七話 銃痕の遺した答え
「アンジェラ……犯人は、誰なんだ」
ダニーはそんなスーマンに近付いて、肩に手を置いた。
無言で佇むスーマンに、ダニーは何も言えずに、黙々とスーマンを待つしかなかった。
「――そうか! 銃痕だ!」
スーマンはアンジェラの吹き飛ばされた腕の付け根付近を探し回る。
コンクリートの地面についた銃痕を見つけるには、そう時間もかからず、彼はダニーに細い端子を鑑識に借りてくる様に頼んだ。
ダニーは鑑識から端子を借りると、スーマンに手渡した。
「おい、スーマン! 銃弾見つけてどうすんだ?」
「銃弾があれば銃を大抵は特定できますよ。後はその銃を探せばいい」
「いや、その銃ってのはゴミ箱にあったよ」
スーマンの手が止まり、ダニーは溜め息を吐いた。
「さっきあそこのゴミ箱に捨てられていたモンが見つかったらしい。使い捨てとして使っていたみたいだな」
ダニーはビニール袋に入った銃を見せた。
スーマンは弾丸を取り出すと、その銃の銃口と重ねて確認した。
「……確かにそうみたいですね。指紋は残っているんでしょうか」
「それは鑑識に回してからだな」
そう言って、ダニーはビニール袋をスーマンに手渡した。
彼はビニール袋を受け取ると、弾丸をビニール袋に入れて口を閉じた。
彼は怒りを込めて、銃弾を睨みつけるが、暫くするとウォッキーがそれを渡す様に催促して、ウォッキーに渡す。
「――そうか。わかった」
ダニーは内線電話を切ると、スーマンに銃の指紋が判別したぞと声をかける。
パイプ椅子に腰掛けているスーマンは顔をあげて、誰のですか? と問う。
「それがだ。なんと、ルド=ハミルトンが殺された時、剣についていた指紋と同じだと判別されたらしい」
唖然とした様子で、彼は口をぽっかりと空けた。
暫くして、彼は本当、ですか? とダニーに問う。
ダニーは頷いた。
「じゃあ、之は――連続殺人だとでも?」
「その可能性が出てきた。全て偽装かもしれんがな」
ダニーはそう言って、訝しげな顔をした。
彼は立ち上がって、ドアを開ける。
「ですが謎も残っています。何故犯人はアンジェラを狙ったのか」
スーマンはそう言って、足早に部屋を飛び出た。
ダニーもスーマンを追いかける様に部屋を出た。
「ルカナーン姉弟は、ここで住んでいたんですから、食器から指紋が出る筈です」
そう言って、スーマンはあの最初の殺人があった部屋の机にあるコップをビニール袋に放り込んで、もう一つ大きなに薪を入れていた木箱を入れた。
「そのコップは誰かなりの指紋がついている筈です。そしてもう一つ、この箱はユランが運んだ物でしょう。か弱い姉に運ばせる訳にはいかないですからね。きっと自分で運んできたんですから指紋が判別できる筈です」
そう言って、スーマンはその二つをダニーに渡した。
鑑識に回してください、と彼は言うと、彼は再び部屋を飛び出た。
「ルナ=ハミルトンにプライベートで会ってきます!」
そう言い残して、彼は颯爽と走り去っていった。
ダニーは不満そうに、二つのビニール袋を持って、重々しく足を運んだ。