表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

Yoffleside


悪魔の科学者。

ウンコ=シタイナー博士は由緒正しきドイツの名家。

ウンコ=シトンネンスタイン伯爵の系譜に連なる者だという。

ウンコ=シトンネンスタイン伯爵は19世紀ドイツの貴族。

名領主と名高い、厳格な方であったそうな。



それはこんな、真夏の一夜。

ウンコ=シトンネンスタイン伯爵は使用人どものこそこそ語る、妙な噂を耳にした。

いわく。

このゲリビンジャーブルク城は、「出る」のだという。

尻からゲリビンジャーが出るのではない。

かつて、謀叛の疑いをかけられ一族郎党、刑に処された、ヨッフル家。

その美貌に聞こえたヨハン=セバスタン=ヨッフル夫人、その幽霊が出るというのだ。

夫人は在りし日、この城からの脱出を計り。

午前2時。

大広間にて捕らえられ、その場で首を跳ねられたという。

その夫人の幽霊が。

今でも午前2時になると、首を抱えて大広間に立ち。

「嗚呼。今日も2時だわ。」

怨めしげに、呟くそうな。


厳格で知られた気難しい、ウンコ=シトンネンスタイン伯爵のこと。

たいへん()しからん。

この蒸気機関車の走る時代に。

そのような、前時代的な怪談話なぞ。

怪しからん、怪しからん。

烈火の如くお怒りになり。

よし。

かくなる上は余自ら。

そのような怪異なぞないということ、証明してくれる。

一同に言い放ち、真夏の夜のゲリビンジャー城。

大広間、寝ずの番に付くのであった。


さて。

時は過ぎ、タイム・ハズ・カム。

今宵も午前2時はやって来る。

憮然とした瞳で空中を睨むウンコ伯爵、此は摩訶不思議。

白く沸き立つ湯気か陽炎、もやもやもやと。

人の姿を形作り。

女性の影、その身体には首がなく、小脇に抱えた美しい顔。

憂いの声で、細く呟く。

「嗚呼。今日も2時だわ。」


怪しからん!

怪しからん怪しからん、怪しからん!

ウンコ伯爵、自慢の懐中時計を取りいだし。

烈火の如く、お怒りになる。

貴様、なんと心得るか。

既に午前2時26秒。

30秒も過ぎておるわ。

非科学的な、幽霊風情の分際で。

時間を守らぬとは何事か。

余を愚弄するか、馬鹿者めが!!


翌晩から。

午前2時になるとゲリビンジャー城の大広間では、ウンコ伯爵御手製の仕掛け時計が大音響で。

ジリリリリリリとベルを鳴らすようになったという。

以後。

ヨッフル夫人の姿を見たものはいない。




「…と、いうのが。この家の祖先が100年ほど前、世界初の目覚まし時計を発明した経緯なのだそうな。」

悪魔の科学者。

ウンコ=シタイナー博士は静かに笑う。

「まあ…私としてはね。首のないご婦人が毎晩現れる方が、よっぽど目覚ましになるんじゃないかと。思うのだがね。」

ウンコ博士の眼鏡が、はげ頭の反射で白く輝く。

はあ。

生返事をしつつ。

この博士。

またろくでもない発明をするんじゃなかろうか。

そっちの方が。

ぼくとしてはよっぽど、恐ろしかったりするのだぜ。


(了)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ