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第九章 帰還


アルバは久しぶりに公邸へ向かっていた。

その途中、いつもの大道芸広場――だが今日は一際、人だかりができている場所があった。

「さあ奥さん! その壺を、この“魔法の大壺”に入れてください!」

壺を入れる。

取り出す。

「――金の壺になったぁ!」

聴衆

「おおおお!」

「家庭にある壺や食器! 彫刻に至るまで!」

「すべて金に替えてみせましょう!」

相方

「よっ、さすが錬金術師!」

聴衆

「私も替えて!」「いや私が先よ!」

相方

「……で、金に替えてもらってタダってわけじゃないよな?」

「もちろん。この神の御業は――」

「ディオニュソス神を生んだ、神エルメス様の御業である!」

聴衆

「おお……!」

「エジプトではトートと呼ばれ、ピラミッドを作り!」

「冥界には羽つきのサンダルで自由に行き来できる!」

「極東では地蔵菩薩としても知られる、ワールドワイドな神だ!」

相方

「すげぇ! 俺も入信して金持ちになりてぇ!」

「入信は簡単だ」

(近くの建物を指さす)

「――その門を叩くだけ」

人々は我先にと列を作り始めた。

コイン

「金メッキ加工ってやつだな」

「表面だけ金の膜で覆ってる」

「電源はエジプト電池だ」

アルバは目を輝かせる。

アルバ

「おじちゃん、その道具売ってくんない?」

「表面だけ金で覆う金メッキでしょ?」

男は口元を押さえ、青ざめた。

「……秘密を知られたら、仕方がない」

「者共、かかれ!」

民衆に紛れていた取り巻き達が、ナイフを抜いて襲いかかる。

アルバの収納は――気圧操作対応である。

アルバ

「――ダウンバースト」

上空から圧縮された空気が叩きつけられ、

取り巻き達はぺったんこに地面に貼り付いた。

「ま、待ってくれ!」

「あなたも神の使いだったか!」

「謝る! 信者を離してくれ!」

アルバはため息をつき、解除する。

アルバ

「企業献金です」

「この人達の治療費に使ってください」

コイン

「企業ってなんだよ」

男は震える手でコインを10枚受け取った。

「な、何かありましたら……我教団が力になります!」

公邸に到着すると、

ギル、アルカディア、父カルディおじさん、母ラナ姫が出迎えていた。

美少女冒険者ミカとヨフィも一緒だ。

ギル

「いつまで持たせるんだよ」

――ドラゴンと財宝を出せ、という合図らしい。

アルバは無言で

ドラゴンと山盛りの財宝を取り出す。

ミカ(即座に)

「ミカとヨフィとギルが倒したんだよ」

コイン

「俺達が倒したんだけどな」

ラナ

「まあ……ドラゴンを倒すなんて」

「こんな子、アルカディアのお嫁さんにならないかしら」

ミカ(小声で)

「玉の輿?」

ヨフィ

「じゃあ、わたしが第一王女で」

「貴方が第二王女ね」

カルディはアルバを真っ直ぐ見た。

カルディ

「兄さん――君の父は、君を落ちこぼれと言っていたが」

「もう国家戦略級じゃないか」

アルバ、息を呑む。

カルディ

「護衛なしで戦える強さもあると、ギルから聞いている」

「皇帝の僕が認めよう」

一拍置いて。

カルディ

「君は“国家戦略級の運びて”だ」

「今日から、商人SSSクラスだ」

アルバの目から、涙が溢れた。

――美少女にも、家族にも認めてもらえなかった。

――それでも、この人は認めてくれた。

ギル

「俺の部下でいりゃ、いい事あるだろ?」

アルバ

「確かにギルは理不尽だが」

「アルバの一番欲しい物をくれる」

「感謝しかない」

ギル

「だから――美少女とドラゴンと財宝は」

「俺とアルカディアのものな」

アルバ

「俺の感動、返せ」

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