連載作品のユニークアクセス数÷ブックマーク件数が60~100前後ならトップクラス評価
小説家になろうの評価システムは、閲覧者数に比例して数字が伸びるシステムになっている。
ブックマークにせよ、評価点にせよ、閲覧者数が少ない事には、その数はほとんど増えない。
これによって、閲覧者数の少ない作品の評価点は、ランキング作品などと比べて非常に寂しいことになっている。
何しろ、ランキング作品と埋没作品とでは、閲覧者の絶対数が軽く3~5桁ぐらい違うのだ。
当然、ブックマークの件数・評価点・総合評価も3~5桁は違ってくることになる。
だが、読者が少ない作品の作者でも、「読んでくれた人が」作品をどの程度評価してくれているのかは、気になるところだと思う。
そこで今回は、その指針となる一つの基準を提示してみたいと思う。
以下に書くことは、人によっては残酷な数字になるかもしれないので、そのあたりは心構えをした上で、お読みいただきたい。
さて、まずは以下の画像を見てほしい。
これは、現在連載中小説のうち、総文字数20000~30000文字、現在の進度が第10部分であった作品を100作品ほど無作為に(おまかせ順で最初から100作品)抽出して、そのPV数とブックマーク数との比較をグラフにしたものである。
横軸がPV数、縦軸がブックマーク数だ。
(今思えばPV数よりもユニークアクセス数を採取するべきだったと思うが、手作業で2~3時間かかる作業をもう一度やりたくはないので、そのあたりはご容赦願いたい)
ここで注目したいのは、PV数いくつについて、ブックマーク1件がついているか、という値である。
この値は、[PV数÷ブックマーク数]という式で計算することができる。
そして、この計算結果の値が小さければ小さいほど、その作品を読んだ人の多くが、その作品の先を読みたいと思ってブックマークを付けたことを意味していると判断できる。
グラフ上では、基準点(0,0)からその点までの直線を引いたときの角度がそれにあたり、この角度が急であるほどブックマークされやすい(=多くの読者から面白いと判断された)作品であることを意味する。
今回抽出した中でこの結果が最も良かった作品は、PV数464423、ブックマーク数2572の作品で、PV数÷ブックマーク数≒181という値になった。
2位は、PV数6784、ブックマーク数36、PV÷ブックマーク≒188。
上位10%(10位)前後の作品は、この値がだいたい300~350程度の値になった。
中央部分である50位前後の作品は1100~1200程度。
一方で、100作品中、下位22作品はすべてブックマーク数0という結果であった。
さて、今回抽出した総文字数20000~30000文字、話数10話という作品であれば、ここまでの数字でだいたいの雰囲気がつかめると思う。
PV数÷ブックマーク数が200~300前後ぐらいであればトップクラスに優秀。
1000前後、あるいはそれを上回るようだと平凡な評価であると判断できる。
ただこれでは、それ以外の作品の指標にならない。
例えば、20話まで書かれた作品に対して同じ基準で数字をはじき出したら、おかしなことになるだろう。
同じぐらい面白い10話までの作品と20話までの作品とに、それぞれ1000人の読者がアクセスしたら、前者のPV数は3000ぐらい、後者のPV数は5000ぐらいになるかもしれない。
後者の方が、アクセスするページの数が多いからだ。
すると、この1000人の読者のうち10人の読者が、この作品の先を読みたいと思ってブックマークを付けたとしても、前者であればPV÷ブックマーク=300、後者であれば500と、異なった数字が出てしまう。
この基準を用いる限り、話数の多い作品の方が、一般に不利になってしまうのである。
したがって、どちらかと言えば、PV数よりもユニークアクセスの数を基準にすべきである。
ユニークアクセス=読者数ではないが、それでも、実際の読者数により近い数字であると考えられるからだ。
今回抽出した第10部分までの作品は、全般的に見れば、PV=ユニークアクセス×3ぐらいの作品が多かった。
PV数が3000なら、ユニークアクセスは1000という塩梅だ。2日の差は、大した影響がないものと仮定する。
(なお、傾向としては評価の高い作品ほどユニークに対するPV数の倍率は高く、最高クラスの評価の作品は3.5~4倍程度、評価の低い作品は2倍を下回るものも見受けられた。……このあたりは実データで提示できなくて申し訳ない)
ここから、ユニークアクセス数÷ブックマーク数が60~100前後であればトップクラスの評価。
この値が300~400くらいであれば平凡な評価。
それよりも大幅に大きな数字になるようであれば、読んだ人からあまり評価されていない作品であると判断できると思う。
ちなみに以下に、先のグラフからPV数12万以上の作品を取り除いた、団子になっている部分を拡大したグラフをおまけで載せておくので、よければ参考にしてほしい。
以下、ユニークアクセス÷ブックマークの基準がうまく働かないケースについて。
ユニークアクセスにも弱点があって、総文字数が多くなって「一気読みがしづらい」分量の作品になってくると、実際の読者数と大幅に掛け離れてくるという問題がある。
例えば、『無職転生』のユニークアクセス数は1700万を超えている。
これに対して、ブックマーク数は58000件強。
計算すると、ユニークアクセス数÷ブックマーク数は300程度になる。
ただ、だからといってこの作品の評価が平凡だというのは誤りだ。
何が原因でこうなっているかと言えば、作品の文章量がべらぼうに多いため、1人の読者が何日もかけて作品にアクセスしており、そのためにユニークアクセス数と読者数との剥離が大きくなっていることが原因と考えられる。
ユニークアクセスが1700万だからといって、1700万人近くも読者がいるわけじゃないのだ。
というか、なろうの登録者数が47万人のところ、58000件もブックマークがあるっていうことは、仮になろう登録者の全員がこの作品を読んでいたとしても、読者の8人に1人はブックマークを付けている計算になる。
そう考えると、ユニークアクセス÷ブックマーク=8。
いい感じに化け物である。
真のトップを目指すなら、このぐらいを狙わないといけないのかもしれない。
いずれにせよ、1日で「一気読みしづらい」作品分量になり、読者の大部分が2日以上かけて作品を読むようになると、ユニークアクセスを用いた基準も役に立たなくなってくるということである。
また、すでに大量のブックマークがついた作品も、1話更新ごとにユニークアクセスがブックマークに比例する数で加算されるであろうから、これまた無視できない誤差になってくる。
したがって、先のユニークアクセス÷ブックマーク数でそれなりに適切に判断できるのは、ブックマーク数が多すぎず、かつ作品分量があまり多くない作品に限られると考えるべきだろう。
とりあえずそんな感じで。
この分析が、皆様の活動の一助になれば幸いです。
ではでは。
(2014/09/26追記)
無職転生のユニークアクセス÷ブックマーク=8とか言っていますが、これは全然よくない言い回しですね。
作品ユニークアクセスと実読者数は、「一気読みしづらい分量」でなくても、かなり大きな隔たりが出るようです。
拙作連載小説の数字なんですが、毎日の話別ユニークアクセスを積み上げで足してみました。
左から第1部分、第2部分、第3部分、……の話別ユニークアクセス。
上から、連載開始1日目、2日目、3日目、……の数字になっていて、最後が今日までの数字の合計です。
43 42
10 10
30 29 50
17 19 27 52
27 26 29 39 77
3 3 5 8 9
21 22 27 24 30 68
29 28 28 31 29 46 89
10 8 9 10 9 12 20
8 7 8 8 8 8 11
5 5 5 6 6 5 6
21 21 20 21 26 27 40 88
6 6 6 6 6 6 7 24
27 25 22 21 21 20 24 32 113
257 251 236 226 221 192 197 144 113 作品ユニークアクセス981 PV4031
第1部分の累計アクセス数が、作品を読み始めてくれた実際の読者数とほぼ一致するかと思うのですが、これと作品ユニークアクセスとの間には、4倍近い隔たりがあります。
実際の読者数を判別する指標としては、第1部分の話別ユニークアクセスを用いるのが、一番妥当なのかなと思います。