第10話 勇者になりたい。
本の中の勇者は言った。
「思いがあれば、勇者になれる。」
小学生の時、私は小説が好きだった。
勇者が魔王を倒す冒険が、
私にはとても大きく見えた。
本を読んでばっかりだったので、
私に話しかけてくれる人はいなかった。でも、
「何それ!?面白そう!」
「えっ、う、うん。」
唯一ライカは話しかけてきてくれた。
ライカはみんなに優しかった。
すこし過剰だったけど、そこも好きだった。
みんなは少し嫌がってたけどね。
私は、勇者のような無邪気な笑顔で笑ってくれる、
ライカのことがずっと好きだった。
でもそんなこと、本人には言えない。
気持ち悪がられるかもしれないから。
なのに…
ライカとお泊まりができると聞いて、
友達の部屋に泊まった。
友達とライカを部屋に置いて、
他の子と一緒にトイレに行っていた。
扉越しから聞こえてきた。
「ミライ、ライカのことどう思ってる?」
「…えっ?いや…まぁ嫌いでは無いけど。」
「そんなこと分かるって。うちが聞いてんのは…」
「好きなのかなって。」
「…」
「あっ嫌、別にいいよ。言いたくなかったら。
ちょっと空気変えたかっただけだから。
別に本人に言わないし。」
「…うん。好き。」
「やっぱり」
「なんで気づいたの?」
「だっていつもライカのこと見てるじゃん。
触られただけで恥ずかしがったりさ。」
「あはは…それでね。」
彼女は信頼出来る。そう思っていた。
録音さえされてなければ。
帰ってきたら惨状が待っていた。
ライカを腫れ物かのように扱うこの家の子。
「だから、帰って。」
走って帰っていくライカ。
「えっ待って…」
「待たなくていい。」
信頼していたはずの子が言った。
「あんな奴無視した方がいいよ。好きになったって
時間の無駄だから。」
「で、でも…」
彼女の顔に黒いモヤがかかったような視界になる。でも分かる。怖い。彼女は酷い顔をしている。
「ほら、この録音。これみんなにバラしたら、
さっきのみたいになっちゃうかもね。」
そういいながら、さっきの会話を流される。
「えっ…なんでそれを…」
「気づいてたの。あいつとお前が気持ち悪いの。」
「気づいてた…?」
「あいつがあの子に触れた瞬間。そしてお前も。
バレないとでも思ってたの?wこれは粛清だよ。」
「ほら、私たちは一緒に寝よ。」
「うん。あんたもそうだなんて。きも。帰って。」
「…」
足がすごく重く感じる。
もう外も暗いからライカを探しに行くのも無理…
明日から…私…
しかしみんなの反応は少し違った。
もうとっくに噂は広まり、腫れ物扱いしてくると
思っていたが、あの彼女は、
「ミライちゃーん。あいつに構ったら
みんなにあのこと言うからね。」
脅しだ。
彼女らはライカを徹底的に潰そうとしてる。
でも…
私は勇者ではない。ライカを助けようとすると、
私も一緒に死ぬことになる。
それは無理だった。
ライカが学校に来なくなってから1ヶ月。
もう姿は見ないから、てっきり
不登校になったと勝手に思ってた。
「今日から屋上の掃除して。」
そう言われた。もう私はあいつに人形のような
扱いされている。脅されているからだ。
「はぁ…なんで私が…って」
屋上にはライカがいた。
「…ライカ!?」
今すぐにでも飛び降りるかのようだ。
「何してんの!?こんな所で…」
「…私なんてもう死んだ方がいいんだ。
だからもう…」
私は最悪だ。友達、しかも好きな人がこんな思いを
するまで追い詰められてるのに、私は…
「…ごめんなさい。ずっと見て見ぬフリして…」
「今更何?謝ったってもう遅いよ。」
分かってる。今更遅いって。
ただ責任転嫁したいだけだと思われてるのも。
「…あいつらに晒されるのが嫌で…」
つい言ってしまった。私はもうダメだ。
きっと…明日から居場所はない。
「…何それ。だからな…」
「お願い!!死なないで!!」
私は考える前に言葉が出た。
「なんでそんな必死なの?」
何故かなんて、私にも分からないけど。
死なせたくない。私が好きになった人。
勇者になれなくても。救いたいんだ。
私はライカを守る。そう決めたんだよ。
私は言うんだ。本当の気持ちを。
「だって…ずっと私は…」
「ライカのことが…」
「はいはーい。そこまで。
私話しかけないでって言ったよね?」
「な、なんでここに…」
「ちゃんとやってるかなーって見てみたら。
約束破るなんてサイテー」
「…うるさいよ。」
「何?何だって?」
「私はライカを守るって、
嫌な思いさせないって決めたの。
私はどうなってもいい。けどライカは…」
「はぁ?ダル。何それ。」
「…何してんだ!」
「やばっ!?先生じゃん。」
「戻りなさい!」
「チッ…覚えてろよ。」
そこからは学校と親に連絡して、
ふたりは転校することになった。
それからはライカを守るように、ずっと見ている。
私は勇者じゃない。けど、
あなたのそばにいたい。その気持ちが、
いつか叶うことを信じてる。
思いがあれば、勇者になれる。
私は勇者になりたい。
だから、今のあなたを変えることができるのは、
思いがある、勇者になりたい私。
そう信じてる。勇気を出して。
「…ライカ!」
キャラクター紹介
夢乃谷ミライ
年齢 15歳
性別 女
誕生日 11月11日
好物 おにぎり
好きなこと ラノベ 小説 ライカ
嫌いなこと いじめ
ライカのことが好きな女の子。
中学の時のいじめの影響で、ライカを監視している。




