五仕事目
連日投稿はない、俺はそう言ったな。
だが、あれは嘘だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
「はぁはぁ、はぁ、よいしょ」
あれから三十分近く。
完全に息も絶え絶えになり、これ以上はまともに動けない位につかれながらもようやく大の大人を連れた私はお屋敷に帰ってこられた。……本当にこういう時のために筋肉はつけておいた方が良いと思うのですが、ご主人様は断固として拒否しますからね。
「筋肉ムキムキのマリネちゃんなんて、そんなのマリネちゃんじゃないよ! あんまりだよ!」と言う風に、こちらがあんまりな台詞を吐いてきます。なので私も筋肉をつけられないのです。……ホムンクルスなので、吐くかはわかりませんが。
「玄関の前に居座ろうとしますし、ご主人様と戦いたがろうとしますし。ご主人様の体も不安になりますが、蘇生術とかをすべて利用して、拷問し掛けないかが一番心配なのです」
本当に、私も一度ご主人様を本気で怒らせてしまい、その時は修理系の魔法を駆使して私が号泣しながら土下座すると言う事が有ったくらいだ。あの時は五時間くらいウやり続けられた後は、今度は淫獄と言うかなんというか……形容できない、と言うか思い出したくもない地獄でしたよ。
だから、それであの男が本気で怒らせてしまったら、ご主人様が捕まってしまう。それだけは絶対に避けるべきだ。気付かれる、気付かれないとか言う問題ではなく、人間としてどうかと思うのです。
「それでいて楽しんでいる節のある、変態鬼畜外道でもありますからね、あのご主人様は」
しかも、一度私がご主人様の事を怒らせてしまった時に、ご主人様は無表情ではなく悦に浸っているような表情で私に対して魔法を撃って来たり、色々な事をしたりと、あれの本質は殺人鬼と大して変わらないのです。ただ、生きているときの方が楽しいから私の事を生き返らせて、殺して、の連続です。
「まぁ、それもご主人様が居ないから言える愚痴なのですけどね、飲み物でも持ってきましょ――ぴっ!?」
そうして、私の普段の生活が社会不適合者並みの生活を送っているご主人様の事を、社会不適合者と言うか、殺人鬼と相違ない正体を持っているご主人様の事を散々口に出して数分愚痴った。
そして、気が済み今度は倒れている男が起きた時のために飲み物を用意するために、調理室に向か為、客室の扉の方を向いた瞬間、絶句した。絶望した。
「あぅ、そ、その、さ、先ほどの言葉は全部嘘なのです!」
その理由は簡単です。
扉を全開にして、目の笑っていない満面の笑みで私の事をずっと動かずに見ている、変態鬼畜外道が居たからなのです。
「信じてください!」
私がご主人様に対して懇願する様に、その言葉を発しました。もう今の私は矜持、プライド、名誉をすべてかなぐり捨て、裸になって土下座してでも……いや、それは襲われるのでやめますが、このご主人様に何でもささげるような心持で発言したのですが、ご主人様の反応は全くありません。
「あぅ、な、なんか反応してくださいよ!」
そして、なにも反応が無さすぎず、その満面の笑みさえも崩れておらず、もうその普通の笑顔と思っていた笑顔が、殺す相手を目の前にして笑う様な狂気的な笑みにしか見えなくなってきていた。
勿論、私はそんな状況は打開したいので、叫んだ。すると、ようやくこちらに向かって歩き出した。
「ねぇ、マリネ? また躾が必要かな?」
「い、いりません!」
そして、ご主人様が近づき、私の首元に抱き着くという形になった後、そんな事を言った。……しつけと言うのは、文字通り、と言うか察してもらえると思うのですが、例の殺されて生き返らせるものや、性的な物、もしくは……まあ、色々なものがあるのですよ。
絶対に、基本的人権を求めるので、拒否させてもらうのですが、首元を舐められ、流石に反応してしまう。
「んっ、や、やめてください!」
「ふふ、そんな反応しながらやめてと言われてもねぇ?」
しかし、私の必死の拒否は逆のご主人様に眠る男の時の性欲か何かに炎を付けてしまったのか、小悪魔的な、少しこちらを馬鹿にするように笑いをしていた。
そして、私自身、もうおいしく食べられてしまう、と言う事が分かってしまったのでせめて変な事は言わない様にと、覚悟した瞬間、一筋の光明が見えた。それは気絶したであろう男が起き上がったのだ。
「う~む、美少女たちのキャットファイト。絶景哉」
「……」
「……」
しかしながら、その救済を一瞬でも求めた男はそんな世迷い言を宣った。
ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁい!!!!