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㊙抹消された孤児たちの部隊  作者: 飛守 ツヨシ
立ち上がるマエストロ
11/16

第九話 抹消された孤児たちの部隊 1955.12

「クソッ。俺たちゃ完全にはめられたってことかよ」

「コゼット大尉落ち着いて」

「これが落ち着いてられるかよ」

「……それでは皆さん集まりましたね。改めまして、私はレッド小隊隊長、エディ・ウィルソンです。まず状況を説明します。今朝おこなわれたミッション“スタンピア防衛作戦”についてです。……まことに残念ながら我々は正規軍により攻撃され撤退せざるを得ませんでした」



三時間前

 04:36 旧水道管

ファミリア准尉「あ、あれは正規の増援。これで挟み撃ちが――! あれ? 正規軍と敵兵が一緒にこっちに来ている!」

シャドゥール准尉「これは……罠だ。全員ここから逃げろ!」

ネイソン准尉「え? どういう事だよ」

ミャンレン准尉「馬鹿者! 逃げろという事は逃げるっていうことだ。とりあえず引き返して出口に向かわねばなるまい」

ネイソン准尉「って、正規軍も俺たちを攻撃し始めたじゃんかよ。どうして俺たちが攻撃されなきゃいけねぇんだ? ……そ、そうか、あいつらもともと敵だったってわけか」

ミャンレン准尉「気づくのが遅いわ」

ファミリア准尉「でもどうして……」

K.コーズ少尉「しゃべってる暇があるなら足を動かせ」



 04:40 レッド小隊配置戦域 北ゲート

レッド小隊A「エディ! 味方の……正規軍が俺たちを攻撃しだしたぞ。どういう事かグァッ…………」

ウィルソン少佐「! 何が起こっているのだ? 他はどうなってる? 他の通信も途絶え始めている……まずいな。全軍撤退。今すぐスタンピア近辺から脱出するのだ。これは味方軍による罠だ」



 04:54 オレンジ小隊配置戦域 南ゲート

オレンジ小隊A「あれ? どうして正規軍がこの戦域にグァッ…………」

オレンジ小隊隊長「!? どうした?」

オレンジ小隊B「隊長。正規軍と敵軍が一緒に攻撃を……グハッ…………」

オレンジ小隊隊長「おい。ぃったい何が? 他のたウッ…………」



「今から三時間ほど前。突然戦闘訓練科の全部隊がネールランド正規軍と敵軍により奇襲を受けました。正規軍から攻撃を受ける理由は不明です。この奇襲でオレンジ小隊、グリーン小隊、アクア小隊の壊滅が確認。レッド小隊、イエロー小隊のほとんどは殺されて生き残ってるものは少ない。またブルー小隊の隊長、ルーク・アンジール少佐の行方が分からなくなっている状況です。……それに対応して部隊の編成をし直しました。被害の少なかったパープル小隊、ピンク小隊はそのまま。被害の大きいレッド小隊、イエロー小隊はブルー小隊に編入とし、今後はブルー小隊、パープル小隊、ピンク小隊の三部隊編成でいく。またついには軍から見放されたという事で今後はこの三部隊を指揮する中隊の役割を誰かについてもらいのだが、ブルー小隊コゼット・クロウ大尉からアンジール少佐の推薦があった。だが彼は今行方が分からないため保留という事にします。その間は私がこの中隊の指揮をします。……ここまで質問は? よし、ではここからの動きを簡単に説明します。我々は現在セントピアから少し離れた比較的小さな都市に潜伏しています。挿絵(By みてみん)この後、ブルー小隊は行方が分からなくなっているアンジール少佐の行方を探し、発見でき次第追尾を開始します。またピンク小隊は正規軍の動きを常に見張っていてください。パープル小隊はその正規軍が攻撃した理由を調べてください。それでは解散とします……何か質問はありませんか?」

 エディが今までの経過と今後の確認をした。

「今更だけど、俺達ってネールランド軍とレプトピア軍の両方から狙われてるんだよな?」

 ジャックが自分たちの立場を確認した。

「その通りです。理由は不明ですが我々はネールランド軍より切り捨てられました。つまり我々は“抹消された孤児たちの部隊”というわけです。……他には?」

「あの。もしもルークが敵国内で確認できたら、我々は国境線を超えることができるのでしょうか?」

 クルガが心配そうに訊ねた。

「その件についてですが、結果から言いますと可能です。国から見放された我々は国に属してはいません。たとえ敵領土内に侵入しても国際問題にはならないでしょう。しかしその手はできるだけ控えるべきです。……それではこれでブリーフィングを終了します」


「申し訳ありません。ブルー小隊にルークの捜索を許可してくださって」

 ミラがエディのところに駆け寄った。

「いえ、彼は重要な戦力です。過去の戦歴についてもクロウ大尉からうかがっています。非常に優秀な指揮官ですね」

「どうしていつもルークばっかりなんだろ……。彼は今右足を負傷していておそらく抵抗できない状況にあると思うんです。いつも自分を犠牲にして……」

「存じております。そのために早急に彼の足取りを見つけなければなりません。では、失礼します」

 エディはそういうと足早にブリーフィングルームから出て行った。

「心配するなよ。俺たちで絶対あいつを助けてやるぞ」

「コゼット大尉……。はい、もちろんです」

 ミラに勇気がわいた。


 ―孤児たちの部隊は抹消された―


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