白銀の少年の嘆く化物の約束を
「君……」
そっと、壊れ物のように扱ってくる少年から目をそらし、口元をぬぐう。
「やろうと思って、やったんじゃねーから」
ただ、恐怖が理性を上回った時にのみ、こうなってしまうのだ。なにも満月だったから、という理由だけではない。
「飲みたくて飲んだんじゃない!」
ぽつりと涙が零れた。それを強くこすってぬぐう。悲劇の少年だなんて、冗談じゃない。
「あ、れ?」
少年が変な声を出したかと思うと、顔を両手でつかまれた。
「エディス、さん?」
「え!?」
ぼそりと言った後、すぐに離して手を握り、そして後ろを向いてしまう。
「エディ……」
近くによると、そんなはずない、とか言っているのが聞こえてくる。
「知ってるの?」
「え!?」
そういうと、すぐに振り返ってきた。
「エディスさんを知ってるの?」
服をしっかりと掴む手。真剣な表情。
「君?」
そっと触れようと手を伸ばした。もう少しで触れると思った時、ぴたりと止まった。
「まずい」
「うん」
ザワザワと小さいながらも、話し声が近づいてくる。
「おいで。君の話を聞こう」
ぐっと手を掴んで連れて行こうとする。が、足で踏ん張る。拾った細身のナイフを向けて睨み付ける。
「悪いけど、行かない」
「危ない人じゃ、ないからっ」
「その言葉を言う奴こそ、危ない」
ふうっと少年が息を吐く。
「君もエディスさんのことを知りたいだろう」
「……し、知り、たい、けどっ!」
「じゃあ、おいで」




