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02_閑話_翌日

「さぁ、話し合いましょうか。」

「あ、ああ。」

「はい……。」

告白の翌日、この日は移動はせずに、一日この町で過ごす事とした。

理由は、ヴェロニカさん、セレナさんの二人とちゃんと話し合う為だ。

ボクは二人と共に宿屋の部屋に残っていた。

今は、二人がベッドに腰掛け、ボクは対面する位置で椅子に座っている。

リックには、ティアナさん達に魔術の基礎を教えておいてくれ、と言ってある。


「……ではまず、ボクの想いから口にします。ただし、これはそうして欲しいと主張するものではありません。これに不満があれば聞きますし、考えも改めます。」

「分かった。」

ヴェロニカさんが応えるのを待って、ボクは続きを口にした。

「まず、この先カダー王国に入って、ローエンタール領に着く頃には冬に差し掛かっていると思います。そこまでは、キ、キスとかそのくらいに留めておくのはどうでしょう。どうせ、冬には冒険者のやれる仕事も減るのですから、その間に一時的に部屋を借りるなどして、気兼ねなく、……その、致せば宜しいかと。」

う……、やはり言ってて恥ずかしくなる。

「ただし、その……、なかなか言い難いとは思いますが、仮に、そこまで待てないと思っていたのなら、ボクの方はまったく嫌とか思う事は無いし、むしろ歓迎すると断言しておきます。」

うん、これは言っておかないと。

ボクだって嫌だったり、したくない訳では全然ない。

「あ、あの、一つ聞いて良いですか?」

「はい、セレナさん何でしょう?」

「クロー君は、前世で経験はあるのですか?」

「……う〜ん、経験と言うか、前世の自分が体感した事を知識としては知ってます。でも、こんなの耳年増と変わりませんよ。今のボクには実際の経験が伴ってないのですから。」

そう、知識としては知っている、だけの状態でしかないのだ。

おまけに、前世オジサンの知識というのも、偶に行ってた大人の店や、大量のハウツー本の知識なので当てにならない。

「……つまり、クローも今世での経験は無いのだな?」

「……そうですね。」

ヴェロニカさん、セレナさんとは、なんだかんだ抱き合ったりとかはしたけれど、性的な経験は無い。

……ルミとは?

あれはノーカンで良いんじゃないかな?

性的な事は無かった、……はずだし。

「……今、何かやましい事を考えてたか?」

何故分かる?!

「いえ、ヴェロニカさんやセレナさんと抱き合ったのはカウントすべきなのかなぁ、と思っただけです。」

「あぁ、そう言えばそうか。」

よし、誤魔化せた!


「そうですよね。クロー君はお年頃とは言え、まだ成人前ですからね。いきなりは困りますよね。」

セレナさんはそう言いつつ、ホッとしたような、残念そうな顔をした。

「はい、かと言って成人するまであと二年なんて待てる気は無いですけどね!」

「……どっちなんだお前は。」

「でも、私もまだ心の準備が十分じゃ無かったかもなので、慣れるまで時間があった方が良いかもですね。」

「まぁ、それはそうだが……。」

セレナさんの言葉に対して、ヴェロニカさんは何か含みのあるような言い方をする。

「ん?何かあります?あるなら言って下さい。隠されて不満を抱えられちゃう方が、こちらは辛いですから。」

「…………あの。」

「……?はい?」


「キスくらい、しないか?」

「「……。」」


「い、言えと言ったのはクローだぞ?!」

あ、ヴェロニカさんがキレた。

「あ、はい、もちろん。しましょう。ごめんなさい、ヴェロニカさんがそんな事を言い出すとは思わなくて、ポカンとしちゃいました。」

「すいません、私もです。でも、確かに私もヴェロニカさんと同じ気持ちです。ただ──」

今度はセレナさんが言い淀む。

「ただ?」

「──どちらが先にします?」

あ〜……、それはちょっと気にする所かも知れない。

「大丈夫だ、それは考えてある。」

考えてあるんですね?!

「今後、本格的な行為をする際、多分、ウチの母親代わりをセレナに頼む事になると思うんだ。」

「魔術兵、愛称『クラゲ』の対処のお話ですね?」

セレナさんがフォローを入れる。

「そうだ。で、その際にセレナが事後の状態だと、魔術もおぼつかなくなると思うんだ。」

「なるほど、つまりその時はヴェロニカさんが先に致す事になりそうという事ですね?」

今度はボクが確認の意味の相づちを打つ。

「そうだ。その代わりと言うのもなんだが、……キスはセレナが先にするので良いと、思った……、のだが……。」

ヴェロニカさんの語尾が尻すぼみになる。

……正直、照れてる女性というのはとても可愛いと思う。

「分りました!では、不肖の身ながら私からお願いします!」

「は、はい!」

「……では、どうぞ。」

そう言うと、セレナさんは目を閉じ、軽く上を向いた。

……って、受け身なの?!

勢いとギャップが有り過ぎでしょ!

いけない、ボクもセレナさん、ヴェロニカさんのノリを理解していかないと。

「で、では。セレナさん──」

「は、はい!」

「──好きです。」

「……っ?!」


……チュッ


……。

あ、やっぱり恥ずかしい。

ヴェロニカさん、ガン見するの止めてくれませんかね?

……おや?

「セレナさん?」

「……はぇ?」

え、すっごいうっとりしてる?!

キスだけでコレなら、本格的に致したらどうなってしまうのか……。

移動中なら絶対旅に支障が出るんじゃないかな?

「ク、クロー、次は……。」

ボクが考えていると、ヴェロニカさんが焦れて催促してきた。

「あ、はい。大丈夫です。」

「クロー……。」

ボクが向き直ると、ヴェロニカさんはボクの両肩を掴み、迫ってきた。

「ヴェロニカさん。」

「……ん?」

「二人旅をするようになって、最初に言いましたよね。ボクを男として見て欲しいって。」

「そうだったな。……まさか、こういう事をしたいと思うほどになるとは、思わなかったけどな。」

「ボクはずっとヴェロニカさんを、素敵な女性と思ってましたよ。だから、こうなれて嬉しいです。」

「クロー……。」


チュッ……


………ギュッ


あ、あれ?

ヴェロニカさんの手が背中に回り、締め付けてくる。

まるで、獲物を逃さないようにするかのように。

「……んっ。」

「はっ!ちょ、ちょっと、ズルいですよ、ヴェロニカさん!そんな、の、濃厚にするなんて!」

あ、セレナさんが正気に戻った。

……いや、正気かなコレ?

「……はぁ、すまん。我慢出来なかった。」

そう言うと、ヴェロニカさんはボクを手放し、半身ズレた。

そこにセレナさんがしがみ付いてきて、再び唇を重ねる。

……なんだかんだボクも初めての事で、いっぱいいっぱいな状況だ。

自分の身に何が起きてるか把握するだけで、精一杯であった。


「あ、あの、そろそろ終わりにしません?これ以上はボクも理性が持たないですよ。リック達に変に思われそうですし。」

交互にキスを迫ってくる二人に、しばらくされるがままになっていたボクは、ようやく言葉を絞り出した。

時間にすれば十分にも満たない間だったと思うけど、ボクの人生の中で最も濃密な時間の一つだった。

「あ、そ、そうだな。」

「すみません、夢中になっちゃいました。」

ヴェロニカさん、セレナさんは、言われてハッとしたようで正気に戻ったようだ。

「謝る事ではないですよ。ただ、今後も三人だけの時だけにしておきましょう?夜にそんな様子を見せられたら、リックが気まずくて仕方無いですよ。」

「……リックは一人部屋とかに出来ないか?」

「何でそんな可哀想な事を言うんですか?」

「い、いや、冗談だよ!リックの事は、ちゃんと大切な仲間と思ってる。けど、なぁ……。」

「現状、私達三人だけになるタイミングなんて、そうそう無いと思うんですよ。」

……それもそうか。

昼間は移動か、皆の修行をしているし、夜は宿ならリックも居る、野営中なら皆で固まっている。

う〜ん……。

「まぁ、野営中は仕方ないとして、宿に泊まる時は合間に時間を作る事にしましょう。リックも一時的に席を外すくらいはしてくれるでしょうし。」

「まぁ、そうか……。」

「それなら……。」

二人ともなんとか納得してくれたようだ。

「……いっそ、リックとティアナさん達の誰かがくっつけば、3:2:2で部屋を取っても良いかもですが。」

「「?!」」

え、あれ?冗談ですよ?

なんでそんな、「その時、二人に電流が走った」みたいな顔するんです?

「リックと誰かを、か。確かに良さそうだな。」

「リック君も見せつけられるだけでは辛いでしょう。好みを聞き出して、私達も陰ながら手伝ってあげれば……。」

あ、すっごい乗り気だ、二人とも。

……ま、いっか。

確かに、リックだって健全な年頃の男子なのだから、お相手は欲しかろう。

それが本人の意思を無視したものでないなら、手伝ってあげるのは全然アリか?

「……でも、傍からアレコレやり過ぎるのも、お節介や押し付けになりかねません。自然な形で出来る事だけ後押しするよう、気を付けないと。」

気付けばボクも、二人の会話に乗っかっていたのだった。

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