四月一日、嘘つき日和。
四月一日の、4時1分ちょうど。このタイミングでワンダーにログインすると、ゲームの中にトリップできるんだって。
ねぇ、知ってた?
そんなメールが友人から届いたのは、確か日付が変わってすぐの事だった。もちろん本気にしたりするはずもなく、今年も四月馬鹿の日かと思っただけ。
私は友人にどんな嘘をつこうかと考え――閃いた。
「んふ、んふふふふっ♪」
我ながら不気味な笑い声である。
だが、しかし! 深夜の妙なテンションのせいもあってか、妙案が思いついた私には気にもならない。
「そうと決まれば……準備しなきゃね」
スマートフォンをベッドの上に放り投げると、先日完成したばかりの衣裳に視線を向けにやりと笑う。
そこにあるのは、見本にと私兼友人のサイズで作った、件のゲーム――ワンダー×ワンダーの、デモ衣裳。オープニングムービー内で、魔法使いの巨乳童顔娘が着ているものである。でもって、私がワンダー内で使用するキャラクターが着ているものでもある。
なんということでしょう!
オタクでゲーマーではあるもののレイヤーではない私だが、手先は器用で自分で服を作っちゃう趣味人だった。そんな私と、オタクで腐女子でレイヤーな友人の出会い――はさておいて、良き心友となるのは必然だった。なんというか、魂の双子的なものかと思うくらいには気があった。体格も胸を除いてほぼ一緒。
てな訳で、私は巨乳童顔娘の衣裳を、友人のために作ってたのである。そしてそれは、つい2時間程前に完成したばかり。
友人にはまだ言ってない。
意気揚々とその衣裳を胸のところを誤魔化しつつ着込み、困惑した表情で写真をパチリ。
そのままパソコンに移動し取り込み、背景を切り取り――ワンダー内にありそうな風景だと衝動的にダウンロードしていた写真に合成。
「完璧♪」
ちょいちょいと手を加えたそれは、まさに「ゲームの中にトリップして困惑する私」の図、だった。
そうこうしている内に、時間はもう4時数分前。
気分が高揚してるのか全く眠くなく、4時1分ちょうどに届くようにメーラーをセットして、ワンダーでもしちゃおうと専用ブラウザを立ち上げた。
……訳なんだけど、
「どうして、なんで、本当にゲーム内にトリップなんてしちゃってる訳!?」
友人に送った写真そのものの光景に、私は思わず絶叫した。
続きません。