彼らが『UBC(そこ)』を選んだ日
初投稿作品です。
ほんとはもっと長く纏めてアップしようと思ってましたが…とにかく一回投稿してみよう!と思い投稿。
誤字脱字は優しく、こっそり教えてください。
ていうか、見てくれる人がいるのかしらとドキドキしながらの投稿です。
お話としては序盤も序盤、入部すらまだしていませんね、どうしたことか。完結…するのか…このペースで。と前書きから不安がいっぱいです。どうしようもないね!
とにかく、続けてかけるよう頑張りたいと思います。
創立80年を超える市立高校「市立夕刻高等学校」。耐震工事のみ後から付け足した古く広い校舎は使い勝手が良くないため生徒から時々文句が出る。しかしそれ以外は特に特徴がないありふれた学校である。少しやんちゃな生徒もいれば、ギャルもいる、真面目な生徒も、オタクもいる。偏差値もそこそこの、『どこにでもあるような』高校なのである。…けれど、はるか昔からこの国はそんな『日常』の中に溶け込む様に『非日常』があった。この高校でも、ひっそりと『非日常』が巡っている。奇縁によってそちら側を覗き見た少年、少女たちを巻き込んで。ゆるゆると…時に淀み、時に消えかけながらも非日常は繰り返されていくのだ。
時は春、土地柄まだ雪が残り肌寒い入学式から数日が経過したその日、真新しい制服に身を包んだ新入生は古い体育館に集まり前方のステージに注目していた。部活動勧誘会の真っ最中、希望を出した部が持ち時間5分以内という制限の中精一杯のアピールを行っている。部活入部必須というルールをこの高校は創立以来掲げているらしい。
熱心に話を聞く者、うとうととあからさまに眠る者、隣の人と笑いあう者、様々に勧誘会を楽しむ新入生の中で、江尾 旦は全部活の紹介が乗っている分厚い勧誘会のパンフレットを最初から最後まで読み終えパタリと閉じた。この後はステージ発表を希望していない部も含めて体育館の壁際に割り当てられたブースに分かれ、気になる部へ入部申請をしたり詳しく話を聞きに行ったりする時間が一時間程設けられているらしい。
このパンフレットがあるなら最初からブースに行って話を聞くだけで十分じゃないだろうかと思えるが、どれだけの生徒がしっかりこれを読むのかはわからないし、どんな部に入るかを漠然と考えている生徒に対し少しでも興味を持ってくれる機会を増やそうってことなのかもしれない。流石、熱心なことだ。
「眠いの?興味ある部活は無かった?」
まだまだ続きそうなステージ発表に欠伸を噛み殺しのんびりと思考していれば、不意に穏やかな声がかけられた。最初に並んだ時は全く別の場所にいたはずの昔からの友人、愛生 満智、通称マチがなぜか隣に居ていつも通り爽やかに笑みを浮かべている。
「ん…一つな。紹介はまだされてないな。もしかしたらステージ発表はしないのかもしれない。ところで…そこにいたやつはどこ行った?」
「へぇ?どこ?紹介無しってことは文系?…あぁ、さっきトイレ休憩が合った時に友達と話したいんだってお願いしたら交換してくれたんだよ。旦は、配られたソレに夢中で休憩にも気づいてなかったみたいだけど。」
閉じたパンフレットを興味深そうにのぞき込みながら何かに集中すると周りの状況に疎くなる昔からの悪癖をからかってくる。いつものことだ。しかし…相変わらず気後れせず誰にでも話しかける奴だ。こいつは素で友達100人とかすぐ作りそうだな。
「それはすまん。気になるのは…あぁ、ちょうど今から紹介があるみたいだぞ」
此方もいつも通り心の全くこもっていない謝罪を口にしてから最も気になっている部活を示そうとした時、ステージ横のスクリーンに映っていたスライドが切り替わった。『UBC』。一見すると何部か全くわからない。
ステージの上には茶髪の少しギャルっぽい、そして雰囲気だけでも気の強さが十分に伺える女子生徒が一人でマイクを持って立っていた。
「初めまして。夕刻高校放送部、通称UBCの部長の曽達 美音子です。」彼女は、雰囲気通り力強く張りがあり、けれど見た目を裏切って大人の落ち着きさえ感じるような高すぎず早すぎない『人に聞かせるための声』で話し始めた。
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。部活の活動内容についてはパンフレットをご覧ください。この後のブース別入部受付ですが人手の関係で無人です。お手数ですが、興味のある方は放課後、部室までお越しください。最後に、本日、また今後もインタビューやアンケート等を度々皆さんにお願いすることがあると思います。夕刻高校の生徒としてぜひ快いご協力お願いします。では、この後も勧誘会をお楽しみください。」
淡々とそれこそニュースを読み上げるアナウンサーのように述べた後、最後に一度小さく笑みを浮かべた彼女は見本のような綺麗な角度で一礼しステージ横へと消えていった。各部活に当てられた時間は5分だが、彼女は3分も壇上に居なかったのではないだろうか。
「へー…意外。こんな活動量多そうな部活に入りたがるなんて。何が決め手?」
次に始まった紹介を聞き流しながら思っていれば面白がるような声が届く。見れば声そのままに面白そうな、好奇心丸出しの笑顔を浮かべたマチがUBCのページを開いていた。
『活動内容:年間行事の撮影、音響整備、毎月のテレビ朝礼で流す番組の撮影・編集、年二回の大会への作品出品、その他学校内雑務等。※入部した場合、年間行事はほぼ部活動に費やされます。クラスの活動にはほぼ参加できません。例:クラスごとの集合写真に映れない、修学旅行でクラスの友達と行動できない等
その為、教室での思い出が欲しい方への入部はお勧めできません。部室:一階南階段手前』
イラストも何もない毎年使い回していそうなそのページをもう一度読みながら小さく笑う。確かに、中学ではほぼ帰宅部だったし面倒事が苦手な俺の性格からこの部活は意外かもしれない。
「ほんとは部活なんて入りたくなかったけどな。まぁ逆転の発想だよ。見学してみて想像通りだったらその時決め手も話す。マチも行くだろ?」
「仕方ないなー…もう。」
へらっとゆるく笑いながらさも当然、というように誘った俺に対しマチは少し苦笑した後にやっぱり好奇心を隠し切れない瞳を細めて確かに頷いた。
ちょっと真面目な話
私はもう少女なんて歳はとうに過ぎてしまいましたが、一番本を読み、そして様々な影響を受けたのは少女と呼ばれる時代でした。そして多感な時代に、多面的な考えに触れさせてくれたの児童小説でした。
今も児童小説が大好きです。わかりやすい文章で簡単な言葉だからこそ、心に深くしみ込んでくるものがあると思います。同じ理由で絵本も好きです。
だからこの作品のコンセプトはさくっと読める、けれど心に響く作品、です。
…ハードルあげちゃったな。まぁ、生暖かい目で行く末を見守っていてください。