十仕事目
眠いのですぅぅ!!!
「ご主人様、そう言えばどこに言っていたのですか? お屋敷にはいない様でしたし、別に仕事も今はしていないのですし」
そして私はリビングで魔法で大量に水を出し、それを大量に飲んでいるご主人様に追撃を仕掛けるために、いたってまともな、いたって真剣に疑問に思っている表情をしながら、自然とご主人様に対して疑問を思っている。と言う体を装ってご主人様に質問しました。……内心は笑いを抑えるのに苦労するくらい、にやけているのです。
「ぶはっ?!」
ご主人様は私が不意に質問をしたことに驚き、先ほどまでの私の愚痴を聞いていたご主人様はどうにかして取り繕うとしているらしいですが、良く分からない状態になっています。「わ、私は近くに住んでいる子供たちに対して慈善活動の必要性を説いていたんだよ」と言ったりしているのでした。
……ご主人様はそこまで高尚な人ではないのです。どちらかと言うと「慈善団体? 宗教団体? 国家? そんな物は知らねぇ! 爆発しろ!」とか言いながら極大魔法を撃ちこむくらいの反社会的な性格の人なのです。
「ど、どうしたのですか? 何か体に悪い物でもたべたのですか?」
実際、ご主人様は本気で怒ったり、重要な戦闘の時を抜き、常時抜けています。それは今までの言動などで分かると思うのですが、本当にこれが素の場合なのです。
戦闘になれば「さぁ、此処で安らかに死ぬか、苦しんで死ぬか、もしくは苦しみながら永遠と生きるか、選択しろ」と言う風に、かっこいい事を言うのですが、平時は残念なのです。
これが残念美少女と言う物なのでしょうか。
「え、いや、そんな事は無いけど」
どうやらご主人様は、先ほどの「慈善活動が……」と言う事でうそが通るとでも思っていたらしく、少しどもりながらも、先ほどの事を流そうとしていました。
……いつもは私がラインハルトやご主人様に引っ掻き回されていますが、私がご主人様を引っ掻き回すのも楽しいですね。何も考えずに弄るだけでいいのですから。
「そんなことあります。ご主人様が素でそんな高尚な事を言う訳がありません」
ご主人様からは、「それは自然に人の事を貶してるよね?」と言う、私の言い分に対して反論する意思を感じさせる目で睨んできていましたが、先ほどの愚痴を聞いていたご主人様は私に対して文句を言う事はあまりしたくない様です。
「いっそ死んじゃったほうが楽なのです」とか言ったので、そりゃそうなるのです。……ならないのなら本気で死んだ方が確実に楽なので、本気で自殺していたのです。
「ほ、本当に大丈夫なのですか? いつもなら「なんでそんな確信をもって言ってんのさ」とかって言ってくるのに」
私がそんないつも通りの事をしないご主人様に対して、自然とまたまた体を出しながら質問してみると、全身から汗が流れ落ちていました。……い、いくら何でも焦りすぎではないのですか? 少し可哀そうになって来るのですが。
「ご、ご主人様、本気で大丈夫ですか? 汗が酷い量出ていますよ?」
いつの間にかご主人様は冷や汗により、下着が透けて見えてしまう位に本当に異常なほどの汗をかいており、いくら何でも焦っているだけでここまで汗をかくとは思えません。
「ご、ごめんなさい! さっきの愚痴は半分嘘なのです!!」
流石に、どんどんと汗が滴っていき、下手したら死んでしまう位の汗の量で、私は先ほどの愚痴を撤回し、ご主人様の気を確かにさせるために落ち着かせ、水を飲ませたのですが、一向に汗が止まる事は無く、心配になってきました。
「――『上位治癒』!」
回復魔法をかけたのですが、ご主人様の汗は全く収まらず、普通に苦しそうな表情をしていたため、本気で心配になってきました。
「くふふっ、マリネ、私に嘘で勝とうと思ったら大間違いなんだよ!」
そして、回復魔法を何度も何度も使用していると、いつの間にか汗が止み、通常状態へと戻ったご主人様に抱き着かれ、その言葉を耳元で囁くように言われて、ようやく私自身がご主人様を振り回していたのではなく、いつも通り、私がご主人様に振り回されていたのだと気付きました。
しかしながら、私は、先ほどの尋常ではない量の汗が流れていたことに対して嘘とは思えない位の苦しいそうな表情をしていたため、少しだけ理解に時間が掛かってしまいました。
「ふぇ?」
そして、理解すると、ご主人様は凄く、今年一番と言っても過言ではない位の満面な笑みをしながら、私の頬をつついてきました。
「ねえねえねえ、私をはめようとして嵌められた気持ちはどうかな? ねえねえ、今どんな気持ち?」
「……」
そして、実は全く持って危険な状態ではなく、私がご主人様を弄ろうと思いご主人様の事をはめようと思い、実行しようと思い、行動した結果、私は無様にご主人様のカウンターを食らい、ご主人様は満面な笑みをしながら自慢げに「ねえ? どんな気持ちなのかな?」と言う風な事を言い続け、私は黙りながら睨むこと以外の行動は出来ませんでした。
だるいのですぅぅぅ!!!
……か、書くことがないのですぅぅぅ!!!




