表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『僕がいた過去 君が生きる未来。』本編  作者: 結月てでぃ
白銀の少年の嘆く愛の願い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/210

白銀の少年の嘆く本名の約束を

「と、まあ、俺達の自己紹介はこんなもんだ」

 シルベリアがシュウの横に移動しようと立ち上がった。

「次はお前の番だ」

 自分の横に座ったシルベリアをチラリと見た後、

「包み隠さず、全て話せ!」

 とエディスの目の前に指を出した。ビシッと差してくる指をじいっと見、

「わーってるよ、んなこったあ!」

 エディスはガブリと噛みついた。

 いてっ、このガキ! とのばしてくる手を避けると、すぐにシルベリアが大人気ないとシュウの腕をつかんでくれる。

「えーっと、まずは名前だよな。本名と今の名前、どっちがいい?」

 悪戯をする子どもの顔で笑うと、二人は声をそろえて

「どっちもだ」

 と言った。

「仲の良いこって」

 エディスは顔を横にしてはーふと息を吐いた。

「んじゃまあ、まずは今の名前からな。エディス」

「苗字は」

 シュウがもう完全に俺は呆れた、と顔で言ってくる。

「ない!」

「なんでだよ!」

「おい、血圧上がるぞ」

「俺をじいさん扱いす、ん、な!」

 ぐあーっと頭を抱えたシュウの服の裾をシルベリアがつかむ。

「マジでないんだよ。貰ってないし、自分で付ける気なんてないし」

「……わーかったよ! じゃあ、本名は」

「本名は」

 それまで二人に向かって真っ直ぐ向けていた目が揺らいだ。

「ほ、んみょうは」

 ぎゅっと手を握りしめ、唇を噛む。二人はその様子を見守っているだけで、指一つ動かさないし、声も出さない。

「本名は」

 やっと目を見たかと思うと、にっと笑い、

「聞いて、驚くなよ……」

 とだけ言ったのに、シルベリアが寄り、抱きしめた。

「何も、怖くない。……だから、言ってみろ。俺たちは敵ではない」

 その言葉を聞いたエディスは、すうっと大きく息を吸い込み、吐き出した。もう一度吸い込んだ後、

「エドワード・ティーンス」

 と息を吐き出すように呟いた。

「え?」

 シュウが小さく音を出した。声にもならない呟きを。エディスを抱きしめるシルベリアはなにも音をさせない。できない。

「ティーンス?」

 たっぷり一分使ってから、やっと二人共、それだけの単語を取り出した。

「そうだ」

 それに頷き、

「俺は、エドワード・ティーンス」

 深い海の底よりも静かで、最高級のダイヤモンドよりも美しい瞳は揺らいでおらず、ただ人を見つめている。

「続けろ」

 シュウがシルベリアの腕を引き、強い眼差しに戻ったエディスから離れた。

「俺の一番最初の記憶は、エディスという女の人から始まる。俺によく似た、いや、似たなんてものじゃない、性別の違いを除いて、外見だけはそっくりそのまま、一緒だ」

 あの日、あの夜、あの忌まわしい時に窓に映っていたのは、俺ではなく、エディスさん、だった。この体はエドワードの持ち物ではなく、エディスの持ち物なのだ。

「その女の人の名がエディスだ。エディス・ティーンス、俺の母であり、この国の前王だ」

「ちょっと待て」

「なんだ」

 シュウが隣を横目で見た。

「そんな名の王は聞いたことがない。第一、女の王など聞いたこともないぞ」

「書類は全て消されているんだ。元々この国の王は銀の髪色。金はその直系の者の髪色。今の国王はエディスさんの従弟で、あの人が亡くなったから王になったんだ」

 眉をひそめるシルベリアの隣でぼーっとしていたシュウが、

「白の女王、か」

 やっと口を開いた。

 エディスはそれに素早く反応し、一音たりとも聞き漏らさないように耳を澄ませた。

「シュウ、知っているのか?」

「ああ、小耳にはさんだことがある。ティーンス教会のあだ名の元になった話なんだがな」

 W.M.A黒杯の軍の真ん中にある聖杯の軍の本拠地、ティーンス大聖堂。それにまつわる不可思議な物語。それは、こんな話だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ