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きみの記憶  作者: 青林檎
1/1

不思議な少年

「梨花、大変!!」

時計は午後6時30分すぎだった気がする。

ご飯前でお腹が空いていたのとお母さんが慌てて私の部屋に入ってきたのを強く覚えている。


「どうしたの?」

そう私が聞くとお母さんは真っ青になりながら

「慧君が…」



私は高校2年生の斎藤梨花。

地元の高校に通う普通の女子高生。

そして隣には幼なじみの片山慧が住んでいる。

私は密かに、想いを寄せています…。


そんな慧とは昔から仲良くて今も結構仲良い。

でもどうせ慧は私のことを姉か妹としか思ってない気がするけど…。

慧とはよく邦ロックの話したり、一緒にライブ行ったりするんだ。

だから、もっと女の子として見て貰えないんだよね…。


そんな私ですが、明日告白しようと思います。

なんで明日かっていうと…特に理由はない!

振られてもいいから、気持ちだけ伝えようかな…と昨日の夜一人で自分と相談していた。

そしてついに、明日言おうと決断が出ました。

1人で緊張と闘っていた。



その時だった。



あの情報を耳に入れるのは…




「梨花!!」


お母さんの叫び声。


火事でも起こったのかと焦った。


「どうしたの?」



でも違った。



「慧君が…」



その一言だけで頭が真っ白になった。


恐る恐るお母さんに聞いた。



「…慧がどうしたの?」



「慧君が…事故に合って…今病院に救急搬送されたみたい…」




もう何もかもが壊れた音がした。


告白とかもうどうでも良くなった。

お腹が空いていたのもどうでも良くなった。

自分が泣いてるのもどうでも良くなった。


もうどうでもいい。



慧のことしか考えられなかった。




そしてすぐに、お母さんと病院へ向かった。


車の中ではずっと無言。

私もお母さんも話す気力も無くしてしまった。


慧の家族と私の家族はすごく仲が良くてまるで親戚みたいな関係だった。

だから慧のことはお母さんも私も心配でたまらなかった。



そして病院に着いてすぐに慧の元へ。

手術室の前では慧のお母さんとお父さん、そして弟の智が居る。


「あの…!!慧は…」

私は抑えきれずすぐに聞いてしまった。

「…命に別状はないみたい」

慧のお母さんが言った。

私は少しホットした。


「でも」


この言葉でまた頭が真っ白になった。


「…でも記憶が…」



そのあとはよく覚えていない。

慧が1ヶ月か2ヶ月のあいだ入院することは覚えている。



次の日の昼頃、慧が目覚めたと聞いてるみたいにすぐに慧のお見舞いに行った。


病室のドアを開けると、慧がベットの上で座っていた。

涙が込み上げてきたけどそれを抑えて笑顔で


「慧!!」


そう言った。すると慧は


「…誰ですか?」



心が砕けたきがした。

なんだか胸が痛い。

チクチクチクチクチクチクチクチク



記憶喪失って分かってるけど…やっぱり…



チクチクチクチク…



痛いよ。




私はあまりにもショックでずっと無言だった。

でも慧はお母さんとかとずっと笑顔で話してた。

ずっと敬語で話してた。

前の慧はこんなんじゃないのに。


私のこと覚えてないってことは私との記憶もないのかな。

一緒にライブ行ったことも

小さい頃、家のアイス2本も食べて怒られちゃったことも





全部全部全部全部全部全部全部


全部全部全部全部全部全部全部





全部…





忘れちゃったのかな…









夜は全然眠れなくて、寝たのは結局2時半過ぎだ。



そして変な夢を見た。




「なにここ…」

辺りを見回しても真っ白。

上も下も何も無い。ただ白い空間。

つまらない夢だ、早く目覚めろと思っていたその瞬間

後ろの方から声が聞こえた


「やあ」

「誰?」

振り返ると、白い髪の12〜15歳くらいの少年が立っていた。

「はじめまして、僕はトリース」

「不思議な名前だね」

「よく言われるよ」

ふふっとトリースは笑った。

そして笑いながら私に


「彼の記憶を戻したい?」


一瞬ドキッとした。なんでこの子が慧を…

まあ夢の中だしあり得ないことが起こるのも不思議ではないか。

私はそのことには触れずに会話を続けた

「戻すってどうやって?」

「戻したいの?」

「そんなの…当たり前じゃん…」

そのあと男の子はフッと笑った


「これ、夢じゃないよ」

「どういうこと?」

私は不思議そうに問う。

「これは、夢ではない。

僕は、まあ、異世界から来たんだ。」

変な夢だ。夢なのに夢じゃないって…

「そんなわけないでしょ。だってさっき寝てまだ起きてな…」

喋っている途中で遮るように男の子が話す。

「うーん、まあ夢といえば夢かな。」

訳が分からない…

「夢って痛みとか感じないけどここでは感じちゃうんだよね」

すると男の子は私のほっぺをつねる。

すごく痛くてつい声を上げてしまう。

「痛い!」

「はは、ごめんごめん。

でもこれで分かった?夢じゃないって」

「まあ…。

あ、でも私の体は?ここはベッドの上?」

「ううん。違うよ。

君のからだごとここに転送されてきたから。」

つまり、私が寝ている間にここに体ごと転送…

ってそんなアニメみたいなことあるか?!

「信じられないのも分かるけどこれは現実なんだ。」

「でもんなんで私が…」

「あ、そうそう本題忘れてたよ」

テヘッといってトリースは下を出して笑う。

そして真剣な顔になり口を開く。

「僕は記憶を管理することが出来る能力を持ってるんだ。その能力を持っている人を「メモリーズ」と呼ばれている。メモリーズはこの世界に僕を入れて…えっとねぇ…5人くらい居て、メモリーズ1人につき、1人だけ人間を選んでその人間と一緒に仕事をしないといけないんだ。もちろん断られたら違う人をまた探すんだけど、どう?一緒にやってみない?」

いや、どう?って、そんな説明でうんって言う人いないでしょ。

「えっと…メモリーズっていうのは何となくわかるけど、どんな仕事するの?」

「記憶というのは、歳と共に忘れていく。

今大事な記憶でも1週間したら忘れてしまう記憶、10年前の記憶、赤ちゃんの頃の記憶…色々ある。

その大事な記憶を、その人が思い出したいと思った時に思い出させる…っていうのが仕事だよ」

「…どうやって思い出させるの?」

「そ・こ・で!僕達の魔法を使うのさ」

「…魔法?」

「君は半信半疑のようだから、しょうがない。

君に魔法をかけてあげる」

そう言うとトリースは私の方に手を向けた。

そして目をつむり、何かを感じているようだった。

「君の大事な記憶…は…」

なにか思い出したようにトリースはパッと目を見開く。

「この記憶をもう一度…思い出したまえ…

メモリーリバース!!」


トリースがそう叫んだ瞬間、私は突如思い出した。


ずっと忘れていた




大事な大事な記憶を




あの記憶…

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