
羽ペンをペン立てに挿し、椅子を回して向き合う。
「あの子どもには確かに可愛げがないが、お前には大人げがない。言っていい言葉と悪い言葉の区別もお前にはつかんのか、情けない」
うぐ、と押し黙ったのに苦笑し、
「お前もお父さんとそっくりだと言われると嫌な気分になるだろう?」
親友が忌み嫌う、顔のよく似た実父のことを指摘すると、うう……としょげた顔に変わる。
「似た者同士なのだから、余計な腹の探り合い、いや突き合いをしておらんで、相手の言葉を聞き合えばいいだろうが」
まだまだ子どもなのだから仕方のない奴だ、と髪の毛をぐしゃぐしゃにかき混ぜ、微笑みかける。ぶすりと拗ねてしまったシュウの機嫌はこんなものでは直らないようだったが。




