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白銀の少年の嘆く奴隷の約束を
僕は、ドゥルースの家に買われた。たくさんのお金。僕は、家の一員に入れられた。
「ドゥー」
ぎゅっと自分よりも大きい背中に抱きつく。
「あ、どうしたの?」
ひょいっと抱えて膝の上にのせられる。
「大好きだよ」
寂しいよ。
「俺もだよ」
どれだけ抱き付いても、どれだけ言っても、どれだけ抱きしめてくれても、どれだけ言われても、
「俺も好きだよ、エディス」
寂しいよ。
ドゥルースはとても優しかった。
奴隷として働かされるはずの僕に部屋をくれた。奴隷として働かされるはずの僕に服をくれた。奴隷として働かされるはずの僕にベッドをくれた。柔らかい愛をくれた。
寂しい夜は一緒にベッドに入って寝てくれた。雷が僕を責める時は抱いて守ってくれた。僕を変な人が連れて行こうとした時には助けてくれた。
僕とドゥルースはお金で繋がった、奴隷と主人の関係だったけれど、僕らは確かに「家族」だった。