表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

三話 荒ぶるアンジェラ

 清楚な棚がいくつも並び、パソコン一式と電話一台が置かれたその部屋で、紅髪の彼女は苛立っていた。ダニーの闊歩する音が聞こえてくると、彼女は安全ピンで留められた書類を右手に持って、構えた。

 紅い髪の鑑識は、スーマン達が入ってくるなりいきなりダニーに書類を投げ渡し、出て行った。


「遅いわよ、バカ」


 スーマンはたじろぐような仕草をとると、ごめんと呟く。

 暫くして書類を見ているダニーが、スーマンににやりと笑いながら言った。


「お前の言う可能性もちょっとは上がったってもんだ」


 そう言われてスーマンもその書類の一頁を見た。

 男の名前は、ルド=ハミルトン。36歳。職業は小説家。三日前より〆切を守らず編集者が会いに行った所、行方を晦ましていた。娘のルナに電話で聞いた所、ルカナーン家とは全く関連性も無いという。

 文章書いたのウォッキーだな、とスーマンは呟くととりあえず疑問を考えてみた。


「どうしてルド=ハミルトンは全く縁も無いルカナーン家に行ったんでしょうか。今の調査段階では彼等が接触していた可能性はわかりませんけど……」

「どちらの可能性もあるな。他にも、ルドを殺す為の工作、とも考えられるんじゃないか? あの男の死体が暖炉の前においてあって死体は痛んでた。死後時差を隠す為とも考えられる」


 ダニーは書類を置くと、スーマンにその書類をじっくり見ておけと言って、ドアを開けた。


「ダニーさんは?」

「アンジェラの相手をしてくらぁ」


 と、ため息を吐きながらも外へ出て行く。

 暫くして、スーマンは書類を手に取ると、気怠そうな眼差しで書類を読み直す事にした。


「――13人の儀式だね?」


 と、茶髪の青年は木陰にいる金色の瞳を持つ青年に問う。

 茶髪の青年は近くにあったベンチに腰掛けると、眠たそうに欠伸をした。


「13人の儀式は、13人、過剰とも言える歪んだコンプレックスを持つ者を殺す事で、愛する者を蘇生する儀式と聞いた事がある。お前なら知っているんだろう、トム」


 金瞳の青年はトムと呼ばれた青年を睨む。

 トムは軽くあぁ、と答えて、続けて説明した。


「13人の儀式は、過剰なコンプレックスを持つ者を一人殺してから、普通の人を殺さずに13人死ねばいい儀式だね。君はもう一人目を殺してしまっているから始まっているんだろう。この儀式は君の人生で一度しかできないし、覚悟がなければならない。そして13人を超える数を死なせてはいけない。これが条件だよ。払う代償の覚悟をしておいてね」


 にっこりとトムは笑うと、金瞳の青年にオルゴールを投げ渡した。

 餞別だよ、と言って、彼は笑った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ