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03_フラウノ

私はフラウノ、今は冒険者をしています。

4ヶ月程前までは騎士団に在席しておりましたが、ひょんな事から辞める事となりました。

それからは冒険者として色々な所を周りました。

元騎士団長であったティアナ様と、同僚であったフラウノちゃんと一緒なので、あまり苦とは感じません。

特に今のパーティに移ってからは、待遇もハッキリと良くなりました。

とは言え、騎士団時代の方が楽だった事は内緒です。


さて、最近我がパーティでは三名一組のカップルが成立しました。

……何を言っているのかと言われても、そのままの意味としかお答えしようがありません。

男性一名女性二名のカップルです。

偶に実家の商会のお客様でも見掛けました。

大抵は裕福な男性かオレ様系の男の人が女性を侍らせてるものでしたが、ウチのは違います。

男性が未成年の少年なのです。

それが年上女性二人を落としたのだから、なかなか信じ難い状態です。

ただ、その少年クロー君は、話を聞く限り相当高スペックなようで、多少デタラメなのは許容範囲内に思えます。

残念ながら、それ以上手を広げる気は無いらしいので、私もお相手いただく事は難しそうです。


初々しいカップルを見ていると、私も恋人が欲しくなってしまうのですが、ウチのパーティには男性はあと一人しか居りません。

リック君、こちらは成人済みです。

外見はそこそこ良くて、性格も優しく実直です。

ちょっと前に、私含めた女性四人とリック君で宿を取っていた事があるのですが、身の危険とかは一切感じませんでした。

それどころか、一人離れてソファで寝ようとする彼に申し訳なく思うほどでした。

性格面も問題なく、後は実力というか甲斐性の面ですが、これも期待できます。

冒険者としては身を守る術は身に付けておきたいですが、リック君は剣術もそこそこ使えます。

流石に、騎士をしていた私達ほどではないのですが。

……すみません、見栄を張りました。

手合わせした時はまぐれ勝ちしましたが、多分、私と同じくらいには強いです彼。

その上、彼は魔術も使えます。

普通であれば秘匿される魔術ですが、クロー君はリック君に惜しみなく教えているらしいのです。

これはもう、優良物件と言って良いのではないでしょうか?


ただ最近、リック君はティアナ様に目を付けられています。

意地悪をする訳ではありません、ティアナ様はそんなつまらない事はされません。

ティアナ様の場合、ちょっとしつこい絡みが増えるのです。

リック君の細かな言葉を捉え指摘したり、行動に口を挟んだり……。


おや?


これって、ティアナ様がリック君を意識しているという事なのでは?

おやおや、まあまあ。

ティアナ様の事はつい応援してしまいたくなる私です。

取り敢えず、今のままでは良い印象でない事は確かなので、それは注意しましょうか。

過去に一度、ティアナ様が目を掛けていた娘が、ティアナ様の行動が原因かはハッキリしませんが、退団してしまった事がありますからね。

ちなみに、スノウノちゃんはそういった事は無かったか、気にした事はないのか聞いた事があるのですが、「もう慣れたし、大半は無視するようにしてるから平気」と答えました。

う〜ん、スノウノちゃんらしいです。

そして、庶民である我々には真似出来そうもありませんね、貴族様の言う事を無視するなんて。


あと、ティアナ様がソレを自覚するようになると、今度はスノウノちゃんが妨害するようになる事が考えられます。

……なかなかハードルが高いですね、リック君。

そこは、私も手助けするので、なんとか良い関係になれると嬉しいです。

……手助けするという名目で、私もリック君に近付けますしね。

さて、この関係性がこの先どうなっていくやら……。


**********


そう思いつつ、気が付けば半月ほど経過していました。

その間、割と忙しい日々を過ごしていました。


まずは、魔術の基礎の勉強。

朝と夜、短いながら魔術の構成要素を習います。

いつもなら説明はクロー君がしてくれるのですが、魔術に関してはヴェロニカさんとリック君が説明してくれます。

これは、クロー君がサボっている訳では無く、クロー君では初心者にピンとくる様に話すのが難しいらしいのです。

これ、ちょっと分かります。

例えば、剣術に対して元から天賦の才能がある者は、最初から躓くという事がありません。

何故なら、簡単な事は出来て当たり前で、困難な事など何も無いから。

そういった者は、他の凡人が躓いたり、難しいと感じる感覚が分からないのです。

むしろ、才能に乏しく躓きの多かった者ほど、他者に教えるのが上手く、良き師となる事がままあります。

ヴェロニカさんやリック君が才能に乏しいとは思いません。

でも、13歳という若さで魔術を会得しているクロー君よりは、躓きは多かったのではないでしょうか。

確かにお二人の説明は分かり易かったです。


次に、剣術の手合わせも行うようになりました。

意外だったのが、単純な剣術勝負をした場合、クロー君はこのパーティ内では真ん中くらい、という点です。

勝手なイメージですが、もっと飛び抜けて強いのだと思っていました。

現在のパーティ内ランキングは上から、スノウノちゃん、ティアナ様、その下にヴェロニカさんと私、それとほぼ大差なくリック君とクロー君、という感じです。(セレナさんはそもそも手合わせに参加せず)

クロー君曰く、「そりゃ、ボクより倍近い年月を剣術に費やして来た方達には勝てませんよ。」とのこと。

クロー君は剣術を習い始めてから五年ほど、対して私達は十年近く剣術を修めています。

しかも、騎士になってからは一層真剣に取り組むようになりました。

とは言え、今の私はクロー君と大差なし、ですか……。

ま、まあ、私は主計役として採用されましたし、騎士団でも最弱な部類であった自覚もあります。

それに、これはあくまでルールあり、一対一の対人戦に限った結果に過ぎません。

実戦だったり、対魔物との戦いとなった場合は、この通りの実力とはならないでしょう。

現に、クロー君の経験では魔術の補助があれば、国単位で開催された剣術大会で優勝できたそうです。

……つまり、私でも魔術を覚えれば剣術大会で優勝する事が出来るかも知れない、という事ですかね?

なんか、ますます魔術の勉強に熱が入りそうです!


さて、我々は冒険者。

移動中に魔物に遭遇すれば、討伐する事もあります。

特に最近は、クロー君の指示で積極的にオークを狩っている気がします。

なんでもジンジャー領の領都の名物料理にオーク肉を使用するそうで、可能な限り仕入れておきたいのだとか。

……これまで、騎士団としてはそこそこ被害を被ってきたオークですが、目の前でバッタバッタと狩られていくのを見ると、なんだか可哀想に思えてしまいますね。


そのジンジャー領ですが、我々にとって懸念があります。

というかティアナ様にとっての懸念ですかね?

ジンジャー領には「南部白日騎士団」が駐屯していたはずです。

そこの団長も、確か貴族令嬢様が務めていたはず。

となれば、軍関連以外でも貴族のパーティ等でティアナ様と顔を合わせた事もあるでしょう。

もし会ってしまったら、気まずいどころでは済まないかも知れません。

気難しい方であれば、騎士団を辞したティアナ様は叱責されるかもしれない。

そしてその火の粉は私やスノウノちゃんにも被るかも知れません。

……でもまぁ、普通に考えれば貴族令嬢で騎士団長でもあるような人物が、町中をフラフラ歩いたり、冒険者ギルドに顔を出す事なんて無いでしょう。

「北部白日騎士団」でも、団長のティアナ様や副団長のテミス様は、警らなどやっていませんでしたし。

懸念にしても、少々神経質過ぎましたかね。


さあ、そのジンジャー領都のものと思しき町中の煙が見えて来ました。

懸念は一旦置いておいて、宿でゆっくり休みたいです。

あと、クロー君おすすめというオーク料理も楽しみです。


騎士団時代の方が楽だった事は確かです。

しかし、楽しさ、充実感といった点では、今の生活の方が上ですね。

今、騎士団に自分だけ戻れるとしても、私はその選択はしないでしょう。

この先、まだ行った事のないカダー王国にこのパーティで行くのが、今から楽しみです。

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