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職業不定賢者と人形メイドの日常  作者: lime
女性との出会い
10/16

九仕事目

 学校が始まっちまったよぉぉ!!

 最悪だぜぇ!!!



 そうして、ラインハルトが安らかな表情をしながら眠っている。それに足して催眠魔法をかけたことにより五、六時間は起きることが無いだろうと判断(魔法により決定)したために、私は先にお屋敷へと帰ってきていました。


 どうやらご主人様もどこかへと出かけている様で、お屋敷には、リビングにはだれ一人といません。……もしかしたら地下にあるご主人様以外立ち入り禁止の部屋でまた魔法の実験をしているのかもしれませんが、流石にそこまでは面倒見きれないのです。

 別に、過去にとんでもないことをやっているという事実を確認したときには厳しく説教し、二年の断食にさせたので、絶対にないと思います。……もしまたやった場合には私との五年間の接触禁止と言っているので多分大丈夫だと思うのです。思いたいのです。


 勿論、ご主人様が何処かへとほつき歩いているという可能性もあるのです。あるのですが、別にご主人様が行くようなところが近場には冒険者組合程度しかありません。それに冒険者組合に行ったとしても、受付の人が依頼を受けさせるわけがないのです。

 ……ご主人様の素行の悪さは冒険者組合にも知られてしまっているので、随伴している人が居ない限りは依頼を受けさせないと言う事になっています。まあ例外を除き常時の内はと言う事なのです。


 なのでほかに行くところと言えば、魔導書や古本を買いに古本屋へ行っているか、もしくは私の後ろを付けているかのどちらかになっています。

 別にご主人様が誘拐されたと言う事も考えられますが、そんな事をしたら逆にさらった方御人たちが可哀そうになる結果になるのです。以前一度会ったのですが、わざと誘拐しているグループのアジトまでさらわれた後、アジトの金品を奪取したのち焼き払い、そして帰ってきました。それ位外道な人なのです。


「まあ、こういう時間は最近は全く取れていなかったので良いですね。人形の整備もしていませんでしたし、いい機会ですね『召喚(サモン)魔導傀儡人形マジック・マリオネット』」


 魔導傀儡人形マジック・マリオネット。それは私が持つ唯一の得意な魔法と言っても過言ではないものなのです。……私の戦闘方法はこれを使った縮小版戦略を利用して戦う方法です。なので手入れは欠かせないのですが、最近は例の二人で手入れがで出来ず少し汚れてしまっているのです。

 実際、人形自体は九百以上持っている為、毎日三体近くを一年かんかくでせいびしていればもんだいがないのですが整備できないせいで、性能が悪くなっているのです。


「……別にご主人様に言えばやめてくれると思うのですが、毎回何故か少女趣味と思われてしまうのでイラつくのです」


 別に私は人形は好きなのですが、別におままごととか着せ替えごっことかをしている訳ではないのです。着せ替えもするにはするのですが、戦闘利用に支障のない範囲でしかやっていないのです。それなのにご主人様はまるで、私が幼い少女の様に人形遊びをしているように私の事を笑ってくるのです。


 何度九百の人形を同時起動し、完膚なきまでに陥れようとする作戦を立案したかは数えきれない位有るのです。私の作戦立案能力は普通に高いのです。実際にあのご主人様に対して人形百体を犠牲に、殺せるくらい追い込んだことだって二度くらいあるのです。


「と言うか普通幼い少女が好むのはドールであって、私が使うマリオネット等のパペットを好むことはまずないと思うのです」


 マリオネットは糸等で操る人形の事を指しており、幼い少女は抱きしめたり玩具としてドールを好きになるのであって、人形劇を見て「うわぁ!? 何あれ! すごい!」とは思うかもしれませんが、「すっごくかわいい! あれで着せ替えとかおままごととかしたら可愛いんだろうなぁ!」とは絶対に思わないはずです。


「と言うかそんな幼女、居たら怖いのです」


 そんな事をして想像したことは、人形を幼い時から操ったりしているすさまじく狂気に染まった少女と言うイメージなのです。……そ、そう言えば私だって幼い時からマリオネットを弄っていましたが狂気に染まっている訳ではないのです。

 人形を狂愛している訳でもありません。


「はぁ、なんだかご主人様の事を考えていると疲れてきますね」


 本当に、疲れてしまうと言う事とは違うのですが、何故かやるせないというか、脱力すると言うか、何も考えたくなくなると言うか、訂正する気すら起きないと言うか、とりあえずは精神的には怠くなります。無意識に諦めてしまっているという証拠なのかもしれないのですが。

 そんな風に一人ご主人様を愚痴っていると背後からガタッと言う様な音が聞こえ、そして更に今までは全く感じなかった気配を感じたのです。……流石にラインハルトはまだ眠っているだろうと想定できるのでご主人様です。


「はぁ、なんでそう言えば私はご主人様に使えているのでしょうか」


 しかしながら、私はご主人様に対しての愚痴を言う事をやめることはしないのです。理由としては簡単、本気の愚痴を言わないと気が済まないのと、それに気配を感じた後もそこから動こうとはしていないので、どうせ盗み聞きをする魂胆なのでしょう。

 そうするのならこちらにだって、手はあるのです。別に以前私はご主人様に対して、プライバシーの侵害をした場合には、罰を与えると言ってあるので、こちらに大義名分はあるのです。

 つまり今はご主人様の目の前で合法的に愚痴を言い散らかせるという機会なのです! それに、愚痴を言って自らが姿を現す結果になれば尚良い結果なのです!


「しかも、ラインハルトとご主人様は家事の手伝いを一切しない癖に口論には付き合わされて、そのせいでまともに自由時間もありません。殺したくなるのです」


 少し、殺気を込めつつ、今まで全く手を付けられていなかった人形たちの補修をしていながら本気の愚痴を発していると、背後から先ほどよりも早く鼓動が動いていることが分かりました。……潜伏などは私の方が得意なので、ご主人様を見分ける程度たやすいのですよ。


「はぁ、家出でもした方が良いんじゃないのですかね?」


 少しブラフとして言ってみましたが、どうやら普通にクリーンヒットしたようで、更に鼓動が早まっていました。……いくら何でも動揺し過ぎなのです。

 どれだけ私を家出させたくないのでしょうか。


「いくら制作者だとは言え、調子に乗りすぎなのです」


 それから二、三時間、ご主人様が自然を装いリビングに入ってきたまで、ご主人様のディスり続け、入ってきたご主人様は凄く泣きそうな表情をしながら、私の目に目線を合わせることなく、魔法で作り出した水を勢いよく飲んでいました。

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