第9話 トラウマ
朝比奈たんに出会ってから、世界が変わった。
彼女に一目惚れし、ずっと愛していた。
…でも、それは相手が嬉しいものではなかった。
だから思いは実らず消えていく。
やっぱり私を愛してくれる人なんか、いない。
昔からそうだった。
私を本当に愛してくれる人などいない。
大人は誰も私を愛してくれない。
だから、同世代に縋るしか無かった。
愛されるための努力もした。
周りに合わせて、自分を殺して…
だから本当の私なんか、誰も知らない。
あれは中学生の頃だった。
私は一人称も変え、自分を嘘で塗り固めていた。
「今日さ〜彼氏がやばかったんだけど。
てかライカは彼氏作んないの?」
作るわけない。
「今は興味ないかな…」
本当はあなたが好きだなんて言えるはずもなく、
私は愛想笑いで誤魔化していた。
ずっとこの生活が続くだけでいい。
そう思っていた。
「今日うち泊まらん?ゲームしたい。」
そうあなたは言った。
「うちは賛成!」
「私も〜!」
そうして私、ミライを含む4人で
同級生の家に泊まることになった。
それがダメだった。
ゲームを部屋でやっていた際
「ちょっとトイレ行ってくる。」
「私も!」
そう言って、ミライともう一人の同級生が、
部屋から出ていった。
「行ってらっしゃいー!」
…
「ライカって私の事好き?」
「えっ…?」
急にそんな質問してきた。
「だってずっと私に構ってくれて、
もしかして私の事好きなのかな〜って。
まぁそんなわけないよね!」
「……好きだよ。」
「…え?」
「ずっと…私、好きだったよ。」
そう言って、無理やり床に押し倒す。
「だから彼氏とか言い出した時、凄い腹立った。
ずっと私は…あなたのこと考えてたのにって…」
「…何それ、きも。」
「…えっ?」
「お待たせ〜って…なにしてんの!?」
2人が帰ってきた。けど私は呆然としていた。
気持ち悪いって言われた。もう私…
「何こいつ、気持ち悪…自分家帰って。」
「なっなんで…?」
「そんなこと思ってたなんて…マジ無理。」
「だから、帰って。」
…
その後は、走って帰った。
涙で前が見えないまま、私は一人で泣いた。
もう無理だ。私は…
次の日、学校に行くと私は
周りから避けられていた。
「やばーあいつ学校来たんだけど…」
「まじ気持ち悪いよね。」
噂はもう出回っており、完全に終わった。
私はもう…
その日から保健室登校になった。
私はゴミだ。もう死んでしまったらいい。
「トイレ行ってきますね。」
そう嘘をつき、屋上まで走った。
「うわ…たっか。」
私はもう死ぬんだ。そう覚悟を決めた。
なのに…
「…ライカ!?」
これは…ミライの声だ。
「何してんの!?こんな所で…」
「…私なんてもう死んだ方がいいんだ。
だからもう…」
そうしたら、ミライは謝ってきた。
「…ごめんなさい。ずっと見て見ぬフリして…」
「今更何?謝ったってもう遅いよ。」
「…あいつらに晒されるのが嫌で…」
ミライは涙まみれで謝ってきた。
…ミライは脅されていた。
何かを隠していたようだ。
「…何それ。だからな…」
「お願い!!死なないで!!」
「なんでそんな必死なの?」
「だって…ずっと私は…」
「ライカのことが…」
その後は覚えていない。
私を庇ったからか、ミライは虐められ、
2人で転校することになった。
なぜミライは、私を庇ったのだろう。
ずっと、分からなかった。
ミライはその後も私に付いてきた。
私はそれがなぜか分からなかった。
愛されたことが無かったから。




