プロローグ
とある事情より書く事になった小説です。
恐らく誤字・脱字があります。
そして私の文章力はかなり低いです。
実に低いです。愚かしい程に低いです。多分。
そこをあえて胸に留めて、どうぞ楽しんで読んで頂けると私は喜びます。
ぽとり、ぽとり。
血が滴る音。跳ねることも無く、只紅い雫が落ちていく。
木製椅子に座った娘の綺麗な手の中指より垂れるその血に、彼は極上の快感を感じていた。
「――嗚呼、何故に私は到ったのか、解せぬ、解せぬ――」
自らの白い髪を、滴る音を紛らわす様に彼は激しく掻いた。
彼の傍らには、銀装飾のされた、広刃の剣。
黒い服に紅は飛び散り、彼の服は所々酸化して濃い紅に染まっている。
「憎くて殺した訳ではない――」
娘の金色の髪が、美しすぎてしまっただけの事だ、と彼は続け様に呟いた。
彼女が安らかな顔で眠る中、彼は只剣を刺してしまっただけ。
右腕を貫き、心臓を貫いただけの事。
「嗚呼、美しい」
彼は自分の髪を掻く事を止めて、娘の頬を舐めまわす。
芸術品を見るようなその眼差しは、彼女を『女』として見ている訳ではない。
正にその眼は、『物』としか見ていないのだ。
有機物として視てはいない。只彼は、無機物として視ているだけなのだ。
服を引き剥がし、彼は彼女の肌を舐め回していく。
首を伝い、乳房。
乳房を伝い、上腹部。
上腹部より、下腹部。
四肢へ伝う、生温い唾液は彼女を身体をしゃぶり尽くすように――。
音も無く近寄る金色の瞳を持つ青年は、男の持っていた剣を握り締め、白髪の男の心の臓を目掛け突き刺した。
娘の金色の髪に、男の血が飛び散らない様に、静かに、確実に。
「そうさ。君の言う通り、彼女は美しい。全てを知らぬ故に、美しい。けれど、君は醜い」
男を娘から引き離して、暖炉の前まで引き摺ると、青年は剣を抜いて、男の左腕に突き刺した。
左腕はびくん、と神経の反応から跳ねると、やがてどくどくと血が男の身体から溢れる。
「穢れた手で彼女に触れるなっ!」
青年はまた剣を抜いて、男の開いた口へと突き刺した。
頬は裂け、彼の顎はだらりと剥がれ落ちていく。
「穢れた舌で、彼女に舐めるなっ!」
青年はさらに剣を引き抜いて、男の両目を潰す様に突き刺す。
眼球がぐじゅりと内容し切れずに溢れ出した。
彼は一層声を大きくして、言った。
「穢れた眼で、彼女を見るなぁっ!」
暖炉のぱちぱちという木が割れる音だけが、黙する世界を支配する。
暫くして彼は引き抜いた剣を暖炉の中へと放り投げると、娘に駆け寄って、抱き寄せた。
「嗚呼、リリア……あんな醜い男に穢されてしまうなんて……」
そう言って、青年は再び一層醜くなった男に寄って、足で男の顔を何度も、何度も踏みにじる。
「このっ、このっ! よくもリリアを穢したなぁっ! このっ、このっ! よくも僕の姉を、穢したなぁっ!」
ぐちゃ、ぐちゃ、と肉が四散する音が、繰り返し等間隔で鳴る。
最早それすら鳴る事も無く、顔は原型すらも留めていない状態になると、青年は漸く足を止めた。
金色の髪は汗に濡れながら、何度も何度も揺れた。
「リリア……僕が必ず、なんとかしてあげるからね」
そう言って、青年はリリアを抱き上げて、音もなく、その部屋を去った。