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episode04

早朝に目が覚めた俺はそそくさと出発の準備を始めた。

こんな早くに起こすのは申し訳ないがリュクも道連れだ。

すまんな、今日だけ我慢してくれ。


現在の時刻は3:00

これから準備を済ませて一時間後に出発したとしても隣の国へ到着するのは9:00頃・・

着いてすぐアレンさんのこと見つけられればいいんだけどそうもいかない場合もある。

が、遅くても12:00を回るくらいには合流したい。

とりあえず腹が減ったから飯が食いたいんだがいつも朝飯を作るやつらは当然ながら夢の中だ。

やむを得ん、1食くらい我慢するか。

そういえば、よくわからないのだが手紙のやりとりを迅速に行うためにと封筒ひとつ通るくらいの空間がその国に一か所ずつ設けられているらしい。

その空間は魔法で作ってあるらしいが、それを人が通れる大きさにまで広げることはできないのだろうか?

ちなみにその空間は日本でいう郵便局のような建物の中にあるだとか。

まあいい。


そうこうしている間に出発の時刻が来た。

正直俺がここを去るうえで最も不安なのは、本当に鬼霊軍が1か月に1度の定期的な頻度で攻めてくるのかというところだ。

今までそうだったからといって相手がそこまで良心的だとも思えない。

今月はもう大丈夫だと油断しているところを攻めてくる可能性だって0%ではない。

これまでの攻撃で精霊王国は膨大な被害を受けている。


これ以上国民に被害があっては王国そのものが存続の危機に直面することになるだろう。

・・みんなは無事でいられるだろうか?

そんな不安を抱えながらの出発であったため俺の顔にはそれが表れていたようで、


「勇者様大丈夫ですか?顔色がよろしくないようですが・・・」


とシャルが心配そうに顔を覗き込んでいた。

不安に思っていたことを正直に話すとシャルが、みんなは私が必ずお守りします。

勇者様は心配なさらず強くなって私たちの国を救ってください。と背中を後押ししてくれた。


シャルも大丈夫なんて言いきれるわけないのだろうが、

精一杯俺を前進させるためにかけてくれた言葉なのだろう。

不安がっていつまでもここに留まったところでなにかできるわけじゃない。

俺が今するべきことは自分の力を十分に使いこなせるようになって帰ってくることだ。

魔術を使えるようにならないことには事態は変わらない。


「よし、リュク頼む。」


精霊王国の国民全員が俺を見送ってくれる。なんだかくすぐったいな。

リュクの背中に乗せてもらい、俺は精霊王国をあとにした。


おお、空を飛ぶってこういう感覚なのか。

あ、いや俺自体が羽生やしてとんでるわけじゃないからこれはまた違う感覚なのかな。

でも俺って案外高いところ大丈夫だったんだなー

友達と遊びに行くようなキャラでもないし、学校の日以外は基本家でごろごろしている俺は

遊園地などに行く機会もなく高いところというのがイマイチわからなかった。

わざわざ自分が高所恐怖症なのかを確かめようとも思わないしな(笑)

しかしほんとに風が心地いい。


「なあリュク。

俺、みんなを救えるかな。

こんな弱虫でステータスが底辺の中の底辺の俺に、国なんて大きなものを救うことが。」


生きてきた中で人のためになることはすべて良かれと思ってやってきた。

それもあって、俺は友達や親戚から琉翔くんは本当にいい子だね~とよいしょされてきた。

自分自身人のためになることをするのは好きだったし、なにより人の笑顔が好きだ。

なんでも笑っていたらどうにかなるって思っていたし実際これまでどうにかなってきた。

しかし今の俺はこれまでにない不安に駆られ笑顔なんて作っている余裕はなかった。

国の勇者とされる者がこんなだとみんな不安になるよなぁ。駄目だな俺。


「がうがう」


よくわからないけど、リュクがお前なら大丈夫だって言ってくれた気がしてほっこりしていた。

その時、リュクのたてがみから犬・・・?のようなものが顔をのぞかせた。

・・は?


「へ!?なに!?ちょま、落ちる落ちる!!」


いや。ビビるだろ誰だお前。かわいいけど。かわいいけど誰だ。


「やっと僕に気づいたか。

お前が異世界へ移動する途中から服のポケットのなかにいたんだが、

寒くなってリュクのたてがみに隠れてたんだ。

ステータスストーンとか言ったか?

あんなの使わなくても僕はお前のことはなんでもわかる。

スキルの中に”A servant of God”というのがあっただろ?

あれは俺を呼び出すためのものだ。僕のことは神様とでも呼ぶか?」


かわいいって思ったけど俺のことお前っていうしなんか上から目線だし生意気だし

こいつに俺のこと知られてるとかやだ・・・しかももっとかっこいいスキルだと思ったのに・・・


「嫌な顔したな?俺が神の使いだということを忘れるな?」


ひぃ・・・脅してくるよぉ・・・。


「まあそういうことだ。

お前に1つだけ良いこと教えてやろう。

お前のスキルはかなり強いものばかりだ。

今はまだ全くコントロールができていないから信じられないだろうが、

鬼霊軍だったか、あれと戦う分には正直1人で事足りる。

よかったな恵まれてて。だからこそ勇者に選ばれたんだろうけど。」


は?まじで?

やば、俺がそんなチート級の強さ持ってるとか興奮する。


「自惚れるなよ。

メリットにデメリットは付き物だ。

だからといって僕がデメリットを知っているわけじゃない、

だが万が一のことを想定して動いたほうがいいぞ。

魔術を使う上で僕が言いたいのは、必ず力に支配しても支配はされるなということだ

あ、僕のことはアルと呼んでくれ。」


支配はされるな・・?

よくわからないけど、俺には魔術を支配する意思があるが魔術そのものに意思があるわけがない。

力に支配なんてされるわけないだろう。



この時の俺はまだアルの言ったことを全く理解していなかった。

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