表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/14

二話 街角のベンチにて

 茜色に染まった街角のベンチで座っているスーマンに、ダニーはホットドッグをひとつ手渡した。

 ホットドッグにがぶり付きながら、ダニーは言った。


「ほふ……お前の推理はあり得るが、刑事はあらゆる可能性を探る必要性があんだ。最初にその推理で第一印象をキメちまったら、疑う奴も疑えないって事だ。わかったか?」

「つまり、確証のない推理はやめろって事ですね」

「そうだ。スーマン。新人はなんだかんだでよく目が利いてくれていいが、推理は早とちりすんじゃねえぞ」


 ほくほくとしているホットドッグにスーマンはがぶりつくと、頷いた。


「けれどダニーさん。ユランかリリア、どっちかが生きている可能性は高いと思いますよ」

「話を聞いてなかったのか? それも可能性のひとつでしかないつってんだ」


 ダニーはそう言って、スーマンの頭を小突いた。


「とりあえず、アンジェラがそろそろ指紋鑑定まで済ませているだろうよ」


 その言葉にスーマンはえっと驚きの声をあげる。


「もうそこまでできてるんですかっ!? まだ半日しか経ってませんよ」


 まあ、アンジェラなら有り得るか、と、彼は再びホットドッグにがぶりついたその時。


「兄さん、オルゴールはどうだい?」


 と、ベンチの裏から茶髪の青年は手乗りサイズの小さな宝箱を開けて鳴らしてみせた。


「フン、そんなちゃっちいモンはいら――」


 ダニーのあしらう様な声を外に、スーマンは凄いな、とオルゴールを覗き込んだ。


「これ、君が作ったのかい? よくできてるよ」


 やや興奮気味に、スーマンはオルゴールを手に取った。

 おい、とダニーは呆れた様に声をかけるが、スーマンはオルゴールのピンを事細かに触れていっている。


「こんな小さな箱に21本ものピンが入ってるなんて、凄いなあ。いくらだい?」

「御代はいらないよ。あんたが興味を持ってくれたならそれはもう御代は戴いているのさ」


 茶髪の青年は茶色の瞳を輝かせて、笑ってみせた。

 スーマンはオルゴールの底を見る。

 オルゴールの底にはこう書かれていた。

 『12進数 13は?』と。


「チャーリーが僕を呼んでいるから、僕はこれで失礼するよ」


 青年が颯爽と走り去る中、スーマンは後頭部に鈍い痛みを感じた。


「スーマン! さっさと行くぞ!」


 ダニーの拳骨がスーマンの後頭部に飛んできた事を理解すると、スーマンははい、と言って苛立って歩いているダニーにそそくさと付いて行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ