白銀の少年の嘆く女王の約束を
「うわあ!」
「……なに」
中央にまで、無理やり連れてこられた。何だか無駄に大きい馬車に乗せられた時はどうしようかと思った。
この家も無駄に大きい。もしかしたらドゥルースのお屋敷よりも大きいんじゃないだろうか。
「金持ちって無駄が多いよな」
「え? なにか言った?」
「別に」
いきなり連れてこられたかと思ったら、いきなり服を脱がされて、風呂なんかに入れられた。髪に何度も変な匂いのする物をつけて洗われて、皮膚がはがれるかと思う程強くこすられて、やたらとふかふかする服を着せられた。
それからやっと連れてきた奴の前に出させられた。
「可愛い、綺麗! 天使みたいだよ!!」
こべりついていた泥やほこりが全て落ち、身に付けているのも綺麗になったからでだろう。光を集め、金にも見える光り輝く銀の髪。その影を淡く溶かすかのような、最高級のダイヤモンドの色を持つ蒼氷の瞳。シャツやズボンから少し見ることの出来る肌はなめらかで、触れれば吸い付くようなシルクの肌触りがするだろう。
「あんま触んな!」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられ、ついでに口付けをそこかしこに受け、流石に手で殴ってしまう。
「エディスさんのことっ、早く教えろよ!!」
「うん。そうだね」
「うわあ!?」
ひょいっと姫抱きで二階まで連れていかれる。
「はい」
これまた無駄の多い、大きな大きな部屋に大きなベッド。それから結構遠くにあるソファーの上におろされる。
「うわっ!?」
あんまりにもふかふかすぎて、体が沈んでいく。それにおっかなびっくり座っているエディスに暖かいホットミルクが手渡される。
「じゃあ、話そうか」
持ってきた椅子に座り、にっこりと笑う。
「エディスさんはね、僕が知っている限り、最高の女性だ」
それにエディスは笑んで頷く。
「……彼女は、この国の王だけが知っている女王だ」




