表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『僕がいた過去 君が生きる未来。』本編  作者: 結月てでぃ
白銀の少年の嘆く愛の願い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/210

白銀の少年の嘆く兄弟の約束を

「この国の女王。レイアーラ王女とシルク王女の母上様。あの方が今の国王の妃様だ」

「うん、そうらしいね」

 ミルクをちびちびと飲んでいる小さな子どもがそう呟く。

「今の国王が、エディスさんの夫。二人は従姉弟だったんだよ。だから、エディスさんがいない今は代わりに務めているというわけ」

「エディスさんは、今どこにいるんだ」

 がっと、胸にすがりつくように質問を出す。

「分からない。僕も、探しているんだ。会いたくて」

「なんでエディスさんは消えちまったんだ」

 また、失った。エディスさん、俺はアンタのなんなんだ。何であればいいんだ。どうしたら会えるっていうんだ。

「それも、よく分からない。今の女王に王女が産まれたことが原因だと思う。それと、王様ではなく、魔物を愛していたんだ……」

「……闇……」

 好きな人が、と言っていた。あの、闇。

「エディス・ティーンス。それがあの方の名前」

 にっこりと微笑む相手を見て、後ろにもたれかかる。

「あんた、何者だよ」

「元王子だよ」

「は?」

 微笑んだまま、自分を指差して言う。

「だから、僕はエディスさんの息子だよ。ハイデ・ティーンスっていうんだ」

 騙してごめん、と少し苦笑しつつ頭をかいた。

「さて、僕は全て話したよ。だから、君も全て話しなさい?」

 薄桃色の唇に指の平が当てられる。

「悪いようにはしない。それは絶対に誓うよ」

「だから、それ言ったら悪い奴みたいだって」

 くすりと笑ってから表情を消す。

「本当に、信じてもいいんだな」

「うん。いいよ、信じて」

「……分かったよ」

 溜め息を深くついてから座りなおし、前を睨み付ける。

「俺の名前はエディス。アンタの言ってる女王様と同じ名前だ。だけど、本当の名前は別にある」

「それって?」

 真面目な顔になるハイデに、信じるぜ、と唇を舌でなめてから、口を開いた。

「俺は、エドワード・ティーンスだ」

「エドって……」

「エディスさんの息子。俺は分かんねーけど、エディスさんはそう言ってた」

「君の言う、エディスさんは?」

 首を静かに振る。左だけ長い髪がパサパサと音を立てて肩にぶつかる。

「分かんねえ。アンタの言うエディス・ティーンスなのか、それともただのエディスさんなのか。けど、俺が本当にエドワード・ティーンスなら、そうなのかもな」

 もう、今となっては、どうでもいいことだ。

「きっと、そうだよ。君とエディスさん、とてもよく似てるよ」

 にっこりと笑いかけられるのが嫌で、顔を背けた。

「嬉しいよ」

「なにがだよ」

「君が、僕の弟だから」

 はっと、した。見るとにこにこと、本当に、本当に嬉しそうに笑っていた。そう、本当に嬉しそうに笑っていた。

「ねえ、弟になってくれない?」

 真っ直ぐに見つめてくる瞳から逃げられなくて。彼の人を思い出す、その聞き方から逃げるのは、何だかいけない気がして。

 数分後、頬を染めたエディスの口から出た言葉は、花の甘い香りがした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ