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in the dark  作者: ニヒケソイ
4/10

闇に蠢く人の陰謀 その4

「そんなことがあったの....」

「ごめんなさい、カナンが涼夜を迎えに行くって言った時に私が止めておくべきでした」

「そうね、涼夜が私達に居場所を教える連絡なんてしたことないものね」


事の顛末を聞いた彼女は、深くため息をついて二人を見る。

その目にはいつものような暖かさは一切無く、ただ絶対零度の光が宿っていた。


「涼夜?私達の優先順位を言ってみなさい」

「1に自分、2に家族、3にその他です」

「よろしい、私が怒っている理由がわかりますね?」

「自分より相澤のおっさんを優先したせいで自分及びカナンに迷惑をかけたからです」

「そうです。いいですか?私はこの国、日本の国家元首ですが、いざという時は権力の全てを使い私達家族だけで安全な場所に引きこもる事も考えてます。私達にとっては自分が一番ですが、世界なんてものよりは家族の方が優先順位が上なんです。全く、貴方にライセンスをあげたのは人助けさせるためじゃないんですけどね」

「重々承知してます.....」


世界よりも家族、これは拾われた瞬間からこの家のルールだった。

俺は『エルドナード』に復讐をする為に『執行人』になる時、このルールを守れないようならだめだと言われたことを思い出す。

すでに三度目だ、このようなことを言われるのは、故に春香の怒りも最もである。


しかし、「はふー」と、気の抜けたようなため息と同時に春香の目はいつも通りに戻った。


「やっぱり子供を叱るっていうのは辛いですね。もういいですよ。私としては反省してるならいいんです。確かに何度もやるなら別ですけど、涼夜が『執行人』になってからはまだ三度しかこのような事態は起きていないわけですし、どれも仕方ない局面だったのでしょう」


春香がゆっくりと立ち上がると同時に二人も足を崩す、正座したからと言って足が痺れたりなどしないが、足の血が流れにくくなるのは本当なので、あまりしていたい体勢では無い。


二人で再び組手を始めようとすると、春香がふと思い出したように言ってきた。


「そういえば、貴方達暇と言ってましたが、明日から貴方達には学校に通ってもらいます」

「え?」

「は?」


思わず、驚愕の声を漏らす。今、この美しき母親は何といったのだ?


「いえ、流石に三度目はお咎め無しというわけにも行かないので、貴方達を学校に編入します。」

「「ええーーー!!!???」」


二人の絶叫が道場内に響いた。










8月、夏休みも終わり、残暑も厳しい中、東京のほぼど真ん中、現在、世界で4番目に安全な場所にある国立翔洋高校内はこんな時期にやってくる珍しい転校生の話題でもちきりだった。


「おい!聞いたかよ、転校生は男と女らしいぜ!」

「ヒュー!女子生徒は大歓迎だ!」

「可愛いといいなぁ」

「男子ね、イケメン......は流石に高望みしすぎかな?どこの漫画?って話よね」


例え世界が一度終わったとしても、人間に長年染み付いてきた性は変わらないらしい、男子生徒はまだみぬ女子生徒に期待を寄せ、女子生徒は少し冷めた表情で、推察する。


「おら、座れ。ホームルームやんぞ」

「うーっす」


やたらと筋肉質な先生が入ってきて、生徒に席に着くよう促すと全員が期待に目を輝かせながら座る。


「じゃあ、今日は朝からビッグニュースだ。何故か情報ダダ漏れだったが、転校生を紹介する」

「イエーー!」

「ヒュー!待ってました!」

「うるせえな.......まあ、いいや。入ってこい」


ガラリとドアの建て付けが悪いのか、うるさい音を鳴らしながら二人の生徒が入ってきた。


片や、肩まで遊ばせた銀髪を揺らす妖精の如き美少女。

片や、黒髪を軽く固め、高身長に服の上からでもわかる引き締まった体をした顔立ちの整った少年。


一瞬の沈黙の後、クラス内には歓声が爆発した。




(そっち先に喋れよ、姉貴でしょ?)

(同い年でしょうが、こういうのは男が先にでしょ!)


どちらが先に自己紹介をするのか、小声で喧嘩しているがクラス内の喧騒がでかいせいでバレる心配もない。

一度、先生が大声を出してクラス内を静かにする。

結局、姉貴に押し負けた俺からやることになった。


「えーと、岸浪涼夜です。..........よろしく」

「岸浪アリサです、宜しくお願いします」

「........それだけ?」


先生が少し期待外れだという風に聞いてくる。流石に入学初日にユーモアキャラを決め込む勇気は二人にはない為、簡潔な自己紹介にしたが、どうやら先生にはお気に召さなかったらしい。


「まあ、いいや。じゃあお前らの席はそこな」


指を指して示された位置は窓際の席、涼夜とアリサで隣同士だ。

軽く返事をしてから席へと向かう。

周りの視線が痛いほどに集中してるのがわかる。あまりこういうのは好きでは無い二人だが、それを口に出すほど幼いわけでも無い。

席に着くと、教壇の先生からパン、と乾いた音が鳴った。


「じゃ、適当に定時連絡だけしとくから後はお前らで勝手にやっててくれ。1時間目の先生に迷惑かけんなよ?」

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