六仕事目
連日投稿はこれで終わりです。
本当に書き溜めた分が終わりました。
あと簡易的な人物紹介もありますが、登場している人物が少なすぎるので見なくても良いです。
「マリネ、この人は?」
「え、はい、そのご主人様と手合わせをしたいと宣い、そして玄関の前に居座ろうとしていたところを仕方なく屋敷に入れ、その後私と手合わせを、と宣ったので一瞬にして気絶させた、と言う感じです。所謂不審人物、もしくは迷惑な野郎です」
そして、流石にそのような意味不明な乱入者が現れたので、ご主人様の淫行を阻止することはできた物の、今度はなぜこんなものを屋敷に居れたのか、と言う事を質問しながら確実に周囲の気温が二、三度下がったように思えるくらいの冷たい目をしていた。
先ほど、瞳の奥には狂気的な物やみだらなもの、本当に狂っているかのような物がごちゃ混ぜになっているようなものだったが、今は完全に冷静になり、瞳の奥には吹雪が、ブリザードが吹雪いているようなそんな瞳だった。
「ただ、一応お客人と言う扱いです。と言うか玄関に放置しておくと、噂でひどいことになるのは目に見えていますので、入らせましたが」
「そう……そういえば、さっきマリネはこいつは私と戦いたいとかって言ってたけど、本当なの?」
勿論、私だって言い分があるので反論させてもらいますが、またもや何一つ動じないと言うか、反応すらなく少し不安になってしまいますが、ご主人様がキレると何時もこうなるので別に慣れています。
損なご主人様は次におかしなことを宣った男に対して、最後通告の様な台詞を言い戦う気があるのかと質問した。……どうやら本格的に殺るきらしい。
……というか、ご主人様の淫行防がれただけで怒りすぎていると思います。そんなに私としたかったんですかね? 変なことしないのならいつでもやってやってもいいんですけれどね。
「あはは、そうだな! ただそのお嬢ちゃんにも負けたのに、それよりも強いあんたに敵うとは思ってもねえよ」
「……そう、まあそれが当たり前だよ」
まあ、あれで私が負けてしまったらこの男は何者なんだと言う話になる。私は少なくとも五百年近く、魔法に関して練習や勉強、そして思考、色々な事をやって来たのだ。その五百年をただの人間程度が覆すなど、よほどの天才だろう。それはもう、今までの魔法体系が崩れてしまう位には。
もしくはご主人様と同じ様に転生を何度もしている人間か、不老不死の呪いでもかかっている人間か、もしくは私と同じ様なホムンクルスだろう。……天才と言うよりはそっちの方が可能性は高いだろうとは思いますけどね。
「それで提案だが、俺をあんたらのどっちかの弟子にしてくれ!」
「「はぁ?」」
そして、この男をどうしましょう、と言う風にご主人様に目配せをしていると、今度は「弟子にしてくれ!」と更に世迷いごとを宣った。
流石のご主人様でも、これは予想していなかった様で、どうするの? と言う様なとても困惑気味で、眉がに八の字になりながらも、私に目配せをしてきました。
……私を見られましても、ここの家主はご主人様ですし、私はここでメイドの様な物をやっていますが最終決定権はご主人様にあるので、私にはわかりませんね。
「ご主人様念願の一番弟子ですね!」
「ちょ! マリネ!? 私はこんな男の弟子を取りたくなんてないよ!?」
勿論、私が弟子にとってもいいのだけれど、そうするとご主人様のお世話やこの家のお掃除、買い出し、ご飯の調理などと言ったこのお屋敷の中の、日常生活での必須の事を担当している。
なので弟子を取ってしまうと、ご主人様が多分困るだろうと思うので、ここはご主人様が弟子に取るか、見捨てるかのどちらかでないとダメだろうとは思います。
「ご主人様、私はただでさえ貴方の、わがままに毎朝付き合わされているのです。それに家事すべて私だけでやっていますし。なので、やってくれますよね?」
こんな男を弟子にしたくはないし、仕事を増やしたくもないので、今までのストレスがたまった分、うっぷんを晴らすために今までのイラつきを全て載せたような笑みを見せ、ご主人様に少しだけすごんでみると、怯えたような目をして、目を逸らした。……珍しいですね。
「わ、分かったよ。それにまた仕事辞職してきたし」
「……はぁ、またですか。まあ確りと弟子を育成するのなら何でもいいですよ」
本当にこのご主人様は何なのだろうか。本当に子供みたいなことを言うし、辞職九回目くらいだしで、もうご主人様には働かなくてもいいと思います。以前ドラゴンを二、三体近く屠ったおかげで慎ましく生活すれば二世代近く暮らせるお金はあります。
「うん! ありがとう!」
そんな風に、無邪気に笑っているご主人様を見て、私は少なからず、ご主人様の将来について不安になってしまった。