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第七章 ダンジョン地下三階

コイン

「次はリザードンがくるぜ」

アルバは弓を構える。

口ではクールに――

アルバ

「百発百中」

だが視線は――

チラ。

(※クリティカルダメージUP)

チラ。

(※頭部破壊判定)

ギル

「チラチラこっち見んな!!

 マジメに戦え!!」

アルバ

(アンタを見てるんじゃない)

(後ろの美少女を見てるんだ)

一方その頃――

ランタンを叩き割られたラグとゼフィは、

暗闇の中で

リザードンに

もみくちゃにされていた。

ラグ

「うわああ! 何だコイツ!!」

ゼフィ

「尻尾! 尻尾踏んでる!!」

ギル

「お前が気を抜くからそうなるんだろ」

アルバ

(俺、男共を保護する係だったっけ?)

渋々、コイン達とアルバで救出作戦。

なんとか引きずり出す。

ラグ、ゼフィ

「俺達だって暗闇じゃなけりゃな!」

――その瞬間。

周囲が一気に明るくなる。

ゴォォォォ……!!

見上げると、炎。

地竜が火炎放射を構えていた。

ギル

「ウォーターショット!」

炎を水で相殺。

アルバ

「水射出!!」

(父さん……一年分の飲み水を持たせてくれてありがとう……)

ギリギリ回避!

ラグとゼフィは

全身炎に包まれて転がり回る。

ラグ

「熱っ!!」

ゼフィ

「服が! 服が!!」

二人で地面を転がり、必死に鎮火。

その間、アルバは

コイン二枚を指でつまみ、静かに語り出す。

アルバ

「地竜には胃袋が八個ある」

コイン

「ほう」

アルバ

「草を大量に溜め込む」

コイン

「ふむ」

アルバ

「草はメタンガスを発生させる」

コイン

「嫌な予感しかしねぇ」

アルバ

「メタンガスを吐く時、

 犬歯が火打ち石代わりになって火が出る」

アルバ

「――でだ」

ニヤリ。

アルバ

「お前達が胃袋の中で

 お互いにぶつかって火花が散ったら?」

コイン

「……大爆発?」

ギル

「その作戦、乗った」

アルバ

「なんで聞こえてんの!?」

ギル

「コイン越しの会話は俺に筒抜けだ」

ギル

「いけー、コイン!」

コイン達、

竜の口の中へダイブ。

ギル、指をパチンと鳴らす。

ギル

「ファイヤ」

――ドン。

鈍い音。

さらに――

ドン! ドン! ドン!

残りの胃袋にも引火したのか、

地竜はピョン、ピョン、ピョンと

情けなく跳ねて沈黙した。

沈黙の後――

竜の背後から

財宝の山が姿を現す。

ミカ

「ギル最高!」

ヨフィ

「カッコイイ!!」

アルバ

「いやそれ、俺の作戦――」

女子二人、完全スルー。

ギル

「部下竜と財宝は収納に入れて、

 明日俺の元へ持ってくるように」

ミカ、ヨフィ

「私達も欲しいなー」

ギル

「俺と一緒にくれば貰えるかな」

一瞬の間。

ギル

「今晩、どうする?」

ミカ、ヨフィ

「一緒にいく」

ギル

「決まりな」

アルバ

(……このダンジョン、


ミカ

「ギルは冒険者でもないのに……」

胸に手を当て、うっとり。

「危険を顧みず、報酬も求めず……

 私の為に。私の為だけに。

 戦ってくれたのよ……」

ヨフィ

「なんて尊い……」

頷きながら目を潤ませる。

「見返りのない奉仕……

 まさに理想の英雄ね……」

二人の視線は、

すでに**ギル像(脳内・金ピカ)**を見上げていた。

その横で――

アルバ

(見返りの無い、だと……?)

(あの人、さっき

 ダンジョンの財宝・地竜・ついでに女の子

 全部まとめて回収する気満々だったよな?)

(奉仕じゃない)

(経営だ)

(完全に事業だ)

ギルはそんな視線を知る由もなく、

腕を組み、遠くを見つめている。

ギル

「……当然のことをしたまでだ」

ミカ

「キャー!」

ヨフィ

「言った! 今言った!」

アルバ

(やめろ)

(それ以上株価を上げるな)

(俺の精神が耐えられない)

アルバ

(このダンジョン……

 モンスターより

 勘違いが一番手強い)


アルバは深く息を吸い、覚悟を決めた。

「……君達には、ついていけない」

ヨフィが一歩近づく。

「どうして? 私達、今まで問題なかったじゃない」

アルバ(※本日、初対面)

ギルが背伸びしながら言う。

「まあまあ、今まで通り遊ぼうぜ」

アルバ(“今まで”の定義が崩壊した音がした)

ヨフィはギルを見つめ、静かに言う。

「……私達は、遊びだったの?」

アルバ(今の発言の発信源、そっち)

ミカが胸を押さえ、震えた声で叫ぶ。

「私を……捨てるのね……」

アルバ(交際履歴:存在しない)

アルバは耐えきれず言った。

「君達はギルがいれば、それでいいんだろ」

ミカ、間髪入れず。

「そうだよ?」

アルバ(即答!?)

アルバは必死に食い下がる。

「じゃあ、俺は必要ないだろ!」

ヨフィが困った顔で首を振る。

「そんな言い方、ひどい」

アルバ(どの口が言う)

ミカが指を突きつける。

「ギルの友達を悪く言わないで」

アルバ(そのギルが原因なんだが)

ギルは首をかしげる。

「え? 俺なんかした?」

アルバ(全部だよ)

ミカはアルバを睨みつける。

「名前も知らないけど、最低」

アルバ(名前以前に立場も知られてない)

アルバは震える声で確認した。

「……俺、悪いことしたか?」

三人は顔を見合わせ、うなずいた。

「「「空気を悪くした」」」

アルバ(罪名:存在)

ヨフィが優しく微笑む。

「大丈夫。ギルがいるから」

アルバ(フォローゼロ)

アルバは悟った。

(このダンジョン、モンスターより人が怖い)

どう?


ミカが腕を組み、深くため息をついた。

「……ねえ」

アルバ(嫌な予感しかしない)

ミカ

「まず、謝ろ?」

アルバ

「……え? 何に?」

ヨフィが静かに頷く。

「空気、悪くしたでしょ」

アルバ(空気は勝手に悪くなった)

ギルが不思議そうに首を傾げる。

「まあ、ちょっとギスったよな」

アルバ(原因が口を開いた)

アルバは慎重に言葉を選ぶ。

「俺、事実を言っただけなんだが……」

ミカが即座に被せる。

「言い方」

アルバ

「どの?」

ヨフィ

「全部」

アルバ(全否定きた)

ミカは目を細める。

「女の子泣かせた自覚、ある?」

アルバ(泣いてたのは一方的)

アルバ

「……誰が泣いた?」

ヨフィ

「ミカ」

ミカ

「今、心で泣いてる」

アルバ(新概念)

ギルがぽんとアルバの肩を叩く。

「な? 謝っとけって」

アルバ(味方ゼロ)

アルバは最後の抵抗を試みる。

「俺が謝ると、何が解決する?」

三人は少し考え、口を揃えた。

「「「雰囲気」」」

アルバ(抽象度が高すぎる)

ミカが一歩近づく。

「謝れないってことは、反省してないんだ」

アルバ

「飛躍してないか?」

ヨフィ

「してない。女の勘」

アルバ(万能ワード来た)

ギルが満面の笑みで言った。

「ほら、簡単だろ?」

アルバはついに折れた。

「……すまなかった」

ミカ

「何が?」

アルバ(追撃!?)

アルバ

「……全部」

ヨフィが満足そうに微笑む。

「素直でよろしい」

ギル

「よし! 仲直りだな!」

アルバ(何一つ解決してない)

ミカが最後に一言。

「次からは、最初に謝ってね」

アルバ(初動謝罪が正解ルートだった)


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