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26_二対二

「あれって……?!」

「魔術師だね。ボクらと同じ……。リック。」

オレが呟くと、それにクローが答え、オレの名を呼んだっす。


「はいっす!」

「一人任せて大丈夫?」

「え……?!」

えっ?流石に初の対魔術師戦となるとビビッちゃうっすよ。


「大丈夫。時間稼ぎさえ出来れば良いよ。……大丈夫、今のリックなら決して負けないから!」

「わ、分かったっす!」

そんなオレを落ち着かせるように、クローは「大丈夫」と繰り返したっす。


「ただし、手加減も容赦もしちゃいけないよ?そんな事が出来るほど、リックはまだ強くないからね?」

「──っ?!はいっす!!」

「良し。……来るね。手前をボクがやる。後方の奴をリックがお願い。」

相手は問答無用で攻撃魔術を放って来たっす、交渉の余地はないっすよね。

クローもそう考えているのか、最初からヤる気っす。

「了解っす!」


「とにかく、初撃を全力で回避して!その後は近接戦に持ち込めば、リックなら勝てる!行くよっ!!」

「はいっ!!」

そう叫んだオレらは、二手に分かれてそれぞれの敵の元に向かったっす。


「くっ!このっ!」


ヒュンッ!……ドウッ!


クローの読み通り、相手は攻撃魔術を放って来たっす。

オレとクローは互いに逆方向から回り込んでいたため、後ろを気にする事なく回避。

『重力制御』を最大限に活用して、何とか躱す事に成功したっす。


「はっ?!な、なにっ!」


オレが迫りながら回避するとは思っていなかったのか、相手が慌てたっす。

そんな事に構わず、オレはクローに言われていた通り、相手に次の魔術を唱える暇を与えずに、肉迫して接戦に持ち込んだっす。


ジ、ギンッ!ガッ!ギギ……パリンッ!


オレが猛攻を仕掛けると、相手は堪らず防御に徹して後退したっす。

それでも、相手の『闇纏い』の一部を削り、一端を破ってなお前進する。


「な、何でだっ?!貴様っ、魔術師なんだろぅ?!」

「オレは……、ポーターっす!!」

「はぁっ?!」


相手はオレの答えに対して、変な声を発して応えたっす。

コイツ、接近戦は全然大したことないっすね。


『手加減も容赦もしちゃいけないよ?そんな事が出来るほど、リックはまだ強くないからね?』


っと、馬鹿な事考えたっす!

相手はオレを殺そうとしに来てるんす。

そんな相手に甘い顔しても、良い事なんて何も無いっす。


『何より、自分達の安全を最優先で!』


クローの言葉が頭に浮かぶっす。

そう、コイツと敵対した時点で、やる事は唯一つ。


「たぁぁぁぁぁぁっ!!」


ズサッ!!


「ぐ、がはぁっ……!」


オレは相手の隙目掛けて、刃状にした『闇纏い』を振り抜いたっす。

オレの刃は相手の『闇纏い』を貫き、その体を切り裂いた。


ドサッ……


サァ……


倒れ伏した相手の体から、『闇纏い』が霧散する。

やった……。

いや、クローも戦ってる筈っす!

クローは──


ズッ!!


……へっ?


振り返ったオレの目の前に『闇纏い』が居て、その刃がオレの腹を──


──いや、刃はオレの脇腹のすぐ横に伸ばされていたっす。


「危ないよ、リック。倒したと思っても、最後まで気を抜かないで。」

目の前の『闇纏い』からクローの声が聞こえた。


「ぁがっ……。」


クローの『闇纏い』の刃の先を見ると、さっき倒れた筈の相手が刃物を持って膝立ちになってたっす。

そして、クローが刃を引き抜くと、相手はまた倒れ伏し、今度はもう立ち上がる事は無かったっす。


「……っ?!」

「生き物はね、しぶといんだよ。特に、信念や強固な思想を持ってるヒトはね……。」

驚いているオレの横を抜けながら、クローは呟くように語ったっす。


そのまま、倒れた相手の向きを変え、相手を簡単に調べると、ため息をつくように言葉を放った。

「……やっぱり、コイツも「魔王教」だ。」

「へっ、何で?!」

「この紋章は何度か見たんだ。ボクの方の奴もそうだった。……くそっ、こんな事にまで関わってるなんて!」


「魔王教」?!

シオンちゃんを襲おうとしたり、コラペ王国の式典でテロ行為を行おうとしてた奴等じゃないっすか!!


「なんで「魔王教」の奴等が三貴族側として居るんすか?!」

「……多分だけど、コイツらは帝国と内通してるんだ。今回だって帝国側に与しているし、コラペ王国式典の時だって成功すれば、少なからず帝国の利に繋がっていた筈だしね。」

「……そんな、そんなの……、どうして宗教としてやってるんすか?!」

「ただ、帝国の手先として活躍してたら、それに加担してしまうと、それはただの売国奴になってしまう。けど、宗教の皮を被って、魔王様のためにという大義名分があれば、帝国の利益のために行動していると悟られ難い、そんなとこかな……?」

「そんな……、少なくとも信者は魔王様の為と思っているだろうに……。」

信者の信心を国の道具として使うなんて、そんな非道い事が本当に有るんすかね?


「まぁ、それもあるんだけど、コイツらはもしかして……。」


ヒュ……パンッ!パンッ!


クローが何か言いかけたタイミングで、ダムのあった方向から音が聞こえたっす。

「「──っ?!」」

オレらが音のする方を見ると、合図用の『灯り』が二つ弾けたっす。


その意味するところは「直ぐに来てくれ」。


「くそっ!!やっぱり奴等かっ!!リック、急いで戻るよっ!!」

そう言うと、クローは勢い良く駆けて行く。

慌ててオレも付いて行くっすけど、全然追い付けないっす!


「クロー、どうしたんすか?!血相変えて。」

「ヴェロニカさんが狙われてるんだっ!!」

クローは顔だけ振り返ると、そう叫んだっす。

「──っ?!」

驚くオレを残して、今度はもう振り返らずに、クローはヴェロニカさんの元に駆けて行ったっす。

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